【感想・ネタバレ】林檎甘いか酸っぱいか[青]のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

在学中、卒業までの短編集。
本編で書かれなかったあれこれ。

2人の歴史、それぞれの視点、気持ち、本編では語られなかったあれこれがつまってて、感無量。
ありきたりのような事柄も先生と生徒、歳の差、男同士というフィルターがかかり、より心揺さぶられてしまう。

2人のスゴいところは、本当に純粋に好きって気持ちだけで繋がっていること。世間に知れたら色々と失うものの方が多い関係だけど、後ろ暗さが一切なく、好きって気持ちの強さがとても強調されてると感じた。

そして、志緒が本当にどんどん大人になっていって、その成長に感動。トゲがなくなって、相変わらずめんどくさそうな子だけど、それなりに素直で良い子になってる。桂のそれが嬉しい気持ちと、受け入れながらも複雑な気持ちが入り混じっていて、ちゃんと教師なんだけど、ダメな大人な部分とか人間味溢れていて、とても好き。

本編では、15才の生徒(男)を好きになってしまう葛藤が足りない気がしてたけど、これを読んで桂の気持ちが知れてよかった。

とにかく、本編読んだら、これも読むべきだな、と思った。

0
2022年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【雪よ林檎の香のごとく】の薄い本やらブログSSやらを纏めた作品です。
実は一穂作品、ある時期から相性の悪さを感じて読むのをやめて
しまったのですが、このデビュー作は未だに売らずに手元に残してます。
このたび、総集編ともいえる作品が出るとのことで、少し不安では
ありましたが2冊同時に購入。

こちらは青で、志緒が成人する前までのエピソードです。
本編の行間をみずみずしく書かれたものや、志緒の卒業、そして大学入学。
大学生になって、自由にはなったけれども、もう二度と戻りはしない時間。
変わりゆく景色の中で、志緒と桂が些細なことで幸せを感じ、そして
一緒にいることの尊さを噛みしめる。
志緒の成長を確かに感じることができたり、二人と同じように読者にも
流れている時間を意識させたり……。

デビュー作時点で自分はもう桂側からものを見てしまう汚れた大人
でしたが、今回纏まった形でこうして読んでみると、過ぎた時間に思いを
巡らせ、なんだか少し恥ずかしいような甘酸っぱい気持ちになりました。
書き下ろしは桂の同級生の死をきっかけに、自分と志緒の【死】について
意識するネタになってます。

とても充実した内容でした。

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2015年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今や手に入らない同人誌がまとめて読めるとはなんと嬉しい。
同時発行の「赤」は成人後、こちらは成人前の完熟するまでの「青」
本編の隙間を埋めるエピソードとその後が時間軸に沿って穏やかに綴られていて、短編ならではの時間や場面の切り取り方にほろっとさせられたりドキドキしたりぎゅっとなったり。
二人きりでの北海道の一夜や文化祭などの本編の隙間時間のエピソードはどれももどかしく胸に詰まるような切なさと愛おしさ。
「キスしろよばかやろう」はこんなこと言われたら堪らないよね。
痴漢騒動での志緒パパの毅然とした態度に圧倒されながら「この家族に育てられた志緒だから好きになった」と改めて参ってしまう先生のもどかしさよ。
後にこの経験の痛みや「大人」として守りきれなかった不甲斐なさが生きてくるのがより一層せつない。
感情が育っていく最中の志緒ちゃんが日々恋をすることでしなやかに変化し続けること、その成長に目を見張りながら大人としての自分に煩悶し続ける先生とのコントラストが痛くて苦しい。
卒業式に先生をここに置いていってしまう、と感じる志緒ちゃんの純粋さが瑞々しくて切ない。
この感受性のやわらかさ眩さ鮮烈さに先生は動かされてしまったんだな。

まっすぐすぎる鉄砲玉志緒ちゃんと先生の想いの行方、青くてみずみずしく感受性豊かな志緒ちゃんの純粋さも、成長していく志緒ちゃんを時にハラハラしながら見守り続ける先生も見てて愛おしくてたまらない。
この二人に出会えて良かった、先生の人生に志緒ちゃんが現れたことと同じくらい、こうして改めて二人に出会えたのが幸せで泣けて仕方がなかった。

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2015年08月02日

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