あらすじ
古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか? 椎の木の根元から突然現れた緑色の獣とそのかわいそうな運命とは。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極に行こうとしたのか……。次々に繰り広げられる不思議で、楽しく、そして底なしの怖さを秘めた7つの物語。
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Posted by ブクログ
『レキシントンの幽霊』意味深な言葉にやられる、近しい人の死の後こんこんと眠り続け起きると心理がわかった的なところも。『緑色の獣』女のいない男にも通づるテーマかなと。『沈黙』とても引き込まれた、大沢さんの正直さや語りに引き込まれた、ボクシングを気に入った理由のひとつは深みがあるから、深みを理解する行為、深みでは孤独、同級生との睨み合いで深みの存在を理解する、トラウマとともに。『氷男』巧みな比喩、氷的性質を持つものに精通しているが自身は透明、最期は主人公も氷男に侵されていくところがいい。『トニー滝谷』ネズミ三部作のような過程を過ぎて中年で孤独に気づく男の話、滝谷省三郎は沈黙で出てくる要領がいいだけの人間を思い浮かべられる、なんか昔話みたい、結局最後は孤独になりましためでたしめでたし。『七番目の男』独白会のようなものか、最後の文章が印象的で人は誰しも立ち向かう壁のようなものがあるのだと、それは恐怖であったり夢であったりもすると思う、Kくんが波の中でカプセルの中に入ってるように見えたことは非現実的だけどリアルなつまりシュルレアリスティックに感じて印象的だった。『めくらやなぎと、眠る女』記憶と現実について、冒頭の描写が好き、ラストは怖さを感じる、この作品だけ独立した感じがする。
Posted by ブクログ
「レキシントンの幽霊」★★☆☆☆
「僕が今ここで死んでも、世界中の誰も、僕のために そんなに深く眠ってはくれない」ってロマンチックで好き。結局幽霊の正体って何だったんだ?
「緑色の獣」★★★★☆
体が緑で手足がピンクで鼻が長い、想像すると色合いが気持ち悪い。ゾウとモグラを足したような感じかな。
中身は繊細で礼儀正しくて良い奴に思える。相手の心を読める能力を逆手に取り、残虐な妄想で獣を苦しめる女が怖い。なにも悪いことしてないのに殺された獣が可哀想。
「沈黙」★★★☆☆
青木が陰湿でうざい。青木の噂を信じて大沢を助けない学校側にも問題あると思う。最後大沢は弱りきったけど、青木の目が一瞬震えたから今だにビビってんのかな。だとしたら、大沢の勝ちな気もする。
「氷男」★★★☆☆
「南極にいるこの私の夫はかつての私の夫ではないのだ」南極をきっかけに私が孤独を感じる一文が切ない。
氷男が南極行きにあまり乗り気じゃなかったのは何でだろう。南極の方が彼はイキイキしてるのに。環境に適応しすぎて、私を阻害してまうことを恐れていたのか?
「トニー滝谷」★★★★☆
自分も1人が好きで孤独を愛してるのでトニーに共感できた。妻の服と父のレコードを捨て死者を綺麗さっぱり忘れて、気持ちを切り替えるラストは清々しい。ただ、結局は恐れてた孤独に戻ってしまった訳だから寂しそう。ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか絶妙な終わり方が好き。
「七番目の男」★★★☆☆
波で飲み込まれる様子は3.11の津波の映像を思い出した。私はトラウマから逃げがちなので、トラウマと向きあい克服した私の姿勢を見習いたい。
「めくらやなぎと、眠る女」★☆☆☆☆
私といとこのやりとりがずっと続くだけでつまらなかった。