【感想・ネタバレ】コンピュータが小説を書く日 ――AI作家に「賞」は取れるかのレビュー

あらすじ

AI作家誕生か、と騒がれた“事件”の実相を、当事者が克明に綴る。“AI作家”が一次選考を通過した第3回日経「星新一賞」への、人工知能を利用して作成したショートショート2編を一挙収録!
日本の文学賞で唯一、日本経済新聞社主催の「星新一賞」にしかない応募規定が「人間以外(人工知能等)の応募作品も受付けます」。第3回には遂に一次選考通過作も出たことが明らかにされた。選考過程は明らかにされていないが、2篇を応募した「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」所属メンバーらの報告会が2016年3月にあり、国内外のメディアが速報したのは記憶に新しい。これは単なる珍しい話題に過ぎないのか?
日本語とAIの関係を通して、人とAIとの新たな関係まで見えてくる。その可能性の萌芽が兆したノンフィクションの好著!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

AI作家の正体とは?

星新一賞は人工知能による作品も受け入れている。この本が出版された2016年から10年近く経って、私はこの研究がどうなったのかも、星新一賞がどうなった(AI作家が受賞したかどうかも賞の要項が変わったかどうかも)知らない。しかしChatGPTなどが文章を書いてくれると話題になって、レポート課題を肩代わりさせる事例が出てくる今、気になった。人工知能が文章を書くとは?

この本を読んで私が気付いたことは、プログラムによって型が決まった文章を生成することはできるということ、また、文章を生成するプログラムにどれだけ労力をかけるかが問題だということだ。著者の挑戦を読んだ限り、文の構造を決めて、そこに入るパーツを入れていくことで文章を生成するわけだから、本文でも触れられているが、定型文のメールなどや、天気予報やマーケット情報など報道関係で型が決まっているものは十分にできる。

文章を書く力、特にChatGPTのような文章生成AIが登場した今、人間はプログラムに頼りながら文章を作れる。では、人間に何ができて、プログラムには何をしてもらえばいいのだろう。出版された時点では、文の意味が通るかどうかの判定はまだプログラムには難しいようだ。ではそれが人間の役割だろうか。

プログラムが生成した文章を人間が修正しつつ使う。芥川賞受賞作家も生成AIを使っているそうだ。コンピュータには意識もなく自由意志もない。「書きたい」気持ちは人間にしかない。それならば、AIへの恐怖を語るより、AIと共になら何ができるか考えたい。適切な役割分担でよりよい小説ができるなら、楽しみである。

0
2024年05月09日

「ノンフィクション」ランキング