あらすじ
「京都という街は、タイムカプセルのようだ」と著者は言う。オフィス街の真ん中に聖徳太子創建と伝えられるお寺があったり、京都きっての繁華街に、坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された地の石碑がひっそりと立っていたり。そこには人々の日常があり、みなが変わりない暮らしを続けている。そんな石碑になど目を留めない人もたくさんいるはずだ。
それでも著者は、そんな場所に出会う度に、タイムカプセルを開けたような気持ちになるのだという。幕末の争乱期の京都へ、平安遷都する以前の京都へ、近代化が急速に進んだ明治・大正時代の京都へ……。さまざまな時代の“時”のカケラが、街のそこかしこに埋まっている。この場所で徳川慶喜は何を思ったのだろう。平家全盛のころの六波羅は、どんな景色だったのだろう。安倍晴明はここで何を見たのだろう。その“時”のカケラは、一瞬の時間旅行へと誘ってくれる。
日本美術研究者として活動する著者が、京都の通り界隈にまつわる逸話から、神社仏閣の歴史、地元の人々の季節折々の暮らし、街歩きでの目のつけどころや楽しみどころ、京都人の気質までを生活者の視点から紹介する。さらに、自身のご家族のこと、京都府警と側衛の方たちとのやり取りなどの日常生活の一端を、親しみやすい文体でつづる。6年以上、著者が京都に暮らす中で感じ、経験した京都の魅力が存分に語られており、「京都」という街の奥深さと、「京都」の楽しみ方を知る手がかりとなる。
新聞連載の24作品に、書き下ろし3作品を加えて刊行。京都の街歩きに役立つ「ちょっと寄り道」情報や地図も掲載。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
彬子女王様の文章は、とても綺麗で読みやすい。観光だけでは、知り得ない京都の魅力をたっぷり味わえる。
京都は、本当にお祭りが多いのだなあと思った。
個人的には、「愛宕山の千日詣」にぜひ行ってみたい。
Posted by ブクログ
皇族であることを受け入れ、自然体に生きる女王様の京都エッセイ。護衛官込みの様々な出会いがよいスパイスになりつつ、京都の街並みの魅力を知ることができる。
Posted by ブクログ
心地よい文章。
タイトルを見て、この本を読もうと思ったため、作者が彬子女王様とは知らず。。
読み進めているうちに、「あれ?なぜ、この方には警備がついているのだ?」と疑問を持って、初めて気づいたという。。恥ずかしい。
全体に、優しさがあふれる文章で、京都がとても素敵に語られている。
読み進めるうちに、自分もその場所を歩いたかのような錯覚を覚える。
とても、癒された作品でした。
Posted by ブクログ
生まれた時から警護の人に守られる生活、ピンとこないけど、一緒にご飯食べたり勉強教えてもらったり悩み相談したりって、信頼出来る身内じゃない大人がいてくれるのって幸せだなあ。そしてそれをちゃんと理解してくれるのって、警護の人も嬉しいだろうなあ。ずっと皇室と民間って距離や温度差ある風に言われてきたから、こういう風にちゃんと言葉にしてくれると安心する。ありがとう、彬子女王。