あらすじ
「夫としてはたぶんもう好きじゃないんだよね」。三十六歳で結婚をしてから十年を迎える年の正月、お雑煮を食べながら森子は祐一に告げた。別に嫌いになったわけじゃない。親友としてなら、好き。けれどももう一緒にはいたくない。戸惑う夫を尻目に森子は一人暮らしの準備をし、離婚の手続きを進めようとする――。恋とは結婚とは、一体何なのか。女性の心に潜む本音が共感を呼ぶ長編小説。
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Posted by ブクログ
これは離婚小説ではなく離活小説。
冒頭の「あじさいのうた」だけ読むと、いい歳して男の前でわざと二回間違えることを「秘技」なんて言っちゃう森子を痛い…としか思えないのだけど。しかもどうやらなかなかの読書家という設定が浮いてるように感じられて余計に頭が悪く感じてしまうのだけど。(もちろん読書量と知性はイコールではないとはいえ)
結婚当初の相思相愛ぷりを読むと、10年で冷め切ってしまった愛情にしみじみともの寂しさを感じる。
モーちゃんは習慣を大切にする人だと強調されているだけに、果たして今でも森子を愛しているのか、単に今までの結婚生活を続けたいだけなのか分からないのがまたちょっと淋しい。おそらく後者な気もする…。
山田詠美の「無線優雅」が大好きだっただけに、あの二人もこんな結末を迎える可能性は大いにあるな…なんて思うとさらに切ない。
森子がお給料をその人の実力と考えてるのは、それはちょっと違うのではと言いたい。だって旦那の勤務地に合わせるために仕事をやめたり、子育てのためにブランクを作らざるを得ない(地域によっては保育園の信頼度が低かったりするので我が子を手元で育てたいと望むのはわがままとは言えないでしょう…)女性はざらにいるのでフェアじゃないよなぁと。
旦那の稼ぎを自分のものとは考えられないって、一見殊勝なようだけど実は家事労働を軽んじた傲慢な考え方かなと。
森子も堂々とモーちゃんの貯蓄もらってっても少し贅沢な一人暮らしスタートさせたらよかったのに!