あらすじ
“最後のセーフティーネット”児童相談所は、なぜ虐待を見過ごして
しまうのか?
虐待された子どもの「最後のとりで」となるのが児童相談所です。
必要とあらば親と引き離したり、一時保護所で預かったり、訪問や
カウンセリングをして安全を確保する役所・・・のはずなのに、
「児童相談所に何度も通報していたのに虐待死してしまった」
という例が後を絶ちません。
人手不足、専門家の不足といったハード面の限界は各メディアでも
言われていますが、それは本質的な問題ではありません。
本書で取り上げる問題の一例は――。
・心理的虐待、ネグレクトの相談終了の判断基準は「死ぬことはないから」
・虐待は手間と時間がかり責任を負いたくないので、学校、保育園などに
押し付ける
・役所の中で児相は超不人気部署。お役所体質の問題が凝縮
なぜ虐待が起きるのか、見過ごされるのか、どうしたらいいのか?
著者は19年にわたり心理司として児相に勤め、2000人以上の家族と
接してきたプロフェッショナル。15万部のベストセラー『教室の悪魔』を
記したカウンセラーが、子どもたちの悲痛なか細い声を交えながら、
満を持して問題のすべてを論じます。
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Posted by ブクログ
子ども、特に虐待児と関わる可能性のあるすべての人に読んでもらいたい、と読み進めながら思っていた。
でもこの本はすべての大人が読む必要がある、と最後の1ページで痛烈に感じた。
Posted by ブクログ
2016年とやや古い本であること、人口が多い分扱う件数も多くなる東京ならではかもしれない、という二点は気になるが、児童相談所の実態とその要因について分かりやすくまとめられていた。
・児童福祉司は資格をもつ児童心理司と異なり地方公務員が異動してきたに過ぎない。
・専門知識がなくても児童福祉司になれるうえ、「児童を保護する必要がない」と判断すれば管理職に報告する必要もなく、保護にあたる手続きより圧倒的に楽になる。
・子どもや親の支援という融和的な仕事と、時には「職権保護」として親から引き離す強権的な(当然親と決定的に対立してしまう)仕事を同時に行わなければならない。
・そもそも一時保護所が(地域によるだろうが)常に定員ギリギリで、言葉だけでも親が「もう虐待はしない」と言っていればさっさと親元に子どもを帰してしまう(すぐに出そうとする)
・こういった背景により真に被害者である子どもより強い言動をする親におもねってしまう
声をあげることが難しい子どもの立場に立ち続けることの難しさと、児童相談所の実態をもっと知る必要性をとても実感できた。
Posted by ブクログ
児童相談所に勤務していた筆者からの厳しすぎる告発。親と子のいびつな関係、専門職とみられている児童福祉司という無責任な仕事ぶり、それに追従する心理司など、これでもかとあげつらっていますが、何とも今回の貴乃花親方から批判されている気がします。
ただし、私は貴乃花親方を断固支持する人間ですので、山脇さんにも児相をやめずにいてほしかったと思いました。
Posted by ブクログ
児童福祉司の実態に唖然とする・・・。
それなのに児童心理司より立場が上ってどういうこと?
組織も中身もめちゃくちゃで、これじゃあ虐待死が無くなるわけないし、いくら通報したって無駄じゃないかと思ってしまうような酷い状況で、まったくもって虚しい気分になる。
本書の著者のような人が専門のオフィスを立ち上げることは素晴らしい。でも、そこへたどり着けないような人を救う手だてはないし、虐待されている子供のへの対応が悲惨すぎて頭を抱えてしまう。
確かに、粗暴な親と対峙するのは怖いし、敵対することは避けたくなる。でも、だからこそ専門家が必要なのに。
警察や他の機関ともっと協力することはできないのだろうか?
普通の会社だったらありえないような杜撰さで、お役所仕事とはこういうものなのねと改めて思う。
「人の目」って大事だなと思った。
でも、同じマンション内でも、どこの子供かわからなかったりする。それでも、外に出されて泣いている子供がいたら、気にするくらいのことはできるだろう。
子供の未来が理不尽に閉ざされてしまうことの無いようにと痛切に願う。
Posted by ブクログ
児童相談所が虐待を見逃し子供を救えていない。知識も経験もなく、配属された公務員である児童福祉司は、報告義務がなく大きな権限を持つにもかかわらず、感情で判断し、子どもを見ず親のいいなりになり、吟味せずさっさと相談を終わらせる。
機能しないのもあたりまえな構造になっていることを知りました。プロ意識を持った人が育成されるしくみが必要だと思いました。