あらすじ
イマジナリ・フレンドとは、孤独な人間だけに見える空想のともだち。悩みが解決されると消えてしまう。他人とのコミュニケーションが絶望的に苦手な大学生の山持浩之(やまじひろゆき)は、イマジナリ・フレンドのノンノンと一緒に、リアルではひとりぼっちだけれど脳内では幸せな毎日を送っていた――このままで良いのかと、小さな不安を感じながら。そんな山持を見かねたノンノンは、似たような人々が集まるカンパニーへと誘うのだが……。
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Posted by ブクログ
ファンタジー好きの私にはとても面白く、スラスラと読める作品だった。
空想ともだちカンパニーという名前を口に出した時の感じが心地よい。
山持浩之(ひろゆき)とノンノンが両思いな関係であるのは少し驚いた。ノンノンがいなくなってしまってからすぐに春日桃子さんに告白したのは少し残念だった。ノンノンのことを少しだけでも、破片だけでも覚えていてほしかった。
ゲイであると思われる仁さんの登場が少し面白かった。そこだけ少し大人が混ざっている感じがした。多分、彼がゲイである必要はそこまで無かったのではないかと思ってしまうが、そこに完璧ぽい仁さんの人間味が表されているのかと思う。
表紙のピンクのような夕焼けの色味はとてもこの作品のイメージと合っていると思う。
ノンノンに一度会ってみたい。
Posted by ブクログ
タイトル通りイマジナリフレンド(空想の友達)を題材にした小説です。ただし、この物語はファンタジーで、この作品では一部の人々には他人のフレンドが見えたり、フレンド同士が相互に関わったり出来ています。
そうしないと物語がなかなか発展しづらいのかなとも思いますが、この点で現実味が薄くなってしまっているのが少し残念かなあとか、序盤はそんなことを思ったりもしました。ですが、関わってくる人々みんなが温かくて、この物語のルールを受け入れてからは、物語に引き込まれていきました。
冒頭の1ページ目の会話は、強烈な懐かしさと温かさと切なさを覚えましたし、本編は、他人が干渉できることを除けば「うんうんそんな感じだよねー」と思いながら読んでいました。後半は感動的なエピソードあり、悲痛な物語もありで、所々で涙ぐみながら読み進めました。
主人公「やまじ」と彼のフレンド「ノンノン」とのやりとりは、優しい言葉でもトゲのある言葉でも終始とても温かくて。読後は、この本を胸に当てて抱きしめたくなるような、宝物をもらったような、そんな気持ちになりました。