あらすじ
現在の私たちは、「男性は仕事、女性は家庭」という近代以降に形作られた性別分業体制を脱し、「共働き社会」に移行しつつある。しかし、この共働き社会では、結婚しない(できない)人の増加、子どもを作る人の減少といった、「家族からの撤退」をも生じさせた。「家」の成立過程と歩みを振り返りながら、雇用、家事、世帯所得格差といった現代の諸問題を社会学の視点で分析し、〈結婚と家族のみらいのかたち〉について考察する。
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Posted by ブクログ
家族と結婚に関しても、20世紀の大いなる平等化時代が終わり、不平等時代が(また)はじまった、ということのようなのだけれど。これからの話になってないじゃん、というのは言わないほうがいいのかな。
Posted by ブクログ
前半では、家族や結婚のかたちの歴史を公平な立場で紐解いていく。「男は仕事、女は家事」という性別分業は、伝統でもなんでもなく、経済環境によってたまたま形成されたものに過ぎないと知って驚いた。
後半は共働き社会がもたらす問題点について提示する。共働き化が格差社会を助長するという話は俄かに信じがたかった。また、家族への過剰な依存は、セーフティネットとして家庭を維持しなければならないという「家庭の職場化」に繋がるとのことだった。逆に家族を必要としない社会でこそ、人々は家族を求めるという考えは斬新ながら説得力があった。
最初は人生設計の指南本だと勘違いして本書を手に取ったのだが、実際には個人というより社会全体での家族の在り方を公平に提示してくれる教養本に近かった。結果的にとても勉強になったので、満足している。