あらすじ
どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す「統計学」。「ビッグデータ」が重宝される風潮からも分かるとおり、その影響は、現代社会で強まる一方。そうした社会的な趨勢で、私たちの未来に立ちふさがる少子高齢化や貧困などの諸問題に統計学ブームの火付け役の西内氏が立ち向かう! この本は東京大学政策ビジョン研究センターの研究成果をまとめたもので、日本の未来における喫緊の課題に対して、その通説・俗説を統計学的にくつがえしていく切れ味は抜群。『統計学が最強の学問である』の第三弾が今秋刊行予定と、再び見込まれる統計学ブームのなか、話題になること間違いなし!
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Posted by ブクログ
現役の統計学者である筆者が現在日本が抱えている社会問題を統計データをもとに論じようというもの
テーマは主に少子化、社会保障、高齢者の医療、経済成長
主にデータや論文などをもとに以下のようなことがかかれている。
財政緊縮などによる経済不安は精神疾患などを誘発し、それにより自殺が激増するなど人命が失われる可能性が高い。
犯罪のリスクやそれを管理するコストを考えると、生活保護などの社会保障が最も費用対効果がいい。
日本が高齢化している原因の大きな理由は老人が長生きするようになったことよりは乳児死亡率の低下。
少子化の原因は女性の社会進出というよりは、保育サービスが不足しているから。
幼児教育により、非認知能力(学力以外の計画性や粘り強さなどの力)を向上させることはのちのちまで影響が大きい。
高齢者に雇用機会を提供することはお互い(高齢者にも社会にとっても)にメリットが大きい。
医療費のコスト削減として医療の技術評価を導入すべき
経済成長では教育投資がもっとも費用対効果が大きい
日本は公教育に対する投資割合が低く、その分、私的な教育投資の割合が高い
内容がそこそこ専門的なわりには新書ということもあってか、素人でもそれほど負担なく読める。
個人的印象論だけでなく歴史的事実や学術論文(あるいはそれに相当するレベルのもの)を根拠としているため、説得力はある。
学術的なものの見方の入門という点では非常にいいかも。