【感想・ネタバレ】金色機械のレビュー

あらすじ

著者の新境地・ネオ江戸ファンタジー小説

謎の存在「金色様」を巡って起こる不思議な禍事の連鎖。人間の善悪を問うネオ江戸ファンタジー。第67回日本推理作家協会賞受賞作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

伝奇SF。再読ですが、何度読んでもこの世界に取り込まれてワクワク読んでしまいます。面白かった。
長編でも、寂しさを覚える読後感は変わりません。
地球に降り立った金色様の、永い幕引き…と思うと大変寂しい。
相手や自分を、許す許さない…がぐらぐら揺れ続けるのも良かった。

「筋か。この世の恐ろしいところはな、筋などというものは、本当はどこにも存在しないのだ。ただ、筋を通した、通っていないと当事者とその周囲の者がいうだけでな」

不思議な力を持つ遥香のことを邪険にせず、謎すぎる存在の金色様のことも邪険にせず「違う種類の神様だけど」みたいに接するお年寄りたち、おおらかだなぁ。
日常と異常が無理なく共存しているのは、ファンタジーでもあり、昔の日本でもあり。
恒川さんの、日本の昔話味がいつもより色濃く出ていました。
文章が端正で易しくて、いきなり容赦ない生々しい描写が出てくるのも昔話読んでるみたい。

紅葉さん、流石格好良い。
「人生、起こること、これみな神事。覚悟せいよ熊悟朗」

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2025年11月09日

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ネタバレ

面白かった!

結局新三郎の指を切った人は誰だったの??
あと、熊悟朗を襲った灰色の熊と善彦の親襲った熊って同じ熊??

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2024年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

雰囲気のある短編を多く創っている著者、がっつりした長編は初めて読んだが、とても読み応えがあった。
敢えて取っ散らかる形で書かれていた時空が終盤に向けて収斂していく様は、美しくさえある。

作品全体に関しては、通底する大きなテーマ、のようなものが感じられなかったのが少し残念。
高い構成力を備え、リーダビリティーにも長けたこれだけの物語が、「面白い」だけで終わってしまうのは非常にもったいない。
理屈を超越した衆生の救いの象徴であり、まるでオーパーツともいうべき金色様の出自や幽禅家のルーツ、そしてその系譜がおそらくは熊悟朗や遥香に連なっているという設定などの裏に、より具体的なSF的バックボーンでも立て付けられていたら、読後のカタルシスは深いものになっていただろう。
であるから、仕舞い方にもパンチ力不足は否めなかった。

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2020年10月09日

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ネタバレ

おもしろかった。その一言に尽きる。

この方の作品は初めてだったので、先入観がなかったのもよかったのかも。とにかく、文体が読みやすい。人間の業に迫るような内容なので、決して軽くないはずなんだけど、なんだろ、かるい。いい意味で。軽やか。登場人物が多く、それぞれの物語が時系列もバラバラに切り替わって、混乱するかと思いきや全くそんなことなかった。とにかく先が読みたくてどんどんページをめくってしまった。この感覚久しぶり!純粋に楽しめた。

第67回日本推理作家協会賞受賞作だそうですが、推理小説とは思えなかった。時代小説とも違う。SFといえばそうだけどちょっと違う。すこしふしぎ小説とでもいえばいいのか?

金色様の存在が相当荒唐無稽で、下手したらギャグなんだけど、すれすれでギャグにならずに、ちゃんと物語に溶け込んでいるのがすごいと思った。たぶん、すごく文章がうまいんじゃないだろうか。
(まあ何回か心でツッコミも入れたけど)

昔話の語り口のような、多くを描写しない書き方がいいのかな?胸に迫るような切なさとか、人生のなんたるかとか、そういう重い読後感じゃない。えぐい描写はあるし、ラストもめちゃくちゃなんだけどなあ。押し付けがましさとかがない。登場人物の誰かに感情移入するというより、ずっと俯瞰して見守っているというかんじ。

あ!強いて言うなら金色様の目線なのかもしれない。
ピ、ピコッ。

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2020年05月24日

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ネタバレ

江戸時代を舞台としたSFファンタジー。
バラバラの時間軸と登場人物がつながると
切ない物語に仕上がる。
読後はお祭りが終わってしまったような
寂しい気持ちに。
時代物は苦手ですが、問題なく読めます。
抜群に面白いエンターテインメントです。

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2020年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こちらもクリスマスに友達からプレゼントで頂いた本の1冊です。

私がSF好きなの知ってて送ってくれたのだけど、こちらはSFと言うよりなんか時代SFファンタジー活劇って感じのお話でした。

恒川光太郎さんの小説で時代物で、漢字の名前が多く最初はなかなか入り込みにくかったのですが、読んでいくうちに金色様って言う完全無垢の存在や、それを取り巻く一族の運命と定めの中で、沢山の登場人物の繋がりや生き様が、物語の時間を前後しながら解き明かされていく様に、ついつい引き込まれてしまいました。

よく読んでないと、登場人物の繋がりがわからなくなりそうなので、何度も頁を戻って確認する事が多かったですw

金色様って言うのはおそらく皆さんが思われてるとおりの存在だと思いますが、この中で出てくる触れるだけで人に死を与えられる女性がいて、その女性と金色様の最後のやりとりに哀愁が感じられて少しうるっと来ました。

ただ、その女性の正体が最後まで分からなかったのは少し心残りです。

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2018年09月15日

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恒川さんの小説は、『夜市』をはじめ短編が多く、自分も好んで読んでいたが、こちらは長編(しかもそれなりに分厚い)。冒頭は江戸時代の遊郭で、遊郭の主である男と、遊女としての面接を装って侵入してきた何やら訳ありの女が相対する緊迫感のあるシーンからはじまり、今後の展開にわくわく。その後、それぞれの視点の物語(生い立ち)が入り乱れる(ある意味「短編集」とも言えるかもしれない)。進むにつれて、恒川小説に欠かせない怪異の存在が見え隠れするが、今回は「金色様」なるロボット?で、物語の時間軸からすれば、未来から来た存在であるようだ。発想に驚きつつ、この設定・背景に馴染むのか?という若干の心配を持ったが、ややコミカルな仕草も楽しく、圧倒的な戦闘力もあって、物語を上手く収束に導く中心的な役割を果たす。結局、金色様の存在や男と女の特殊な力についての明確な説明はないのだが、そこのムズムズ感を差し引いても魅力的な物語で、読み応えがある。終盤の展開がやや駆け足気味で、もっと余韻を感じたかった。

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2025年02月10日

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ネタバレ

【2024年154冊目】
大遊郭の主である熊吾朗の元に、ある日一人の女がやってくる。女郎に身をやつすためにやってきた訳でもなさそうなその女は、言葉を発する度に黒き煙を滲ませる。熊吾朗には殺意の霧が見えるのだが――女が語ったのは数珠繋ぎの因縁の物語であった。

最初は熊吾朗と遥香を巡る物語かと思って読んでいましたが、思ったりよりも壮大な物語でした。結構登場人物が多いのですが、こことここが繋がるのね!なるほど!とわかりやすく、一体どこに着地するのかしらと、ある程度の予想をつけながら読んでましたが、予想外でした。大体そう。

結局金色機械とは何者だったのか、月から来たのであればなぜやってきたのかはわかりませんでしたが、時代小説×ファンタジーなお話で、好きな方にはたまらない世界観だろうなあと思いました。

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2024年08月12日

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ネタバレ

一大遊郭「舞竜」の創業者である熊悟朗には、心眼と呼ばれる力があった。それは相手の嘘を見抜いたり、自分への殺意が黒い霧として可視できるというもの。
そんな熊悟朗の元へ、遥香と名乗る女が現れる。彼女にも特殊な力があり、その力とは触れた相手に安らかな死を与えるというものだった。

そこで物語は遥香の過去に遡る。遥香には実の両親がおらず、祖野新道という医師に娘として育てられた。新道は遥香の手の力を知り、やむをえない場合のみ患者を苦しみから救うために使うことを許可していたが、ある日遥香はカメと呼ばれる厄介者の浪人に襲われ、その力を使ってしまう。カメは絶命したが、遥香の実の両親を殺した者の存在について聞かされたため、そのことが心に残った。

正当防衛とはいえ、新道の教えを破って殺人を犯してしまった遥香は家を出た。そして、願い事を叶えてくれると噂の金色様に会うため滝の崖を登り、ついにその謎の機械生命体に出会った。

一方、熊悟朗の少年時代の出来事。彼は父の新らしい女に疎まれ、父によって殺されそうになるが、その心眼によって回避し、偶然出会った鬼御殿の夜隼らの仲間に加わる。鬼御殿は、若い女を攫って男たちに奉仕させる特殊な山賊たちの住処であった。そしてそこには、頭領の半藤剛毅に仕える金色様の姿があった。

さらに、熊悟朗より2歳年上の紅葉という童女と親しい関係にあったが、彼女は冬の日に鬼御殿から脱走する。そして、小豆村の善彦と出会い、紅葉は自分の名を美雪と名乗った。2人は夫婦になり、1人の娘を授かる。名は真子。後に両親を殺され、新道に拾われることになる遥香である。



熊悟朗、遥香、金色様の過去が微妙に絡み合って一本の線が繋がるような作品。
個人的にも好みの世界観で、登場人物の過去やその後についてももっと知りたいと思った。
ただ、エンディングが物足りない感じがしたことと、2人の異能の力についてもっと掘り下げて欲しかったことが、期待が大きかった分残念に感じた。
しかし、月?未来?から来たというスターウォーズのキャラクターみたいな金色様の存在やセリフのユニークさは、物語に幅を持たせていたと思うし、登場人物それぞれに訪れる少し悲しい結末には、何とも言えない独特な感情にさせられた。期待の分で個人的な評価が下がってしまったが、非常に斬新で読む価値は充分にある小説だと思う。

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2020年08月09日

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