あらすじ
1614年、大坂の陣。真田信繁の傍らに、真紅の鎧を纏う若武者の姿があった。彼の名は佐助。摂津国の鳶田の集落から大坂の地へやってきた彼には、倒さなければならない仇敵がいた──かつて母親と一族を徳川に惨殺された佐助は、ただひとり生き延び、貧しい集落に流れ着いたのだ。「真田丸」での鍛錬で、強さを身につけた佐助は、信繁とともに徳川との決戦に挑むが……。史実を丹念に紡いだ、新たなる真田戦記。
※本書は、二〇一五年二月に小社より単行本として刊行された作品を加筆修正し、副題を加えて文庫化したものが底本です。
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Posted by ブクログ
大坂の陣を佐助という架空の人物の視点から描いた作品。出自も怪しい者達が集まる貧しい村に流れ着いた佐助。関ヶ原で叔父に裏切られ家族を失った佐助は復讐の為に大坂に入る。久蔵という老人を助けた事からその主人真田信繁の家臣となる。貧民街の仲間であった権太は佐助が石田三成の遺児だと知り遠い存在になるのではと焦り無謀な戦いを仕掛け命を落す。師匠の隆海坊も弓の名手だがその過去は謎に包まれていた。死の間際自分は宇喜多の家臣として仕えていたが子供を早世し疑心暗鬼から妻を殺害したと打ち明ける。そして佐助に亡き息子と重ね合わせ生きて欲しいと願う。信繁、久蔵、富作とにかく切なすぎる中盤のみんなで川遊びで楽しんだ後は大坂の陣の結末を知っているだけに読み進めのが辛くなった。悲しいけど素晴らしい作品でした。