あらすじ
突然の鳴神修護の帰還。浮かれる瑠璃だったが、その背後には炎の魔人ラハブを狙う金獅子騎士団の姿があった。かくて魔人はチームを離れ、少女は炎を憎む。絆を砕かれたふたりが相対する時、戦いの幕が開く――。
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Posted by ブクログ
まだ矢野さんはジャーム化しないのか、とちょっぴり不満を抱きつつの2巻。
のっけから瑠璃とラハブの本気対決で物語に引き込まれる。今回の遺跡はバベルの塔。キーは鳴神の復活。復活した鳴神は2年間の記憶をなくしており、肉体は奇妙に2年前のままだった。
ラハブとの決別、そしてかつてのナイトフォールメンバーとの敵対。虚構の強がりは解け、絆の記憶は消え去り、残るは憎しみのみ。本当にどん底に落とされるな、これ。瑠璃にとって家族のようだった旧ナイトフォールのメンバーが瑠璃を偽物として敵対し、アゾットを本物と思い、アゾットを中心に家族の絆を見せる。本当に言葉にできないほどキツい状況だと思う。旧ナイトフォールで過ごした日々は瑠璃にとって宝物のはず。かけがえのない、何物にもかえられない、絶対忘れたくない、アイデンティティの根幹の一部を成すもの。二度と手に入らない、大切な、日々。それをよりによって最も憎き相手に、目の前で見せつけられたその絶望はいかほどのものか。
鳴神先輩が頭を撫でる相手は私じゃなかった。姉妹が心配する相手も私じゃなかった。敵意を向けてくるのは私に対してだった。よく、その状態から瑠璃が抜け出せたものだ。
プレイヤーもマスターも熟練で、出たアイディアがうまく料理され、キャラクターのアイデンティティに繋がる。ラハブと瑠璃の片依存症のような関係をつくったラハブの言葉も巧みだし、ラハブが人格をもつようになった契機の演出も良い。GMも非常にうまく物語を紡いでゆく。最後には再び戦友と意思を通わすことができた。
旧ナイトフォールのメンバーは、あと4人ほどか。1巻で一人ずつ対決するのかな。瑠璃の進む道をこのまま見守っていきたい。そして願わくは、瑠璃が心から安らかに笑える日がきますように。哀れなるこの子羊に祝福を。
並行してデイズも読むことにする。