【感想・ネタバレ】月の上の観覧車のレビュー

あらすじ

閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来──そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 やっぱり荻原浩は面白い.解説の「取り戻せない喪失を抱えた人々が未来へ向かう物語」というのがまさにぴったりの,ノスタルジックな香りのする珠玉の短編集.

「トンネル鏡」 五十路になる前に会社をやめて故郷に帰る男が,車窓を眺めながら母親にまつわる思い出を軸に今までの来し方を回想する話.
「上海租界の魔術師」 家に転がり込んできた上海でマジシャンをしていた祖父との思い出.魔術師の弟子となった孫娘は,祖父の通夜でとっておきの魔術を披露する.
「レシピ」 夫の定年退職の日に,夕食の料理をしながら夫の帰宅を待つ妻.古いレシピノートを見ながらそこに書かれているレシピにまつわる出来事を回想する.最後に荻原さんらしい,ちょっとどきっとする(ブラックな)落ちがある.
「金魚」 奥さんを亡くしたことで精神に変調をきたしている男が,奥さんとのことなどを回想する少し幻想的な作品.モノクロの世界ではじめて色がついた金魚の赤がすごく鮮やか.
「チョコチップミントをダブルで」 離婚の時の約束で誕生日にしか会えない娘と,約束の日に会う話.よかれと思ってしているのだけれども,それが独りよがりで空回りしていて,愛想をつかされちゃう.うーん身につまされる.娘の綾乃ちゃんがいい子なのが救い.
「ゴミ屋敷モノクローム」 市の職員が苦情対応のためにゴミ屋敷に住んでいるおばあさんに会いに行く.おばあさんが自宅をゴミ屋敷にしたわけは・・・.
「胡瓜の馬」 同志と思って育ってきのたのに,結果として裏切ってしまった元カノの思い出.物語の終盤で,同窓会に出席するために帰省した悲しい理由が明らかになる.
「月の上の観覧車」 月の出ている夜に一人で乗ると死別した人に会える(と思っている)観覧車で,自分の人生を振り替える老経営者の話.

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編で読みやすかった。中にはその後の続きが気になるような話も。人生においてやり直しはできなくて、自分も後悔していることがある。本作では、人生の先輩たちが過去を振り返っており、自分の生き方やこれからの人生の選択を考えさせられた。

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2025年09月05日

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