【感想・ネタバレ】ブンナよ、木からおりてこいのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年06月12日

幼い頃に相国寺の塔頭に小僧に出された経験のある水上勉さんらしい輪廻転生や今を生きることの大切さなどをわかりやすく物語にした児童文学です。

トノサマがえるのブンナくんが高い椎の木のてっぺんに登るんだけど、そこは恐ろしい鳶がエサを貯蔵しておく場所だったんだ。
そこで半殺しの状態で死を待つだけの状態にな...続きを読むったかつての天敵たち:ヘビやモズなどの会話をこっそりと聞くんだけど、そこからブンナくんはいろんなことを学んでいくってお話でした。

過去の悲しみや世間の不条理は常にあるけれども、生きるよろこびを謙虚に受け止めて、今を生きていこうってお話でした。
素晴らしいお話だったよ!

ちなみに「ブンナ」って名前は、お釈迦さまのお弟子さんの名前からとったんだそうです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年01月17日

いつ読むのが正解なのだろうか。それがこの作品を読んだ正直な感想。童話のような仕立てでありながら、残酷な地獄絵図さえ見せる生き様の物語。子供のころ読んだらうなされそうな気がする。
ブンナは両親とは死に別れ、ツチガエルの仲間と暮らす孤独なトノサマガエル。特技は木登りで、椎の木のてっぺんに登って生活がした...続きを読むいと考えるようになり、登ってみるが、そこは鳶のえさ場だった。次々運ばれてくる獲物たち。生への意地汚いほどの執着、死の恐怖。
学生のころ、よくこの作品がの演劇が近所の公会堂などで演じられているのを広告で目にして、題名は知っていた。恐らく教育的な内容のものだろうな、と漠然としたイメージしかなかった。鳶のえさ場に落とされた、傷ついた獲物の姿、その言動は、まるで戦争映画の残虐な場面を集めたような生々しさで。仏教の曼荼羅のような、丁寧で鮮やかさな筆致に目が眩む。自分が子供だったら読みたくないと思う。子供にはかなりきつい内容、しかし大人としては教えたい、この葛藤。読み終わってしばらく経った今も悩んでいる。

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Posted by ブクログ 2012年05月01日

この本はもう20年以上前
ある事で悩んでいるときに、偶然手に取った本です。
今でも何かの時に思い出し読み返していて
もうボロボロになってしまっています。


ジャンルは児童文学。著者は水上勉さんです。
もともとは1972年に『蛙よ木からおりてこい』という題で刊行されました。
青年座によるお芝居や、ア...続きを読むニメ化もされているので
聞いたことがある方も多いかもしれません。、


内容のエッセンスとしては
生きとし生きるものはすべて
生命を頂いてその中を一生懸命に生きているんだ。ということ。
(ああ、文章にしてしまうとなんて陳腐)


主人公のトノサマガエル、ブンナは
自分の力試しに高い椎の木に登ります。
ある秋の日に、とうとうてっぺんまでたどり着き
「ここは天国だ」と有頂天になりますが
やがてその場所が実は恐ろしい鳶のえさ置き場だったと知ります。


ブンナはそこにあった土に隠れながら
鳶にさらわれてきた雀、百舌、鼠、蛇、うしがえる、などの
後悔、ざんげ、あきらめ、自慢、
母への思念を聞きます。
さまざまな動物たちが生への思いを語り
そして鳶にさらわれ、また息絶える。。。
ブンナそれに怒ったり驚いたり悲しんだりしながら
やがて、命の流れに気が付いていきます。


最後のページでブンナは仲間たちにこう呼びかけます。
「おーい、みんな、がんばって生きようね、きょう一日をね、
生きられるきょうのよろこびを・・・・きのうのかなしみなんかわすれてね・・・・
みんな声をあわせてうたおうよ」

この本は巻末に
「母たちへの一文」--あとがきにかえて--
という文章が付されています。
水上氏は、この文章を
母が子供たちに朗読するために書いたそうで
私も、母としての視点で読んでいたことが多かったのですが
最近はいっぽいっぽ手探りで進んでいる自分個人の視点から
読み直していることに気が付きました。


お子さんがいらっしゃる親御さん。
生きる意味を探しているお若い方。
今、悲しい報道ばかり錯綜している今の世に
心が揺れている、そんな方に。

小さなカエルのブンナからの
大きなメッセージが伝わるのでは。と。思います。

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