【感想・ネタバレ】HUMANITAS ヒューマニタスのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年05月16日

15世紀中央アメリカの盲目の剣士(アステカ文明とかそのあたり?)、冷戦下のソ連の天才チェスプレーヤー、極北の鯨ハンターの少女、の3つの短編を収録。圧倒的な迫力!面白い!

こういうことが当たり前な文化が、国が、あったんだなぁと思うとゾッとする。最後の、鯨ハンターの少女に出会ったイギリスの青年の感覚が...続きを読む、読者である自分の感覚に重なって、文明や価値観の違いというものをどう捉えるべきか考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2016年12月11日

鳥肌が立った、毛穴がブチ開いた、心臓と胃を同時に掴み捩じられた
何の前触れもなく、こんな最高以上の漫画に出逢えるから、生きていて良かった、と思える
私のこの感覚が大袈裟じゃない、と同意してくれる漫画読みは多い、と信じたい
厚意に甘えて、調子に乗らせてもらえるなら、この『ヒューマニタス』に心を揺さぶら...続きを読むれないようなら、その人らは漫画の本当の面白さ、凄さ、底知れなさを知らないのだ、と言いたいくらい
リアルに、この『ヒューマニタス』の放ってきた右ストレートは、未熟な私のガードなんて、呆気なくブチ破ってきた。完全に意識を飛ばされそうになったが、こんなイイ作品にKOを貰うなら本望、と笑えて倒れる事が出来そうだ
人間による、人間だけが、人間だからこそ描ける、人間の本質へと畏怖と興味、そして、敬意を抱いて迫っていく漫画
稚拙な表現であるのは自覚しているが、そうとしか言えぬ「何か」があるのが、この『ヒューマニタス』だ
一体、どんな山あり谷ありの人生を力強く歩んで来たら、こんな怒涛の漫画を自分の内から見つけ、掘り出し、形を整えられるんだ
久しぶりに、漫画そのものではなく、漫画家に「この人はどんな人間なんだろう」と興味が湧いた
山本亜季先生の才能を見出し、先導し、励まし続けてきた担当編集者さんに、心からお礼を申し上げたい。その人がいなかったら、私はこんな感動の嵐にもみくちゃにされずに済んだのだから
恐らく、帯のコトバも、担当編集者さんが考えたに違いあるまい。心の底から山本先生の漫画が好きでなければ、ここまで魅力を引き出せない。山本先生の担当編集者さんが、自分をどう自己判断しているかは知らないが、間違いなく、漫画を描くプロを支える才能があり、山本先生との相性は最良なのだろうな
人間の定義、それは色々だろう。私が考えるそれと、親が考えるそれ、友が考えるそれが異なるのは当然。自分のが正しいとも思わないし、他人のそれにケチをつける気もない。違うモノを信じた上で、相手の信じるモノを受け入れるからこそ、人間は今のトコ、絶滅していないのだろう
きっと、山本先生が考える、人間の定義ってのは、過酷な運命に真正面から戦う強さを持つ、なんだろう。もちろん、全く違うかも知れない。ただ、少なくとも、私の中で山本先生は戦いから背を向けない人だ。そして、どんなにボロボロになっても、ズタズタにされても、決して挫折せず、困難に打ち勝てる人だ
「オセロット」、「ユーリ・シルバーマン」、「エナ」、どれもこれも魂を奥底から揺さぶってくる。この衝撃を味わえるのは、傲慢でも何でもなく、漫画読みだけだろう
山本先生は綿密な取材を行った上で、この三篇を執筆したのだろう。自分の中の想像力だけじゃ、ここまで質は高まらない。週マガの『ドメスティックな彼女』でも思ったが、漫画にしろ小説にしろ、誰かに何かを伝えられる作品を生み出すには、自分の目で視て、耳で聴いて、心で感じ、経験値を溜める事が必要不可欠だ。山本先生は、普通の人が辛いから出来ない準備や努力を楽しんで行える人なんだろうな
三篇とも、凄惨な描写こそ多いが、それこそ、人間を表現している。血や痛みに対する耐性は人それぞれなのは承知しているのだが、それでも、キツい描写が得意じゃない人にも読んでほしい
難しいな、どれが一番か、を決めるのは。毎度、お勧めの話を決め、半ば押しつけているような私が言えた義理じゃないけど、こればかりは実際に読んで、自分で決めてもらうしかない
「凄い」や「面白い」、「漫画としてよく出来ている」ではなく、理由が必要ないほど、単純な「好き」で選んで構わないのであれば、私は「エナ」がズシンと来た。こう、何と言うのか、人間だけじゃなく、女性の強さも描かれているからだ、と思う
もちろん、「オセロット」は私の心に牙を強烈に突き立て、「ユーリ・シルバーマン」は心の中に蔓延っていた冷たい闇を吹き飛ばした
この台詞を引用に選んだのは、山本先生が、この『ヒューマニタス』で読み手に最も言いたい事だ、と受け止めたので。ユーリの選択が正しい、それは彼と同じ経験を積んでもいないし、ここまでの覚悟も持っていない私には言えない。ただ、間違えなかった彼を私はカッコいい、と思う。傷つくことを恐れていては掴める勝利も、指の間を擦り抜けていってしまう。何が何でも勝ちたいのであれば、捨てる勇気も持たねばならない。何も捨てたくない、と言うのなら、その甘さを突き通せるくらい、強くなるしかない

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