あらすじ
「みんな死ね、と思っていた」――生まれはバブル崩壊後の日本。いじめ、海外放浪、仲間たちとの出会い。終わったなら、また始めればいい。SEALDs創設メンバーが語る23歳のリアル。
SEALDs創設メンバー、奥田愛基の初単著!
絶望から始めよう。
「失われた20年」に生まれ、育ってしまった
新世代の旗手による、怒りと祈り。
いじめ、自殺未遂、震災、仲間たちとの出会い、そして……
SEALDs創設メンバー、23歳のリアル。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
特定秘密保護法や安保法制で安倍くんが横暴しきりだったあの頃。もう10年以上前ということになる。自分も1回だけだけど国会前のデモに行ったなあ。あの頃、目立っていたのが若者たちで活動するSEALDsだった。その象徴ともいえる奥田愛基さんが、安保法制が通ってしまった(そして国の横暴を許さないための新たな一歩が始まった)ばかりの2016年に、生い立ちから一連の活動を振り返って書いている。
「愛基」って素敵な名前だけど、ちょっと珍しい名前でもあり、当時から普通のおうちの子ではない気がしていたけど、抱樸の奥田知志さんが父だけあってかなりあまりない環境で育ったようだ。そういうことでもないと(できる人もいるけど多くは)あんなすごいことできないと思う。当時は頭のキレがよく自意識も高く目立ちがりの若者なんだろうと、やっかみ半分で思ったりもしたけど、この本を読むと愛基さんは繊細で世のなかに順応しきれず、生きにくさを抱えながら生きる人なのだろう。SEALDsの活動も、大変だったろう、つらかったろうと思った。
あの時期のSEALDsが日本の市民運動のあり方に一石を投じたのは、当時の印象からしてもそうだし、この本を読んでもカッコよくデモをやろうとしていたり、左翼だけど勝とうとしていたりといったところに現れていると思う。こういうことって、浅薄なうわっ面のことのように思えるかもしれないけど、意外と大事なこと。特に、スペインの活動家パブロ・イグレシアスの言葉を引いて、左翼は負け慣れしちゃってるけどちゃんと勝たないといけないと述べるあたりは、左寄りで負け慣れしてしまっている自分としても、肝に銘じておきたいところ。
世の寵児のようにいわれ、天狗にもなりそうだがそうはならず静かに表舞台から去っていったSEALDs。それもまたカッコいい。いや、どこかでいまもそれぞれに活動していてほしい。いまの愛基さんだったらどんなことを言うだろうか。いまの彼の思いや考えを知りたいなあ。
刊行から9年がたついまではSEALDsの中心的メンバーたちの話を聞くこともあまりない。あの喧騒が終わったばかりの頃に書かれたこの本を、SEALDsがほとんど話題にならなくなったいま読むのはちょっと不思議な感覚だった。読みながら、彼らと気持ちが一つになるような感じで熱くなるんだけど、ふと、ああもう10年近く前のことだったんだと、ちょっとしんみり寂しく思うような。兵どもが夢の跡とでもいおうか。
あの頃と世のなかは変わっただろうか。心ある一人ひとりがよい世のなかに変えるために、よりよい世のなかに変えるために、すべきことをし続けていかなきゃいけないんだ。
Posted by ブクログ
SEALDsメンバーである奥田愛基さんが初めて書いた単著。奥田さんのこれまでの歩みやその中で感じ考えてきたことを振り返った本、一気に読みました。
あれこれ論評するということは、必要ないと思いました。この本を読んで、奥田愛基さんという人と、彼と一緒にいる人たちのことを感じることができたらいいのではないか。そこから、読み手である自分自身に振り返って考えることができたらと思いした。
お勧めします^_−☆。
Posted by ブクログ
二十歳そこそこで社会に対して声をあげ、大きなチカラに立ち向かった姿は、かつての川田龍平さんを連想します。
「被害者」とそれを取り囲む「支援者」という関係ではなく、強固に構成された仕組みそのものを変えようとするひとたちを集めたことは、素直に尊敬します。
ネットの中では、好き勝手に叩いていいひと、の扱いになってしまっているのかもしれません。でも、間違いなく、日本の空気をねじ曲げて変えた功績を、歴史が評価するはずです。
運動そのものを目的とせず、「日常に帰れ」とオトナたちに言われず、自ら活動を止めたことを尊敬します。
Posted by ブクログ
シールズというと胡散臭さが漂っていたけど、彼らがどういう意思を持ってやってたのかを知れてよかったし、学生時代に何かを感じ行動に移していた彼らが羨ましくも感じるもんだ。
Posted by ブクログ
方向性ややり方云々は一概に良いと言えることばかりじゃないのはあった上で、若者が自分の頭で考えて行動する、ムーブメントを起こすというのはとても大切なことだと思っている。
間違っていたとしても声を上げること自体を私たちは批判できないはず。
そうは言っても世間は甘くなく、現実も甘くはなく。
現実を見つめて受け入れて、それでも「ここから始める」で行動し続ける。
当たり前だけど、希望的観測で行動したり無駄に絶望したりすることなくそれをし続けることってめちゃくちゃ困難な事で。
注目が集まれば集まるほど、下手な行動が出来なくなっていく中で、バランスをとってできることを最大限にやる、やりきる。これがどれほど困難なことなのか、私にはわからないけれど、本書を読むことで少し、ほんとにほんの少し、追体験をできた気がする。
明日からも絶望せず淡々と「少しマシ」な未来に向かって生きていこう。そんな読後感でした。