あらすじ
【英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞】四名が死亡した現金輸送車襲撃事件の共犯として十年の刑に服していたオーディ・パーマー。奪われた七百万ドルの行方を知るとされる彼は、服役中どれほど脅されても金の在処(ありか)を吐くことはなかった。時は経ち、出所日前夜。オーディは突如脱獄を果たす。もう一日待てば、自由も金も手に入ったはずなのに……。彼の決断の裏には恐るべき陰謀と悲劇が――スティーヴン・キングが絶賛した著者の代表作!
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Posted by ブクログ
10年の刑に服してた男が出所日の前日に脱獄、何故?
この掴みで一気に物語に引き付けられる。主人公、主人公を追うために出所させられた同房の男、事件を追うFBI職員、この3人の視点で物語が多角的に描かれる。
それも現在の逃亡劇だけでなく、過去主人公が起こしたとされる現金強奪事件の真相を徐々に明らかにしていく展開は見事で、後半一気に謎が解けラストになだれ込む緊迫感の盛り上げ方はうまい。
さらには、横糸となる主人公と最愛の女性、その息子、逃亡中に知り合う女性と娘との関わりなど、ドラマ部分もしっかり出来ているので感情も移入できる。
文章も描きこみがしっかり出来ていて、マイケル・ロブサムという人は初めて読んだが抜群の出来。
こんな練り上げられた作品を読むと日本の作家の粗製乱造ぶりが嘆かわしい。
Posted by ブクログ
スティーヴン・キング絶賛という惹句はあまり信用しないのだが、これは文句なく傑作。早川書房好みだね。読者にあまり心のうちの見せないオーディの過去が徐々に明かされる毎に、これは悲しい愛の物語なのだと思った。兄のカールの過ちのせいで大学を追われ、事件の現場に偶然居合わせたというだけで、全てを失い、こんな苛酷な運命ってある?でもカールのことがなければ、ベリータとは出会えなかったかも知れないし。まさに禍福はあざなえる縄のごとし。