【感想・ネタバレ】未来をつくる資本主義[増補改訂版] ― 世界の難問をビジネスは解決できるかのレビュー

あらすじ

「本書には、いま日本企業に求められるイノベーションのエッセンスが詰まっている」
住友化学(株)代表取締役 福林憲二郎(経団連、国際協力委員会 政策部会長)推薦!!

【環境破壊、エネルギー問題、貧困、人口増加、テロリズム……
世界の不都合は、ビジネスが解決する!】

真の「持続可能なグローバル企業」とは、世界の貧困国(BOP)のクオリティ・オブ・ライフを高め、後世のために地球の生体系の健全性を守るビジネスを創造し、なおかつ利益を上げる企業である。

21世紀に求められるのは、多くの犠牲を払い少数に富をもたらした産業革命の資本主義ではなく、経済ピラミッドの底辺(BOP)に想像を絶するほど莫大なビジネスチャンスをつくり、既存企業の地位をも奪う、新しいダイナミックなグローバル資本主義である。

営利を目的とする企業こそが、人類を持続可能な社会へと導く

テロリズム、環境問題、反グローバリズムの勢力によって、グローバル資本主義は現在、重大な岐路に立たされている。同時に、今日のグローバル企業もまた岐路にある。著しい方向転換をしない限り多国籍企業の未来は暗いままだろう。

今、直面している地球規模の難問に対処しなければ、甚大な環境変化が起こる可能性がある。これらの課題に、建設的に対処することが、資本主義が次の世紀も繁栄し続け、人類に利益をもたらすための鍵を握っているのだ。

「持続可能なグローバル企業」とは、利益を上げつつ、世界の貧困層の生活レベルを向上させ、後世のために生態系の健全性を守るビジネスを創造するという、民間主導の開発アプローチを表している。

我々は、未来のために何を残せるのか? 挑戦はすでに始まっている。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『BOPビジネス 市場共創の戦略』(英治出版刊行)の著者で、持続可能な開発と環境保護に関するビジネス戦略研究の世界的権威、スチュアート・L・ハート教授の書籍。BOP本の名著です。

この手のテーマは、実際の自分の業務と少し距離もあり、あまり読まないジャンルでもあったのですが、『ワークシフト』『2050の世界』『日本製造業の戦略』などを読んだあと、関連性を感じ手に取る。

上記書籍と同様に、現在の資本主義経済が行き詰まり、その後の経済に関して、どのようなことが予測され、どのように対処すべきかの方向性やヒントが示されている。

本書では、2カ国以上に拠点を持つ多国籍企業の総称をMNCとしてMNCを対象に、BOP(経済のピラミッドの底辺)を市場として狙っていく戦略を解説している。その市場は、現在の資本主義経済の蚊帳の外にあり、手付かずで成長著しい今後40億人になるであろうと言われる市場で、持続的技術を用いて破壊的イノベーションを起していくことを推奨している。

背景としては、「貨幣経済」「伝統経済」「自然経済」の3つの経済が衝突する世界環境の中で、現在の資本主義経済が破壊寸前まで追い込んでしまった地球環境を、「持続可能なグローバル経済」が、解決していくという見方を示している。

手法としては、先進諸国の商品やビジネスシステムを持込むのではなく、
BOP層でも買える値段帯の商品やサービスを、破壊的イノベーションにて実現し、「土着化」という手法で、現地のビジネスエコシステムを、共創する方法で、実施していくことが重要であると主張する。

そして、MNC企業にとっても、BOP市場で成立させた商品やサービスを含むビジネスシステムを、ボトムアップさせ、先進諸国でのビジネス展開をさせるという「リバース・イノベーション」の観点を、現在のMNC企業が是非取り組みべき戦略としている。

寄付や無償技術供与などではなく、BOP市場をビジネスパートナーとして捉えて、MNC企業が他のMNC企業に圧倒的な差をつけ、今後の企業のとりうるべきそして最後の大きいチャンスであるとしてる。

すっかり、BOP本の虜です。同じ著者の本「BOPビジネス 市場共創の戦略」を本日購入したので、明日以降読んでみようと思います。

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2012年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地球環境を保全し、持続可能な資源利用のもとでの豊かさの実現を考えさせられる。本書ではBOPピラミッドの底辺の40億人の貧困層の需要に応えるビジネスによる対応策が示されている。そこでのキープレイヤーは多国籍企業だが、トップダウン、画一的なビジネスモデルは否定される。40億人がターゲットなのではなく、それぞれの土地、村の生活者に資金・収入をもたらす土着・共創のビジネスであり、それを実現する発明・技術が求められる。
利潤や効率性からの80:20の発想ではなく、薄利多売でもない、BOPのニーズに応え・受け入れられるビジネスにより持続可能な豊かさの実現が可能となる点は理解できた。地球環境の持続可能性からの評価のためには、企業、住民以外の環境NGOなどのチェックと情報発信が欠かせないように感じられる。
12-91

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2012年08月04日

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