あらすじ
本書は、フランクルの人生論について、彼自身の言葉も紹介しながら、解説したものである。フランクルといえば、世界的なロングセラー『夜と霧』で有名だが、この書で彼は、「この世の生き地獄」ともいうべき状況の中で、「それでも人生にイエスと言う」ことができるとすれば、それは何によってであるかを示した。もちろん、現代日本は強制収容所ではない。しかし、この書が長く読み継がれ、フランクルの思想が語られ続ける理由の一つは、強制収容所とどこかよく似た、生きる意味の「空虚感」や人生への「絶望感」が、我々自身も意識できないほど、静かに広がりつつあるからではないだろうか。それは、いかにして克服できるものなのだろうか――。フランクルの訳書を数多く手がけ、年来、東洋思想とも関係づけながら、彼の思想を探究してきた著者が綴った、フランクルに学ぶ「生きがい論」。
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Posted by ブクログ
まだ消化し切れず、感想というより要約になってしまいます。
でも、新しい発想。そして今の私には大切な考え方。
成功ー失敗の価値観ではなく、充足ー絶望の価値観への転換を。
経済的、社会的に成功していても満たされない人が多い。
でも勝ち組負け組にこだわる人も多い。私もそのひとり。
そこから転回しましょうと。
人生に何かを期待するのではなく、人間は人生から(あるいは宗教的なもの?)から、何を期待されているかを意識したらきっと変わるだろう。
人間を支えるもの。
まずは唯一性、かけがえのなさ。
誰かにとって、あるいは何かにとって自分はかけがえのない存在であると。
待っていてくれるもの、と解釈しました。
それを可能とするのは関係性。
相手のありのままを肯定し受容する。それが相手から返ってくる。
その関係に応答する責任が生じる。
誠実さ。
それら三つを結びつけると生きがい(死にがい)が生じる。
人生における価値は三つある。
まずは自分が能動的に何かを生み出すことで実現される創造的価値。
我を忘れるくらい没頭できるもの。
次に体験価値。受動的に世界から何かを受け取ることによるもの。
自然界であったり、芸術であったり、人からの好意であったり。
そして最後は態度価値。
変わらないもの、運命的なものをそのまま受け入れ苦悩に耐えることで得られる価値。
それは生い立ちを含めた過去であったり、どうにもならない現在であったり。
それは自ら受容を決断しないと意味がない。
運命と自由。その人の自由な決断と責任性の自覚にかかっている。
苦悩には意味がある。苦悩の底が抜けるまで耐えてみよう。