あらすじ
就活に失敗し、個人経営のメンタルクリニック院長助手になった美夢。しかし、変人だと思っていた院長は伝説の名ドクターで、ベッドタウンにあるクリニックは心の病のデパートだった! 毒親の連鎖、高度潔癖症、風俗店中毒、そして病の根源にあるものとは……『愛着障害』の岡田尊司が別名で描く、新人療法士の成長物語。
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Posted by ブクログ
ちょうど気分の浮き沈みが激しい時期にたまたま題名に惹かれ読んでみることに。
私はこの本の患者の1人に共感し、まるで先生に助言を受けているような気になった。
もっとファンタジーな話なのかと思いきや、精神的な問題を抱える患者の具体的な問題点と改善策が書かれていて勉強になった。
小説としてもスラスラと読めたのでよかった。
読み終わった時は読み始めた時に比べ、精神的に落ち着いてきた。
鬱とまではいかない精神的な悩みがある人におすすめしたい作品だった。
Posted by ブクログ
新米臨床心理士の森田美夢。難航した就活を乗り越え、やっと見つけた個人経営の心療内科。そこは伝説の精神科医が新規開院させたメンタルクリニックだった。
勉強のため院長助手も兼務しながら心理士としてのキャリアをスタートさせた女性の成長物語。
◇
森田美夢は日曜日のショッピングモールを悲壮感漂わせて歩いていた。3月に入り、モールはホワイトデー商戦真っ盛りだ。そんななか美夢は、とあるカフェを目指して急いでいるのだった。
美夢は大学院を卒業したばかり。憧れの臨床心理士の資格も取った。なのに就職先が見つからない。
もともと求人数が少ない職種だからどこも高倍率になる。完全に買い手市場状態で、公的機関や大きな医療施設などは特にそうだ。
こんなときは先輩の多寡が命運を分けるだけに、比較的歴史の浅い大学院出身の美夢は明らかに不利である。いろいろなところにエントリーするのだが書類選考すら通らないことがほとんどで、面接まで進めても採用に漕ぎ着けることはできずにいた。
いたずらに時間だけが過ぎ、求人すら出なくなった2月下旬のこと。ネットの求人サイトでたまたま個人クリニックの求人広告を見つけた美夢は、すぐさまWeb応募した。これを逃せば路頭に迷う。決死の覚悟だった。
数日後、面接に来るよう連絡が来た。リクルートスーツに丁寧にアイロンを当て、決死の覚悟パート2で臨む美夢。
求人を出した奥田クリニックは、新規開院のためのスタッフを追加で採用するということらしい。ただ開院は4月からで建物はまだ建設中のため、カフェで面接を行うことになった。
ところで採用してもらうことで頭がいっぱいの美夢には、ドクター奥田がどのような人物なのか、知る由もなかったのである。( 第1話「CASE 1. ビューティフル・ドリーマー」) ※全4話。
* * * * *
タイトルに惹かれて手にとりました。最初はラノベの延長のような軽い作品かと思ったら、なかなか専門的でためになる正攻法の作品でした。
人のとる異常行動の多くはSOSのサインだといいます。
心の平衡が取れなくなっている苦しさに耐えかねてサインを出すのですが、そのサインは人によって違います。
記憶が飛んでしまう、万引きなどの犯罪を繰り返す、極端な潔癖症になる、自傷行為に走る、何かへの依存がひどくなるなど、実にさまざまです。
周囲の人は戸惑い引いてしまうほど異常を感じていますが、当人はそれ以上に苦痛を感じて困惑しているのです。
患者はそれら表面に出た異常行動を緩和、できれば抑制してもらおうと来院します。医師は対症療法として安定剤などの投薬も行いますが、実は異常行動に繋がる根本原因を探り当て、そこをケアすることこそもっとも大事なのだということが、切々と伝わってくる内容でした。
主人公は臨床心理士の森野美夢。まだ新人ながら勉強熱心で仕事に一生懸命に取り組むところが評価され、奥田医師の医療助手を任されます。
伝説のメンタルドクターの診察を間近で見られることで美夢は成長を遂げていくというのがメインストーリーなので、読む側も美夢とともに研鑽を積んでいるような気持ちになりました。
物足りない点は2つあります。
1つめは、美夢が関心を持つ「夢占い」のウエイトが、さほど大きくなかったところです。
心理療法の現場で夢分析を前面に押し出すのは無理があるのかも知れませんが、せっかく主人公の名前ともリンクするような設定なので、もう少しうまく使ってほしかったと思いました。
2つめは、美夢がプライベートで抱える問題が曖昧なままで終わったことです。
恐らく父親との関係を乗り越えることが美夢の真の自立に繋がるのだろうと予想できるだけに、そこに蓋をしてラストを迎えてしまったことが、どうにもスッキリしませんでした。 ( 続編で描かれることになっているのならゴメンナサイ。)
ところで、作者の小笠原慧さんは、第1線で活躍なさっている現役の精神科医だそうです。臨床系の医師として現場で治療に携わるとともに、本名の岡田尊司で多くの著書を出してもいらっしゃる方です。
その小笠原さんが紹介する具体的な症例がとても興味深く感じました。
また、治療については経験豊富な腕利きのメンタルドクターが問診をしつつケアしていくのだと思っていた私にとって、予診に当たるカウンセリングがかなり大きなウェイトを占めるのだということも新鮮でした。
通信手段やSNSなどの発達によって、精神的な負担のリスクがますます大きくなっていくことは確実です。並行して心理療法への関心も高まっていくと思われるので、こういった精神医療をテーマにしたわかりやすい作品が増えていって欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
意外にも面白い。福祉や心理の勉強をしている人、仕事をしている人は馴染み深い言葉、技法がたくさん出てくる。認知行動療法のエピソードは、自分でもやってみたいと思った。
Posted by ブクログ
とてもいい就職先だったということだな。他人のことを知ることで自分を見つめ直しているような。
努力していれば、誰かが見ていてくれる。応援してくれるのではないだろうか。
Posted by ブクログ
メンタルクリニックの新米療法士さんの話。
感じた事は、自分の人生は子供時代に親とどのくらい関わっているかで変わってくるという事。
私も子供の頃は、親と離れて生活していたので、そういう事かと、この本を読んで納得しました。
Posted by ブクログ
現役の医師が書くメンタルクリニックの話。著者の「タロットの迷宮」とかが好きなので、気軽な気持ちで読んでみたけど、勉強になることもたくさん。その代わり、専門用語も多い。そこは現役の医師と言うことで。最後の章の「安全基地」は自分の経験とシンクロしてしまい、すごく考えさせられる話だった。続編が出たら、また読むと思う。
Posted by ブクログ
メンタルクリニックの新米療法士の森野美夢が等身大で患者に向き合い成長していく物語。実話かと思うほどリアルな患者さんの症状を読んでると一気読みしていました。
Posted by ブクログ
新米心理士も患者に真剣に向き合っているものの心理士自身の家庭も問題があって、心に何か傷がある。でもだからこそここにいるんじゃないかという上司の言葉には目から鱗だった。こんな理解ある上司と仕事したい。
Posted by ブクログ
「奥田メンタルクリニック」に新卒で採用された新米療法士の森野美夢が主人公
新米というが余りそのような描写がなく淡々と進んだ印象
また美夢が夢に見るトラウマの物語上の奥行もイマイチ
ケースは興味深くまあまあ読めた
CASE1.ビューティフル・ドリーマー
CASE2.母子カプセル
CASE3.潔癖症
CASE4.安全基地
Posted by ブクログ
もっと読みたい!
美夢の成長も追いたいし、この生きづらい世の中を生き抜くヒントを与えてくれる気がする。
この著者の作品をもっと読んでみたいと思ったら、実は『DZ』『風の音が聞こえませんか』は既に読んでいた。
Posted by ブクログ
母娘関係や不潔恐怖他自分にも当て嵌まりそうなことや、それ以外の症例も、身近に感じられて興味深かった。本を書き奥田マジックで知られる院長の診察はスムーズ過ぎて患者を思い通りに操作するみたいに導いているようにも感じられたけれど、心理士として駆け出しの美夢が等身大なことでバランスが取れて受け入れ易かった。
Posted by ブクログ
心理学とわかるとつい手に取ってしまいがち。
精神科医がペンネームを使って書いているだけあって、本当に分かりやすくて大学の授業を思い出した。
強迫とか安全基地とか回避性の愛着スタイルとか、私のコンプレックスをがんがんついてくるからちょっと泣きそうになった。
私はなんとなく勉強したから病院に通っていないけど、出てくる患者の気持ちがよくわかる。
これからもセルフで(自分流の暴露療法と大学の先生の教えとカウンセリング先輩との飲み会を駆使して)がんばろう。セルフで治すには限界かなって最近思ったりもするけど。
最後の最後で、女性の社会進出とボーダーの関係について書いてあって目から鱗!
仕事で参加したセミナーも出典が全部卒業したあとの論文だったし、知識のアップデートが必要だ……やっぱり心理学は興味深い。
Posted by ブクログ
小笠原慧さんってお医者さんだったのね
臨床心理士と精神科医の違いすら全くわかっていない私にとっては、なかなか興味深い話でした。
カウンセリングとかこんなカンジなんだね。
でも、この話のようにうまく改善できるのだろうか?