あらすじ
人の心を読むさとり。不吉な予言をするくだん。人真似をして追いかけてくる河童――。
山が人里に変わり、夜の闇が払われた現代。妖怪たちは日中堂々、街中に現れる! 悪気はないけど、はた迷惑な彼らと、私たち人間はどうやって共存すればいいのだろう? 新鋭・比嘉史果が情感たっぷりに描く、現代妖怪奇譚!
人々の生活によって山が拓かれ、夜も明るい現代。闇の少ない中、妖怪たちはどのように生き、人々はどのように妖怪たちと共存していくのか?動物園のくだん、街におりてきたさとり、人まねをする河童…日常、昼間に現れる妖怪たちと人間の、ちょっぴり可愛い現代妖怪忌憚です。
東京を歩いていると、夜でも昼のように明るいと思うことが多々あります。夏になると心霊特番をやっていたりしますが、そんな特番の後、こんなに夜が明るいと、果たして昔から夜闇に息づいてきたモノたちはどうなっているのだろうか…と考えることがありました。この作品はそんな疑問を解決してくれます!
闇がすくなくなってきたのなら、昼間に出ればいい!そうして昼間に活動を行う妖怪と、それを普通の動物のように扱い、受け入れる人間社会が新しくて面白い!!これまで怖いもの、相容れないものだった妖怪たちが可愛くて愛しくなる、そんな作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あえて、最初にぶっちゃけさせてもらう
妖怪モノの作品としては、『うしおととら』や『足洗邸の住人たち。』、『奇異太郎少年の妖怪絵日記』などの上位作品に届かない。まぁ、これらはレベルが違うので、比べる対象にするのは、さすがに比嘉先生に対して酷だったかな
私が所有している作品の内で、面白さが匹敵するとなると、上田信舟先生の『えびかわ町の妖怪カフェ』や、高津カリノ先生の『俺の彼女に何かようかい?』、ふなつかずき先生の『妖怪少女-モンスガ‐』と言ったところか
ちょっと回りくどくなってしまったが、何を言いたいのか、と言えば、この『真昼の百鬼夜行』、個人的に当たりだってコト
絵柄がちょっと古臭い・・・少し、今時っぽくない感はあるけど、人間の世界に妖怪が普通にいる、って世界観にはよく合っている
どちらかと言えば、私はこの『真昼の百鬼夜行』のストーリーに惚れたので、感想を書かせてもらいたくなったのだ
妖怪の集団、百鬼夜行と言えば夜に練り歩くもの。つまり、恐ろしいものだ。しかし、この作品はタイトルに“真昼”と入っているからか、おどろおどろしさはない。上手く言えないのは歯痒いが、妖怪の新しい観方、妖怪像の斬新な切り口がある
妖怪は、これと言って特別な存在じゃない。人間と同じく、喜怒哀楽を持ち、自分のしたように生きている。迷惑な隣人って例えは、実に的を射ているのではないだろうか
名作が多いジャンルで、新しいモノを描くのは大変だと思うけど、やりがいはあるし、それが爆発的な成長を漫画家に促す。担当編集さんのサポートを受けつつ、脱皮を繰り返して、『妖怪の飼育員さん』と真っ向から組み合える作品に仕上げて欲しいもんだ
どの回も妖怪好きとしては心を満たしてくれるものばかりだった。その中でも、特に第1話「動物園のくだん君」は、掴みとしてバッチリだ。件と言えば、予言をしたら死んでしまう、ある意味、妖怪らしくない薄命な種族だ。この話に登場するくだん君も例に漏れないのだが、そっから違うのが、この『真昼の百鬼夜行』だ。まさか、くだんを救おうとする、バカな獣医師がいるとはなぁ。でも、どんな命とも真正面から向き合う、熱ぃ医者は嫌いじゃない。そんな本気は、「常識」を引っ繰り返し、「奇跡」ってものを引っ張り上げるらしい
この台詞を引用に選んだのは、一社会人の立場として、「その通りだな」と頷けるものだったので。どんな仕事であれ、出した結果には責任を負わなきゃいけない。悪いものが出たのであれば挽回する必要があり、いい結果を出したのであれば、次も同じように、いや、それ以上を出す事を求められる。大変である。けど、逃げちゃダメなんだよなぁ