あらすじ
未曾有の経済危機を境に劇的に変化した消費行動の背後にある価値観に光を当てる。
希少な「購買力」を「投票権」のように行使して、
「宣伝に踊らされてお金を落とす」移り気で受身のかつての消費者ではなく、
「自分の意思で目的をもって対価を払う」能動的で思慮深い新しい消費者の姿が、
著者らが2年をかけて全米をくまなく歩いて調査した数々の事例から浮かび上がる。
【著者紹介】
ジョン・ガーズマ
ヤング&ルビカムのチーフ・インサイト・オフィサーにして、世界的に活躍する消費者行動の研究家。
ブランド・アセット・コンサルティング社長として、消費者の価値観やニーズの変化をデータで分析し、企業の適応を支援している。
マイケル・ダントニオ
フリーランス・ライター。
プルトニウム汚染の脅威を追及した『アトミック・ハーベスト』(小学館)、をはじめ、10冊以上の本を出版。
Newsdayの記者時代に、ピュリツアー賞を受賞している。
有賀裕子(あるが・ゆうこ)
東京大学法学部卒業。ロンドン・ビジネススクール経営学修士(MBA)。
通信会社勤務を経て翻訳に携わる。
訳書に『持続可能な未来へ』『ポールソン回顧録』(日本経済新聞出版社)、
『トレードオフ』(プレジデント社)ほか多数。
【目次より】
◆序文
◆序章 「より多く」から「よりよく」へ<ミズーリ州カンザスシティ>
◆第1章 「どん底」というフロンティア<ミシガン州デトロイト>
◆第2章 「モノを集める」から「知識を蓄える」へ<テキサス州ダラス>
◆第3章 支出を伴わないステータスシンボル<マサチューセッツ州ボストン>
◆第4章 ソーシャルメディアという「方法」<フロリダ州タンパ>
◆第5章 「町内会的」資本主義<ニューヨーク州ブルックリン>
◆第6章 失われた信頼を取り戻す<ネバダ州ラスベガス>
◆第7章 ソーシャルメディアが「顔の見える企業」をつくる<ミシガン州ディアボーン>
◆第8章 生活を豊かにするイノベーション<カリフォルニア州サンフランシスコ>
◆終章 危機がビジネス、消費、生き方を変えた<カリフォルニア州ロサンゼルス>
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
"2008年のリーマン・ショック後、
浪費一辺倒だったアメリカの文化が変わった。。
これは今後の日本のあり方にも通じる部分があり、
学べる点、参考になる点が多い考え方であり、
本だと思います。
なかなかヒントの多い1冊。
皆さんにおすすめです。"
Posted by ブクログ
リーマンショック以降、アメリカの時代は終わるんだと漠然と考えていたが、実はアメリカ国内のあらゆる地域で、消費、生産、サービスに関わる新しい動きが生まれ、広がりつつあるという、非常に勇気づけられる実例が満載。読んでいて常に頭に浮かぶのは、日本が、前時代的な大量消費、価格競争、等を特に深く省みることなく続けている事。考えない日本、が一番危険だ。
Posted by ブクログ
今まさに、私が感じていることがそのまま書いてあるような本。
アメリカではサブプライムローン問題を契機として、危機感から消費者意識に変化が起こった。その結果、本の帯に示されているコピーに言わせれば「何を持つか」から「どう生きるか」に意識が変化し、それが消費のスタイルにも影響を与えたという趣旨。
私は「efficiency」から「sustainability」の消費に変化してきた動きだとみている。
日本ではまだ始まったばかりの段階だが、東日本大震災を契機に、復興とともに消費の質が変わっていくものと思う。
Posted by ブクログ
マーケティングにたずさわるものとして
とても興味深く、面白く、共感をもって読めた。
・市場の成長が頭打ちで、所得増加が見込めない。
・お金やモノに執着することへの疲れ。
・同じ目的や価値観をもった多くの人たちと出会える
ソーシャルメディアの普及。
これらが折り重なり、新しい消費の形態や価値観が
生まれ始めていることを
アメリカのいくつかの事例をもとに紹介してくれる。
特にこれからの消費の形態が
「消費=有償」ではなく、
「有償」+「交換」+「無償」という選択肢からなる
という考え方は目から鱗の表現だった。
金融危機から始まる生活の閉塞感や将来への不透明感、
持続的なモノコトへの関心から
このようなライフスタイルやビジネス的思考が生まれることに
共感とともに納得感があるが、
これがこれからの時代、普遍性を持つのか、
多数派になっていくのかを注目していきたい。
Posted by ブクログ
主にアメリカ国内の事例で、これまでの消費のトレンドと毛並みの異なるサービスやプロジェクトとそれに関わる人たちを紹介しながら世の中の志向が変わってきていることを伝える一冊。誰もが、意思をもって、より希望を感じるお金と時間の使い方をすることで、そのサービスは育ち好循環が生まれていっている。取り上げられていたのは地域通貨の話や地産地消にまつわる話、親子の読み聞かせを促進するプロジェクトなどなど。自分たち、お客さま、地球環境の三方良しのプロジェクトを顧客である自分たちは選ぶことができ、そういう消費が世の中の動きを加速する。政治よりもそっちの方が結局自分たちにできることとしては大きいのかもしれない、とも思った一冊でした。
Posted by ブクログ
リーマンショック以降、人の価値観、お金の使い方が量から質に変化している。物質的な豊かさから心の豊かさへという内容。事例が多く、コミュニティビジネスのアイデアの参考になる。
フォードは政府の財政支援を拒否したが、それが消費者の好感を呼んだ。
移動販売車をネット上でどこにいるかを見られるようにするサイトは面白い。
これからの価値観として、自分ですべてのことを行うことが楽しいと思えることが重要だと思った。
Posted by ブクログ
単なる所有のための購買から、価値観を求めた購買へ。 親切、思いやり、親しみ・・・。より多くからより良くを求める。アメリカ各都市で起こった購買行動の変化を取り上げ、解説。
Posted by ブクログ
私たちは、豊かに暮らすために、交換の約束としての”お金”を持つ。
その約束のお金は、手元に在る何かを相手と交換した約束である。
そして、その約束の価値がお金の量に違いをつくる。
その価値がシフトしている。
そのシフトの方向性を分析すれば、
「本物」「親切」「正直」といったこと。
それはモノやサービスに「これ」といって上乗せできる、また画一的に設定できるものではないように思う。
というのは、
それは、”わたし”と”あなた”の関係に存在し、
その関係ごとに様々な質がある。
つまりは、ひとり一人の在り方に関わってその質が変わる。
そして、そのひとり一人の集合体が企業である。
マーケティングでは
価値とはニーズ・シーズ、ウォンツをカタチにするというミカタがあり、
ニーズからウォンツを満たす価値という流れであったように思うが、
その流れは、ニーズへの向きなおり、
そして、そのニーズは必要というよりも根本という意味を持つのではないかと気づく。
Posted by ブクログ
(アメリカでの話だが)、消費物量の多さが幸福を表す時代は終わった、これからは消費の質、消費に対する物語性、エコを配慮した消費が求められる時代になった。
企業もそれに対応して、ただ安くて良い製品を売ればよいのではなくなった、という主張。
確かに、今なにかモノを買う際には、そのバックボーンというか、どういう思いで製品を作っているのか、が重視されるようになってきたと思う。
資本主義から新しい一歩を踏み出す時代なのだろう。こうして時代に合わせて変化できる人間ならば、未来は決して暗いものではないのだが。
Posted by ブクログ
大恐慌以降の消費者(顧客)の消費動向、考え方の移り変わりを、アメリカの各地域別に事例を記載。
企業の各事例も記載されており具体的で面白かった。
独自の調査結果もあるため、説得力も増している印象。
あくまでアメリカの事例なので、日本も全く同じ状況という訳ではないが、非常に近い部分はある。
日本の企業も参考にすべきだろう。
また日本で生活する自分にはアメリカの現状、しかも各地域の現状など知らないため良い勉強になった。
Posted by ブクログ
スペンドシフトとは?
・自分を飾るより、自分を賢くするためにお金を使う
・ただ安く買うより、地域が潤うようにお金を使う
・モノを手に入れるより、絆を強めるためにお金を使う
・有名企業でなくても、信頼できる企業から買う
・消費するだけでなく、自ら創造する人になる!
少なくとも世界的に先進国に住んでる人の心理は変わってきてると実感させてくれる本。
自分自身も消費に対しての気持ちの変化を感じていたので、すんなりと共感できる部分も多かった。また、そこにはビジネスチャンスを感じることもあった。
メインはアメリカの事例ではあるが、「欲しいものから必要なものを重視する」、「虚栄心を満たす商品への関心を失い、本物らしさや意味を感じさせる商品を購入するようになった」、「公的資金で救済された企業の製品やサービスを購入する可能性は低い」等々。
背景には金融危機がある。これまでの過剰な支出は借金の上に成り立っており、投機的なお金が右から左に流れるだけだった。今は投機的な資産が相当な目減りを記録し、使えるお金は汗して稼いだお金となる。
当然同じお金でも重みが違い、大事に使う様になった。
Posted by ブクログ
時代と共に変わる消費のあり方。
消費動向を見ることで、人々が何を大事にしているのかが見えてくる。
WEBでの買い物が出来る時代だが、人との繋がりが大事なのは変わらず、SNSの拡大で消費者はただものを買うだけの存在ではなく、企業・会社へ大きな影響力を与える顧客となってきている。
企業・会社は素直さ・正直さ・謙虚さ・公益性などが重要になり、偽装されたそれらのものはすぐに見破られ相手にされなくなる。
企業としての姿勢を考えさせられる本。
Posted by ブクログ
リーマンショック後に大不況となったアメリカを舞台に展開している。
様々な地域におけるその土地土地の本来の文化と通じながら、人と人との間の距離(企業とお客様の距離)を縮めていくような事業を行っている人々の活動を取材し、それらの行動や信念などを解説している。
企業とお客様の距離について距離を縮めるにはどうしたら良いか?を悩む自分にとって、この著書の中で出てくる様々な人々の行動や信念は、事業を行うための当たり前の心構えを再認識できたり、新たな視点の発見につなげることができた。
実体験を基に記述された内容は一読の価値があると思います。
Posted by ブクログ
人々の購買行動や幸せの基準、価値観が変わってきている(一部は正常に戻った)ことを実例を交えながら記述されています。
個人的には、日本ではこういった動きは(あるけど目立ったものが)まだまだ少ないかなぁと感じています。
もちろん、自分自身がそういったものを生み出していく(見出していく)世代で、「少ない」と言っている場合ではないのですが…。
完全に好みの問題ですが、訳された文章が若干読みにくく、読むのに少し時間が掛かってしまいました。
Posted by ブクログ
世界の幸せの基準が確実に変化している、それを実感させる一冊。
リーマンショック、大震災、無差別テロなどの経験を通じ、今を自分らしく、助け合い、つながり、自然のめぐみの大切さ、それを求めることが幸せにつながることを感じ始めている。今まさに世界は幸せの基準のシフトチェンジをしている。これから世界がつながり、ともに助け合い、平和に導かれるイメージが沸く一冊で勉強になった。
Posted by ブクログ
リーマンショック、またはその頃から、消費者(これからは「顧客」と呼ぶべきと本書では言っているが)のマインドがどのように変化しているか、「何を持つか」より「どう生きるか」について、市井の人々から、著名人にまで、数多くのインタビューで解説。また、ヤング&ルビカムのBAV(ブランド・アセット・バリュエーター)の調査結果からもその傾向を明らかにしている。前半はちょっともったりしているが、後半はおもしろい。昨今の「シェア」や「マーケティング3.0」に通じる部分もあり、ブランドについて考える人にお勧め。
Posted by ブクログ
アメリカのデータであるが、「自分の意思で目的をもって対価を払う」消費行動に変わったということについて書いてあり。
その消費行動にソーシャルメディアが目的をもった人をより繋げやすくしているとのこと。
最近のメディアトレンドと、消費者の行動変化の関係をかかれていて、なんか整理できた。
Posted by ブクログ
本書は2010年に書かれた。
その前の年の2009年にリーマンショックが起きる。
大不況のアメリカでみんなの消費に対する趣向が変わってきたという話。
たしかにネットがあるおかげで店舗にいかなくてもいいし、衝動買いを抑えられ、じっくりほしいものを買えるというのはそうだろう。
対して日本のマスコミはネットの危険性を煽るばかり。
これからも消費者の変化は加速していくように思う。
Posted by ブクログ
リーマンショック後の不況から発生するアメリカの消費動向、ライフスタイルの変化。浪費社会、大企業マーケティングから、身の丈にあった消費社会への移行。グローバリゼーションのお膝元で、地域を中心としたコミュニティにシフトしていく過程が興味深い。
Posted by ブクログ
アメリカの一部の人々の消費スタイルが変化しつつあることについて。消費行動の転換=スペンド・シフト。
具体的には、消費を通して地域に貢献する、知識を蓄え共有する、環境に優しいものを選ぶなど。自分だけのための消費ではないことで、より満足度が高まっていく。不況に直面したことで、価値判断が変わったのではないか。
これらを前半はアメリカの各都市の事例、後半は企業側の姿勢に寄り添って書かれている。一冊丸々が事例集と言ってもいい。
この本の著者が得た収穫は、下記にまとまっていた。
1.借金から貯蓄への流れが生まれている
2.消費者という概念を捨てて顧客ととらえるべきである
3.企業は個人の集まりである
4.世代間の溝が埋まりつつある
5.消費者の厳しい目が市場に変革を迫っている
6.これからのビジネスモデルを支えるのは寛容の精神である
7.消費から創造へと社会の軸足が変化している
8.大きな問題を解決するには小さな発想が求められる
9.アメリカは理念にもとづくイノベーションの新興市場である
10.何もかもうまくいくはずである
個人的には、身の回り品でもそうだよなあ、としっくりくるところもある。ただ、このスペンド・シフトが、特に日本で全ての人に起きているか、これから起こるかは厳しいかもしれない。
アメリカには、大きな地域と人口がある。それでも、このスペンド・シフトが起きているのは一部の人で、しかもある人は地域のために貢献しつつ、環境にはダメージを与える行動をとっていることもあるのではないか。一部の行動変化をひとくくりの概念にしてポジティブな面だけを見るのは危険かも。
それが日本であった場合、どんなにこういった考え方を持つ人が増えても、大多数はユニクロのセール品が売り切れた時に罵声を浴びせる人ではないだろうか。僕自身も、ある面では誰かのためになる消費をして、ある面では独りよがりな消費をするのではないか…。などと、あまりにも希望が語られるために、マイナスなことも思ってしまった。
Posted by ブクログ
モデルケースが延々と続くので(そういう本なのだけど)後半は結構飽きた。世の中を動かすのはモノから意味へ。消費者→顧客へ。そんなに新しい話でもないような。