【感想・ネタバレ】東京オリンピック 「問題」の核心は何かのレビュー

あらすじ

さまざまな「問題」が露呈する、2020年東京オリンピック・パラリンピック。その開催に際して政府が示す「基本方針」は、日本選手に金メダルのノルマを課し、不透明な経済効果を強調し、日本の国力を世界に誇示することに固執する、あまりに身勝手な内容で、本来、もっとも尊重すべき「オリンピック憲章」の理念とは相容れないものである。二度目の開催地となる東京から、世界に発信すべき「理念」とは何なのか。本書はオリンピックの意義を根底から問い直し、2020年への提言を行なう。【目次】序章 一九六四年の光と、二〇二〇年の影/第一章 オリンピックは「開催国のために行なう大会」ではない/第二章 オリンピックは「国同士の争い」ではない/第三章 オリンピックに「経済効果」を求めてはならない/終章 オリンピックの理念は「勝敗」ではない/資料 2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針/参考文献/おわりに

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

今から大いに議論しなければいけないことたくさん。
政府(内閣)の出した方針が、オリンピック憲章の掲げるオリンピック的な価値(オリンピズム)と正反対であると。

オリンピックとは主催国のものではないし、そこの経済効果を狙ってはいけないと。
国家間同士の争いにしてはならず、むしろナショナリズムを掲げてたのは当初は東側諸国だったと。

オリンピックのためという名目でお金をその強化のために突っ込むとそのスポーツ全体の土壌が育たないので、結局は意味がなくなる。

そしてスポーツとは、高額スポンサーによって決勝時間やルールが変更されたり、親子の物語が強調されるべきものではない。
その場一瞬に見える、人間業とは思えないカオティックな瞬間を共有することであると。

いやぁ、本当に議論すべきことが盛りだくさん。

どうして新国立競技場があんなに問題だらけなのか、どこかオリンピックというのに冷めた気持ちになるのか、1964年の東京オリンピックとはどう違うのか。
そして、それから56年後にもう一度東京でオリンピックをやることの意味は何か。どういうオリンピックにすべきなのか。
とことん考えることが、4年後の主催国として求められているのだなと、考えるいいきっかけになる1冊。

ぜひ、ご一読あれ!

0
2016年09月23日

Posted by ブクログ

オリンピックに経済効果を求めてはいけないのだそうです。
1964年東京オリンピックが、日本に経済効果を与えたのは事実ですが、今の日本の状況、肥大化した現代のオリンピックでは、経済効果を上げようとしても極めて難しいようです。

0
2018年11月25日

Posted by ブクログ

著者の小川勝はジャーナリストでありスポーツライターである。1964年の東京五輪は日本にとって極めて重要なイベントであった。このオリンピックで日本人の意識が変わったといっても過言ではない。
本書に「東京五輪を、政治家や官僚や大企業が利権の内部調整に終始するだけの巨大イベントにしてはならない」とあるが、いま振り返ってみればまさにこの指摘通りの「利権の巨大イベント」で終わった感がある。
そもそも日本はその準備段階から「いかにして五輪から恩恵を得るか」という欲望を恥ずかしげもなく語り、基本方針として公表した。

0
2022年12月14日

Posted by ブクログ

東京オリンピックはコロナ前から開催費用やエンブレムなど色んな問題に直面していたなと思い出した。

本来スポーツは政治と分離されるべきとされているが、オリンピックとなると国が主導して運営をしていくから、どうしても政治マターになってしまう部分はある。さらに近年はスポーツが商業的な要素をどんどん増やしてることから、スポンサーへの配慮が求められアスリートの視点が軽視されがちになる。

もう一度スポーツの本質を考え直さなければいけないと思うし、特に組織にはそれを考える責任があるのだと思った。

0
2021年06月10日

「社会・政治」ランキング