【感想・ネタバレ】闇ウェブのレビュー

あらすじ

買えないものは何もない! 悪魔のネットショッピング。
麻薬、児童ポルノ、偽造パスポート、偽札、個人情報、サイバー攻撃、殺人請負、武器……「秘匿通信技術」と「ビットコイン」が生みだしたサイバー空間の深海にうごめく「無法地帯」の驚愕の実態! 私たちの生活を便利にしてくれるインターネットの奥底には異様な世界があった。自分の家族や会社を守るための必読書。

【おもな目次】
■序 章 現実社会を動かすサイバー空間■

■第1章 サイバー闇市場の実態■
検索エンジンの届かない世界/麻薬の一大取引所/偽造パスポート、偽札、児童ポルノ、殺人請負 など

■第2章 盗まれた個人情報の行方■
世界中で売買される個人情報の値段/医療・保険データは「カネになる」/流出情報が「成りすまし」に使われる? など

■第3章 サイバー闇市場へのアクセス■
ダークウェブを形作る匿名通信ツール「Tor」/闇市場を拡大させた「ビットコイン」/悪のマーケットプレイス など

■第4章 「Tor」と捜査機関の攻防■
遠隔操作ウイルス事件と日本警察/アメリカの諜報機関も頭を悩ます/Torにも弱点がある!? など

■第5章 最大の闇市場「シルクロード」の黒幕逮捕■
史上最悪のサイバー闇市場/8000万ドル荒稼ぎした黒幕「ウルブリヒト」の素顔/取り沙汰された「マウントゴックス」との関係 など

■終 章 終わりなきサイバー犯罪との戦い■
盗まれたFBI長官の個人情報/日本のサイバーセキュリティ体制の現実/医療ビッグデータのリスク/フィンテックも危ない など

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Posted by ブクログ

ネタバレ

闇ウェブ (文春新書) (Japanese Edition) by セキュリティ集団スプラウトを読みました。

2015年5月29日、ニューヨーク州マンハッタンの連邦地方裁判所で、Silk Roadの黒幕「DPR」の正体として告訴されていたロス・ウィリアム・ウルブリヒト容疑者に仮釈放なしの終身刑が言い渡されました。この匿名サービスを利用した悪名高きオンライン薬物市場サイトの裁判は、世界中のインターネットユーザーやセキュリティ関係者の注目を集め、その判決に関するニュースはFBIのプレスリリースのページにも取り上げられました。彼の審理には殺人も殺人未遂も含まれていないことから刑罰は重過ぎるといった意見や薬物を国に蔓延されるものにいかなる刑罰も重過ぎることはないという意見など多様な議論が交わされています。


> オペレーション・オニマスの派手な成果を受けて、Torコミュニティには衝撃が走った。「もしやTorに何か致命的な脆弱性があったのではないか?」「Torはもう安全ではないのではないか?」と多数のユーザーが不安を募らせた。それを裏付けるかのように、ユーロポールのヨーロッパサイバー犯罪センター主任は、プレスリリースの中で、「我々は単にこれらのサービスをオープンなインターネットから排除しただけではなく、今回はTorを使ったダークウェブにおいて打撃を与えたのだ。長い間、犯罪者たちはTorが司直の手の及ばない場所だと考えていた。だが今や我々は彼らが不可視でもなければ手の届かないものでもないと示すことができた(16)」とさながらTorの匿名性を破ったかのように述べている。Read more at location 1447

彼の所有するWebサイト(Silk Road)は法執行を回避するためTorを利用しています。Torは複数の仲介サーバを利用して接続経路の暗号化とTorの中間経路の暗号化を行うプロトコルです。誤解のないように説明をするとTorの技術自体は非合法利用を目的に作成されたものではありません。通信の秘密が守られない可能性が高い場所で、人権活動家・反体制活動家などが安全に海外の情報を入手したり、協力者と連絡を取ったり、国内の状況を海外に発信したりするため利用することがあります。もし身元が政府にわかってしまったら、逮捕や投獄、場合によっては命にすら関わる危険性がある国も多いため、そういった国の人々を守るためにもTorの技術は使われています。

セキュリティ関係者の関心事の一つにTorの匿名性はFBIによって破られたのかといったものがあります。

> オペレーション・オニマスの派手な成果を受けて、Torコミュニティには衝撃が走った。「もしやTorに何か致命的な脆弱性があったのではないか?」「Torはもう安全ではないのではないか?」と多数のユーザーが不安を募らせた。それを裏付けるかのように、ユーロポールのヨーロッパサイバー犯罪センター主任は、プレスリリースの中で、「我々は単にこれらのサービスをオープンなインターネットから排除しただけではなく、今回はTorを使ったダークウェブにおいて打撃を与えたのだ。長い間、犯罪者たちはTorが司直の手の及ばない場所だと考えていた。だが今や我々は彼らが不可視でもなければ手の届かないものでもないと示すことができた(16)」とさながらTorの匿名性を破ったかのように述べている。Read more at location 1447

FBIがどのようにサイトの所有者を見つけることができたのか、その手段は明らかになっていません。実際にTorに技術的な脆弱性があったのか、あるいは犯人が致命的なミスを犯していたのかはわかっていません。このオペレーション・オニマスの作戦による大規模な摘発により410以上のマーケットサイトと多数の運営者が逮捕されました。FBIは大規模な摘発により世間にTorの匿名性が絶対ではないと示す意図があったことは明白です。しかしながら、Torに致命的な脆弱性があったとは言えない状況です。

> 冷静に考えると、匿名性を破ったにしてはおかしい点がある。シルクロード2・0よりも大きなドラッグマーケットが少なくとも二つ、摘発されずに残っているのだ。匿名性に縛られずにどの秘匿サービスでも摘発できるのであれば、「大物」からやっつけるのが法執行機関としては自然だろう。しかし「小物」の方から摘発したということは、シルクロード2・0にはつけ込める弱点が存在した一方で、「大物」の方にはそれがなかったので摘発できなかった、と見るのが妥当だRead more at location 1459


私はコンピュータ・セキュリティにかかわるものとしてリサーチなどの目的にGr\*\*\*のような匿名マーケットの検索サイトを見ることがあります。もちろん私自身は違法な取引などは行いません。私のようなリサーチを目的としたものや興味本位のものを含め多くの人々が検索サイトを利用していると考えます。ここではありとあらゆる機密情報や個人情報が違法なものがやり取りされていることが確認できます。ある程度の知識があれば誰であれ違法なものにアクセスすることができるでしょう。これは社会基盤に対する脅威といえるでしょう。

我々はセキュリティの最前線でどのようなことが起こっているかを知り、どのようなことができるかを対策していく必要があるだろうと考えます。

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2016年08月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

都市伝説やオカルトといった類ではなくインターネットのセキュリティの観点からの本でした。
数々の実例があげられていてリアルなこわさを感じました。
とりあえずは首をつっこまないことがいいのかも。

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2019年02月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

我々が普通に使っているWeb(サーフェスウェブ)インターネットの1%未満で、ほとんどのWebは検索エンジンに引っかからないように作られている。これをディープウェブというが。その大半はアングラなものではなく、楽天のマイページやGメールといったもの。さらにその奥にあるのがダークウェブで、違法な物品の売買市場などに使われている。

ダークウェブにアクセスするにはTor,I2P,フリーネットなどが使われる。それぞれ、独立したネットワーク空間で、一番よく使われているのがTor。

Torでは、ディレクトリサーバから入り口ノード、中継ノード、出口ノードの3つが選ばれ、それぞれと暗号化通信を行うための鍵が渡される。
クライアントはこの3つの鍵で暗号化したデータを入り口ノードに送る。
入り口ノードは自分の鍵で暗号化を解除するが、中身は更に暗号化されているのでどこから来たか、どこへ送るべきかは分かっても中身は分からない。
次の中継ノードも自分の鍵で暗号化を解き、次の送り先を知るが中身はやはり分からない。また、中継ノードは入り口ノードから来たことはわかるが、もともとの送り主は分からない。
次の出口ノードで暗号化を解除すると中身、最終的な送り先はわかるが、通信経路として辿れるのは中継ノードまで。

ビットコインはその匿名性ゆえに、これら違法物品の売買のために用いられるようになっていた

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2017年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

検索エンジンからはアクセスできず、またTorブラウザ等の専用のブラウザからしかアクセスできないダークウェブ及びそこで起こっていることについて説明している書籍。

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2017年05月24日

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