あらすじ
光春は、洋卓ごしに鉄之助をジッと見つめました。彼の目は、どうかすると緑色に見えるのです。そういう彼の瞳に、覗き込むように見詰められると、もういけません。言いたくない、言いたくないという気持ちとは裏腹に、口は操り人形のように勝手に動きだしていました。 「…………ウン。じつは……或る日の、ことなんだ」――そして語り出す。「衛生博覧会」に展示されていた、臀部の模型の肌ざわり、肉感、拒むようなきつい締め付けを…あの変態的な情欲のあらましを――。
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Posted by ブクログ
小説ガッシュで表題作を読んでから、続きが読みたくてたまらなかったお話。
この文庫発売は待ってました!
表紙イラストやタイトルから
“「獲物を絡めとらんと巣を張って待ち構える女郎蜘蛛」的妖艶な美青年に
朴訥な青年が狙われちゃって、まあ大変”な淫靡でエログロな物語なのかと、
語り口やなにやらから勝手に思い込んでいたら!
物語が進むに連れて「思わせぶりでツンな坊ちゃま」の素の顔が
少しづつ見えてきて、印象がだんだん変っていく。
そしてついに!まあもうもうもう!めっちゃ可愛い!
しかし攻は鈍すぎだろう。
金さんの感想と以下同文。あとがき漫画の坊ちゃまが可愛かったー。
背景となる昭和初期の風俗なんぞも興味深かった。
またこの時代の物語を書いて欲しいー。
Posted by ブクログ
とりあえず、まず言っておきます。
めちゃくちゃ分厚いです……
これこそ、旅のお供に連れて行けばよかった……と思うレベルの分厚さでした。(すぐに読み終わってしまうので)
物語は、家柄もお金もある美男子から求愛を受けているのに、まったく気づかない鈍感男の話。
ラブコメでこういうのあるよねー! っていうのがBL小説になった形です。
しかし、ラブコメみたいに絵で誤魔化したり、テンションで誤魔化したりしにくいので、これされるとかなり残酷なんだなあ……というのがぐさぐさ刺さる感じで、面白かったです。
ただ、結局ぐるぐる同じところを回っているだけなので、もどかしいのが苦手な方にはオススメできません。
もどかしいすぎて残酷な分厚い恋愛話を読みたい人にはオススメします。