【感想・ネタバレ】はじめての古寺歩きのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

古寺歩きのポイントは3つー仏像・建築・庭園―だという。ただ、この3つ全てを兼ね備えた寺はほとんどない。
奈良・平安期までの寺は、仏像に見応えがあるが、鎌倉以降の禅宗では、仏像にあまり重きを置いていない。禅宗では、寺は修行(座禅)の器という観点が重要となり、庭園に力が注がれている。江戸時代になると、仏像はほとんど美術的価値を失う(湛海と円空は優れた仏師と評しているが)。寺請制度・檀家制度により、寺が役所の役割を果たすことになり、宗派間の競争が無くなり、堕落したからである。

建物においても、三重塔、五重塔は見応えがあるが、落雷等による焼失の後、再建されたものも少なくない。搭は、もともと釈迦の舎利を納めたもので(搭の基礎部分に舎利を納めた容器が埋められている)、本来境内に一つだけのはずだが、これが守られているのは飛鳥時代のお寺くらいである。

仏像の種類「菩薩」「如来」「明王」「天」、「印」(印相(いんそう)、印契(いんげい))の結び方、「脇侍(きょうじ)」なども解説されており、複雑な仏の種類の整理と理解に多少役立つ。

井沢氏の著書は、「逆説の日本史」に代表されるように、学会・通説に囚われない解釈が面白いが、本書は、古寺の基本事項を口語体で解説したもので、斬新な内容ではない。後半は実体験に基づいた拝観のマナーや身支度、心得などを丁寧に紹介する。また、仏像・建築・庭園のいずれかが優れているとして「訪れておきたい古寺」として、80の寺を推薦しており、古寺歩きの入門ガイドといった内容である。

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2018年03月14日

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