【感想・ネタバレ】<増補決定版> 白虎隊のレビュー

あらすじ

白虎隊士は、飯盛山で短き命を終えた士中二番隊の十九士だけではなかった――。本書は、白虎隊と総称された会津藩の五つの少年部隊の成立から、越後口、戸ノ口原、会津城下、籠城戦での戦いと、その激戦を生き延びて、苦難の明治時代を生きた者たちの生と死の軌跡をたどる一冊。永岡清治著の『旧夢会津白虎隊』をはじめとする数多くの史料をもとに、幕末から明治維新の時代背景、さらには会津に何度も足を運び現地を歩いた経験を交えながら、会津藩のおかれた厳しい状況を臨場感あふれる筆致で描く。時代の奔流を押し止めることができず、明治新政府軍から朝敵にまつり上げられた会津藩の悲劇。そしてその大きな渦に巻き込まれた少年隊士たち一人一人の人生を丁寧に紡いだ力作。会津藩に取材した多くの作品を発表してきた著者が、新たに〈日向内記の真実〉〈郡長正の自刃前後〉という2つの研究成果を増補して加筆。白虎隊の実像と全体像に迫った決定版。

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Posted by ブクログ

会津関係の著作が多い中村彰彦氏による白虎隊を俯瞰した著作。若松城、飯森山など史跡を巡った会津若松への旅行を期に読みました。白虎隊は二番士中隊の飯盛山での自刃のエピソードが特に有名ですが、士中隊・寄合組隊・足軽隊の3級に分け、各級が一番・二番隊を有する計6中隊で構成されていました。本作では会津戦争における、この6部隊について時間経過とともにどんな状況にあったかを追っています。感情的な文章は極力排除され、淡々と事実のみを記述する姿勢に好感が持てます。文庫版では2つの文書に関する研究成果が追加されています。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

白虎隊についてはあまり詳しくないので、時系列でない、行ったり来たりの書き方が分かりにくかった。
例えば白虎隊の生き残り、飯沼貞吉について書いてある部分も、諸説が別々の章で書かれているので、スムーズに頭に入ってこないのだ。

幼い頃から「什(じゅう)の掟」で、人としてのあり方をしっかり教え込まれ、年長者の言うことを疑うことを知らなかった会津の少年たちは、自刃して果てることになんの疑問も抱くことはなく、もしかしたら恐怖すら感じることなく死んでいったのかもしれない。

そして藩主には、幕府を絶対に守ることが、会津松平家の初代である保科正之によって義務付けられていた。(保科正之自身は、徳川ゆかりの松平という姓をおそれ多いと名乗っていない)
生涯、徳川秀忠の隠し子として、徳川家を支えることに徹した保科正之の実直さが、幕末に裏目に出る。

しかし、あえて厳しいことを言うと、徳川慶喜の命が担保された時点で、松平容保が新政府に投降していれば、この悲劇は起きなかったのではないか?
松平容保の身柄を押さえさえすれば、長州も満足だったのではないだろうか。
結局、罪を一等減じられて松平容保自身は生き長らえたのだし。

戊辰戦争が終わっても、会津の悲劇はまだ続く。
生き残った者達の屈託。
薩摩藩へのリベンジのため、西南戦争で新政府軍に入る会津の生き残りも多かったのだという。
人の心は簡単に切り替えることはできないのだ。

白虎隊については、明治2年4月に発行された新聞で、すでに健闘を讃えられている。
賊軍ということになっているのに、これは異例なことではないだろうか。
ちなみにその新聞の名前は「天理可楽怖(テリガラフ)」
なかなか凝ったネーミングじゃないですか。

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2017年10月25日

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