【感想・ネタバレ】狐武者のレビュー

あらすじ

多くの昔話や稲荷信仰にたとえられるように、狐は古くから人に親しくも、とても神秘的な動物だった。そんな超自然の力を持つ狐に守護された若き武士が、激動の乱世を生き抜いていく不思議な物語「狐武者」をはじめ、深窓の女子学生失踪事件をめぐる男女の愛憎劇をサスペンス溢れる筆致で綴った中編「うす雪」など、7編すべてが文庫初収録となる幻の傑作集!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

岡本綺堂の文庫初収録作品、全7編。
時代小説文庫なので、すべて時代劇かと思っていたが、
そうではなかった。
『青蛙堂鬼談』の愛読者ゆえ、
ゾッとする怪異譚を期待していたけれども、
意外に薄味、アッサリしていた。

■うす雪(1918年)
 雑誌編集長・須郷匡三の妹・貞子は女学校の教諭で、
 自宅に数人の生徒を寄宿させていたが、そのうちの一人、
 栗田男爵令嬢・雪子が姿を消したという。
 捜索に力を貸そうとした匡三は意外な事実に行き当たった――。
 携帯端末どころか固定電話すら普及率の低かった時代、
 探偵ごっこも大変だったのだ(笑)。

■最後の舞台(1920年)
 語り手「私」は六、七年前に一度会ったことのある女性と
 偶然再会。
 かつて女優志望の彼女に見込みはなさそうだから
 諦めた方がいいとアドバイスした「私」だったが、
 彼女はその後、ほどほどに活躍しているらしかった。
 ところが……。

■姉妹(1921年)
 タイトルの読みは「きょうだい」。
 某男爵家に仕えていた女性「わたくし」の回想。
 男爵令嬢姉妹の姉・常子について。

■眼科病院の話(1920年)
 梶沢医師が近所の眼科医院で起きた一件に巻き込まれる話。
 院長・津幡の女性関係と、
 それに付け込んで悪事を目論んだ者たちについて。

■勇士伝(1924年)
 天正十年四月、豊臣秀吉に攻め込まれた備中高松城。
 城主・清水長左衛門宗治に仕える矢坂次郎兵衛光近は
 河童と狸の助力で様々な手柄を立てたが……。

■明智左馬助(1923年)
 近江国の若侍・入江小七郎十七歳が狐に取り憑かれ、
 禰宜がお祓いをしようと申し出たが、
 後から訪ねてきた父・長兵衛の知人・三宅弥平次が疑義を……。

■狐武者(1924年)
 元弘三年、
 肥後の菊池から大宰府へ向かった入道寂阿の配下、
 十八歳の若侍・真木小次郎重治の記憶。
 彼は父が母と結婚する前に契った狐の化身に
 見守られ続けていた。

0
2021年03月12日

「小説」ランキング