あらすじ
シークと過ごす甘美な時間は、砂に描く絵のごとくはかない。
秘書のリタは、妹を故郷に呼び戻すため、偽りの結婚式を仕組んだ。憧れのボス、サキールには秘密で、彼が花婿ということにして。式にかかる費用も、招待客に嘘を謝罪するのも、愛する妹のためを思えばたいしたことではない。しかし、バージンロードへ向かったリタは、目の前の光景に頭が真っ白になった。砂漠の国の王のようなカフタンをまとったサキールが祭壇に立ち、余裕の表情で彼女を待っていたのだ。顔面蒼白のリタを見据え、彼は驚くべき言葉を口にした。「妻として我が祖国エマンドに来てもらおう――ビジネスのために」■様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は人気テーマのボス秘書、しかもボスが砂漠の国の王子という欲張り設定。偽りの結婚式に予告なしに現れ便宜結婚を強制した、非情なボスの狙いとは?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
過去に出たデザイアシリーズの中から選ばれた傑作選。なるほどと思える面白さでした。
作品説明には、「砂漠のシークとの情熱的な恋」、「憧れの上司(ボス)との恋愛」、「愛なき結婚」と、読者が憧れ求める三要素が盛り込まれた作品という風に書かれていたと思います(一部、表現の相違や思い違いがある可能性大)。
ヒロインのリタは妹を故郷に呼び戻すために、偽装結婚を計画します。その相手、偽りの結婚の花婿は、何と勤務先の上司。彼はリタが長年、憧れて止まないボスであり、また砂漠の王国の第2王子でもありました。どうせ結婚式のことは彼に知らせてないのだから、彼が来るはずも知るはずもない―と思っていたら、何と、その新郎が式に現れました。
大いに狼狽えるリタに、彼は取引をしようと持ちかけます。
それは、「ビジネスのために協力して欲しい」というもので、更に「三週間だけ、ある取引を成立させるために僕と結婚すること」という内容でした。
ボスに恋していたリタは、三週間だけ夢を見るつもりで、その取引に応じるのですが―。
最後は、この手のお話の王道として、数々の試練や葛藤を乗り越えた二人が互いの気持ちを確認しあい、偽りの結婚が本物になるというところで終わります。
落としどころも王道で安心して読めますが、もうちょっと読者の期待を良い意味で裏切るような部分があっても良かったのかなと思いました。
個人的には、シークの兄である国王も何やらいわくありげな過去を持つ魅力的な男性なので、彼を主人公にし物語りも読んでみたい気がします。