あらすじ
私、生徒会長、辞めるね――。あまりに突然の告白に、みなが言葉を失った。早伊原(さいばら)樹里の姉・葉月による辞任宣言。真面目で、責任感の強い会長が、なぜ? 疑念を拭えない春一は、辞任の真相を調べ出すとともに、会長との日々を回想する。花火大会、肝試し、そして、自身が生徒会に入る契機となった銅像消失事件。青春と恋愛とがせめぎ合う、切なくほろ苦い青春ミステリ第3弾。
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Posted by ブクログ
早伊原樹里と上九一色が同じ中学出身で、六月の時点で約束を交わしているにも関わらず、生徒会合宿で〝めぐみ〟が早伊原樹里に「初めまして」の挨拶をしているのが気になりました。観察力に優れている早伊原樹里が上九一色=めぐみであると気付かないと考えられず、また上九一色も約束の時点で早伊原樹里の本当を知っているはずなので、気付かれている事を知っているのだと考えられます。その上で挨拶をしたのだと考えると、〝めぐみ〟は上九一色=めぐみと同一人物であると気付かれていようが〝めぐみ〟として初対面であれば「初めまして」の挨拶をするのだと考えられ、そこまで徹底して演技をする上九一色恵の異常性にぞっとしました。そして、だからこそ「嘘は本当の証」だという言葉が彼女の本心からの言葉であり、常に演技をしなければ自分が受け入れられる自信がない証左の様に感じられ、そこまでしなければいけないほど追い込まれているのかと哀しくなりました。