【感想・ネタバレ】この世はウソでできているのレビュー

あらすじ

ウソは巨大で組織的なほど見破ることが難しい。地球温暖化からがん検診、果てはレバ刺し禁止まで。「民主主義」というお題目の下、過剰な法規制を敷くことで利益誘導を狙う国家のやり口や、怪しい「科学」を世界の常識にすりかえ、金儲けを企む巨大利権の巧妙な手段を、人気生物学者が次々喝破! 世間の通説に踊らされ、自己家畜化の道を進む現代人に覚醒を促す挑発の社会時評。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 情報が溢れている現代において、ある言説が正しいとされると、それに従って様々な制度が作られると同時に、物的資源や人的資源を確保し、法的な整備がなされることも多い。そして、その制度に依存して生活する人が増えていけば、その制度の基礎となった言説の正当性を問うことは、現行のシステムをひっくり返すことになるわけで、システムを維持・運用する利権が大きいほど反対意見は無視されていくのである。
特に、健康、安全、環境がらみのウソに人々は騙されやすい。それは、人間が強く「死にたくない」という願望を持っている動物だからである。何かが健康や環境に良いという話が出来上がると、それに対しては誰も逆らえない状況が生まれる。そして、そのような健康や環境を旗印にすれば、政治家や官僚は国民をコントロールでき、そこに利権が生ずるのである。
すなわち、父権的なお節介が多数者に支持されるとき、少数者の自由が抑圧されるといえ、そうしたお節介は、科学的心理めかした言説を脅し文句とし、少数者の権利を侵害するのみならず、業者の利権の温床にもつながっているのである。

 世の中の組織的な意思決定の仕組みや利権の発生方法について、具体的な事例を挙げながら述べている書であり、多くのことを学べた。これから社会人として働き、公権力を担うことになる自分にとって、肝に銘じておきたい内容がいくつかあったため、記しておく。
1 大災害などのパニック時に行政が主導すると、物事が滞ってうまくいかない。
クレームをつけられるのを恐れ、公平にしようとするあまり、身のない支援になる嫌いがある。クレームが出ないように平等にやろうとする行政官は、自分たちの保身のためにコンプライアンス(法令順守)を第一に考えている人である。非常時にどこからもクレームが出ないように支援をするのはどだい無理な話で、状況に応じて臨機応変に行うべきである。
2 法律は増えるほど無駄も負担を増える。
何か起こると「法整備するべきだ」という人がいるが、法律を作れば作るほど、税金や借金など国民の負担が増えていくということを理解しておくべきである。前提として、法律・制限は少なければ少ないほど良いに決まっているのである。
3 近代化に伴いクレーマーが増えるのは必然である。
歴史的には、多くの人が自給自足で生活していたものの、現代に生きる我々は、水も食料もエネルギーも金を払うことによって、他者から供給してもらうというシステムの中で生きている。したがって、近代化により、他人に任せっきりで自活能力のなくなった現代人は、文句をつける以外の解決方法を思いつかないのである。

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2018年01月03日

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