あらすじ
筆者はこれまで,サカナから鳥類,哺乳類まで多様な動物を使って数々の動物実験を行ってきた。それらの実験で得られたデータをもとに,人間の作り出した芸術作品を動物がどのように認知し,どのような場合に好むのかを解説する。また,動物実験のみならず,実証的美学研究の歴史と現在の研究動向,脳画像を駆使して美を捉える神経美学についても取り上げ,さまざまな側面から美の起源を探る。
この本は悪く言えば「興味本位」,よくいえば「真理探究型」の研究を扱っている。「役に立つ」研究ばかりでなく真理探究型の研究の重要性,面白さを生き生きと伝えながら,美の起源として進化を考える立場の最前線をわかりやすく紹介する。
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Posted by ブクログ
日本ではじめてイグ・ノーベル賞を受賞した著者の研究テーマ・動物と美についての全体像が分かる本。美学の歴史から、認知学的・能科学的なとらえかた、動物と人間との違いなどが、専門家の監修の元、まとめられている。
崇高と美の違いや、芸術的な鳥の巣や歌など、ヒトの美の営みがどこから来たのか考えさせられる話題が分かりやすく語られ、興味を持った。
Posted by ブクログ
タイトルの通り「美の起源」に迫るという興味深いテーマで書かれていました。
動物のアート、古代人が描いた洞窟画にまで遡って、その本質について考察しています。
個人的におもしろいと思ったのが、動物のアートです。
鳥が作る芸術的な巣に圧倒されましたし、育った環境によって好む音楽が異なるというのも、人間と一緒で、人間と動物を分けるものについても、考えさせられました。
Posted by ブクログ
今の世の中の芸術ってなんのためにあるのだろう。と思った事がある。
絵画を見るにも技術が必要で、その技術は先天的に備わるものでは無く、身につけるもの。特に現代美術などその背景や歴史を知らなければ価値がわからない、という主張を読んでから、芸術の存在意義について不思議に思った。
では何故美術というのが何のために生まれたのか。その不思議に対して生物学的な視点から解していった本。
現在の芸術とは、芸術そのものの為の芸術であるが、そもそもの起源は自らの適応度を高める可能性に直結していた行動だった、という事がわかったような分からなかったような。
色々実証検証が難しい分野だと思うけど、我思う故に我あり、を超える普遍性を見つける問だと思う。これからもモニターしたい。