あらすじ
2014年、石塚英彦主演で、「水曜ミステリー9」(テレビ東京系)ドラマ化! 今、何かと話題の「生活保護制度」の矛盾を突く問題作! 生活保護者を担当するケースワーカーとして、大津市役所に勤める石坂壮馬。彼は、生活保護をもらうだけでいっこうに自立しようとしない者や、仮病などで保護費を詐取しようとする者、そして被保護者を食い物にする「貧困ビジネス」の存在に、生活保護制度の矛盾を強く感じていた。そんな中、大津市内では、あくどく稼いでいると評判の者から盗みを働き、貧しい人々に金を配る「現代のねずみ小僧」が話題になっていた。――ねずみ小僧に複雑な思いを抱く壮馬だったが、ある日、彼の担当する被保護者が殺される事件が起こり……。殺人事件の意外な真相とは? そしてねずみ小僧の意外な正体とは? 「横溝正史ミステリ大賞」受賞でデビューした社会派の気鋭が格差社会の闇に迫る、二転三転する衝撃のミステリ。
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Posted by ブクログ
逮捕されることのなかった伝説の義賊「ねずみ小僧」。
そして生活保護を詐取していたと思われる者の死。
ケースワーカーである石坂の目を通して生活保護制度の矛盾点だけでなく、事件に隠された・・・犯人が隠したかった謎があきらかにされていく。
ある種の制度があれば、必ずそこには不正を働く人たちがいる。
悲しいことではあるけれど、すべての人が善良であるはずもなく、一部とはいえ制度を悪用する人たちも出てきてしまう。
金銭が絡む制度ほど、担当する人たちだけでない第三者的なチェック機関が必要とされているような気がする。
もちろん、費用や人員などの問題があって現実味はないかもしれないけれど・・・。
物語は生活保護制度の役割と目的、そして矛盾点を描きながら、殺人事件を解き明かしていくミステリーとなっている。
結末には賛否両論あるだろう。
「納得できる」と思う人もいれば、「これはない」と否定的に捉える人もいるとは思う。
一応上手く着地しているようにも感じるけれど、どこか中途半端な感じが残ってしまう物語だった。