あらすじ
両親が死んで遠縁の千住花音の家に引き取られる事になった後白河法行。 学校も転校することになったのだが、転校先の学校はちょっと前まで女子校で、男子は法行ただ一人……!? しかも生徒会長がいきなり真剣突きつけて法行に交際迫ってくるわ、偶然再会した幼馴染はそんな会長に反発して反乱軍とか結成するわで、学院全体で大騒動が巻き起こる! どうする法行!?
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Posted by ブクログ
両親を亡くし、同じく両親を亡くしている親戚の元で居候する事になった主人公。
転入を手配して貰った学校は、共学化したばかりで他に男子生徒の居ない三十三間堂女学院だった。
…あらすじで見ると物凄くテンプレ通りなんだけど、実際読んでみると困った方向にひねくれている作者の学園物群像劇。
最初という事で、登場人物と作品内容の紹介みたいな巻になっている。
取り敢えず売れなきゃ生き残れないという事で、挿絵でパンチラやら花音の入浴シーンがあったりする、既刊を全て読むととても考えられない要素もあって、読み返す度に新たな何かを見つけてしまう第1巻。
ちなみに、この作品の本領発揮は作中32人の主要キャラ大半が登場し、それまでの営業努力という露骨なエロ要素が一掃された3巻から。
全巻通して流れるように綺麗な文章、明確なテーマ、各キャラの心情描写による掘り下げ、そして数多あるラノベの中でも最高クラスの爽やかな読後感。
ネタにするにも良し、真面目に語るも良しと読後も楽しめる要素が豊富で、これをベタ褒めしておかないと他に褒めるものが無くなってしまう作品。
欠点は、「物語」ではないのでストーリーだけを見るとテンプレ通りになってしまう事。
一人の男子生徒を中心とした群像劇のため、キャラクターの言動に興味が無いと何故そうなるのかが理解できず面倒臭いだろうなあと思う事。
何より、テンプレ通りを期待してハーレム物だと期待していると、ハーレムのヒロイン達が殺し合いしていたりする事。
無論、会長の刀やら千秋の爆弾やらに真顔で「狂ってますね」と言ってしまうような無粋な人には全く向かない事。
(「人は皆、どこか少し狂っている」という現実の理が前提のお話なので、社会人以上向きの作品なのかもしれない)
定番・王道の設定を綺麗な文章で物凄くねじ曲げつつ、最後は綺麗にゴールさせるという作者なので、王道好きな方にお勧め。
まあ、そんな作品です。