【感想・ネタバレ】中国残留孤児 70年の孤独(集英社インターナショナル)のレビュー

あらすじ

自分は誰なのか?――それは生涯、終わることのない苦悶。伝えたいことは、平和への願い。戦争さえなければ、こんな人生は生まれなかったのだから――。戦後70年、人々の記憶から薄れつつある「中国残留孤児」。彼らの苦悩は2世、3世の時代になった今も続く。いまだに肉親を探し出すことができない……自分の本当の名前もわからない。本出身地も知らない。自分がどこの誰なのか知らない。中国にいたときは、「日本人」といじめられ、日本に帰ると「中国人」と言われる。自分はいったい誰なんですか? 居場所はどこにあるんですか……? 東京・御徒町の一角にある「中国残留孤児の家」。そこに集う中国帰国者とその家族たちの、波乱の人生。戦後70年間孤独を抱えながらも、たくましく、明るく生きる「帰国者」たち。日中関係の悪化を誰よりも憂い、もう二度と、自分たちのような人々を出してはいけないと心から願う。そんな愛すべき人々の人生を、丹念な取材を通して描く。「戦争」が生んだ傷跡の「いま」を抉るノンフィクション。

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Posted by ブクログ

山崎豊子先生の「大地の子」を読んでから中国残留孤児について深く知りたいと思って手に取った一冊。

中国残留孤児に縁のない著者が本書を執筆するきっかけになったのは、金沢東京間で起きた夜行バスの交通事故。
運転手は残留孤児2世の男性で、激務により睡眠不足が続いていたのに業務を引き受け、事故を起こしてしまう。7名死亡、10名以上の重症者を出した本事件はあまりに凄惨で、また若い犠牲者が多かったことから、より被疑者への非難は強かった。
残留孤児2世という特殊な属性をもつ被疑者、その育った環境、労働環境に関心を持った著者は残留孤児のコミュニティに参加して徐々に信頼関係を築いていく。

国家による満州移住計画、敗戦による混乱、ソ連兵の略奪、毛沢東による大躍進政策に文化大革命など、「大地の子」で描かれていた世界、そのままの経験をもつ人物がたくさん登場する。

日本国、また日本国民は、なぜこれほどまでに残留孤児に対して冷たいのかと思っていたが、本書を読んで納得した。
そもそもの発端である移住は、自分達で決めてしたこと、また、移住者というのは戦前の日本で貧困を極めていた人々(事業に失敗したり、借金を重ねていた人)が中心だっため、自己責任であるという論調だったのだ。
自分達の意思で満州に渡り、その後敗戦の混乱はあったとは言え、自分達の意思で中国に残ったのだから、その責任を国家に追求するのは間違えているというのである。この点、敗戦時に13歳以上だった者への自己責任論はより厳しい。

本書でも、大地の子の養父母のような中国人達が多数登場する。日本軍に恨みはあっても幼い子供達に罪はないと我が子同然に育て上げた中国の養父母たちは、国や民族を超えた人間らしさ、温かさを感じる。私たち日本人は、国家としての中国と国民としての中国人を分けて考える必要があると感じる。

しかし、本書に登場する人たちは孤児の中でも恵まれた方。敗戦の混乱の中で命を落とした者、命は助かっても養父母に虐待された者、読み書きができずに、日本に帰国できることさえ知らずに中国で生涯を終えた者、本書に出てこない悲惨な生涯を送った孤児達はたくさん存在しているのだと思うと胸が痛む。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中国残留孤児に関する本を読むと、どうしてもテレビドラマ『大地の子』を想いだしてしまいました。戦争によってかけがえのない親を兄弟姉妹を祖国を失い、そして過ぎ去った時間は二度と戻ってこない。

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2015年12月07日

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