あらすじ
システム構築に関するノウハウは、開発現場にたまっています。ただ、そうしたノウハウは体系立てて整理されておらず、先輩から後輩に受け継がれるなどして、個人に蓄積しているのが実情です。その結果、各現場には「この人はすごい」「この人こそ“職人SE”」と言われる人がいます。
本書の著者はそんな“職人SE”の一人。著者は長年、金融システムの「ITアーキテクト」として活躍し、大規模ミッションクリティカルシステムの構築経験が豊富にあります。
著者が20年以上の時間をかけて身につけたITアーキテクトとしてのノウハウ。それをまとめたのが本書です。著者が普段何気なく実践していることに注目し、「それをいつするのか」「なぜするのか」を整理しました。
著者の実例が随所に織り込まれており、その取り組みには説得力があります。ITアーキテクトとして一流を目指すあなたにぜひ読んでほしい1冊です。
<目次>
第1章 ITアーキテクトの醍醐味
第2章 提案のゴールは、お客様による「選択」
第3章 要件定義での「見える化」
第4章 製品選定、導入方針の勘所
第5章 システム基盤設計のチェックポイント
第6章 システム基盤構築はストーリーを描く
第7章 システムテストの神髄は「再現性」
第8章 システム移行の鍵は計画の具体化と品質の積み上げ
第9章 ITアーキテクトの心得
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Posted by ブクログ
理想と現実の狭間にある実現可能な最良の提案をするために。SEとして、ミッションクリティカルなシステムを扱う者としては当たり前のことを丁寧に記述した本。
更地からシステムを構築するにあたってはやることがたくさんあり、山ほどのタスクをこなす必要があるが、その全体像の把握、計画の妥当性の確保・確認、課題の整理をA3フォーマットで見える化しようという話だった。
当たり前のことを当たり前にやることこそ難しいと感じている今日この頃。なぜ当たり前のことをやらないといけないのか、という根本を考えるきっかけを与えてくれる。
個人的には移行の重要性について、早めに記述してある点に好感を持った。事務手続きや運用手順の変更も込みで考えることができるのか、質の高いシステム提供を行うには本当に細部まで突き詰めて考える必要がある、ということを再認識できた。