あらすじ
「中国ショック」は歪な経済システムの行き詰まりを示す、表層的な現象にすぎない。統制過剰、隠蔽、縁故、拡張主義、国際規律無視……中国経済を行き詰まらせるのは何か。2015年の株式市場の暴落をはじめ、中国経済はその変調を隠しきれない。国内には未だ大きな開発余地があるものの、共産党による経済運営はさまざまなレベルで軋みが生じ、現状の体制システムのままでは早晩、低成長の常態化に追い込まれる。「国有企業は需要減でも人員調整できず、『目標』達成のためだけに無意味な生産が続く」「不祥事、事故はもとより、経済の変調情報すら隠蔽される」「党の『計画』が優先され、誰も住みたくない土地に高層住宅が建ちまくる」……。さらに無理な拡張主義、横暴な国際ルールの無視により、周辺国・先進国との経済協力にも障害が生じる。国際社会で孤立する中国は、成長を阻害する。中国総局で経済分野を追った日経記者が、中国経済を長期的に低迷させる社会的な矛盾、問題について現場レポートする衝撃のルポ。
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Posted by ブクログ
★2012-16の中国★マクロのニュースはどうしても劣化が早い。二期目の習政権の内容がいまでは分かっているため、冒頭の方の共産党の権力争いにかかわるトピックスは答えを知ったミステリーのようになってしまう。
それよりも構造的な話題や個人の経験の方が面白い。地方政府は土地譲渡で歳入の3割を稼ぐのは知らなかった。土地が公有だったからこそ、政府が金を次々と生み出せるのか。それも公務員には安く売りだされるから、官民で差が広がるとは。重慶で取材をしていると、面識のない地元の党宣伝部から携帯にメールが届いたという。本当にそこまで監視されているのか。
歴史なのかマクロ政治なのかミクロの人々の暮らしなのか、描き方はいろいろあるだろうが、どう組み合わせて表現するかは難しい。