【感想・ネタバレ】金色機械のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年10月09日

雰囲気のある短編を多く創っている著者、がっつりした長編は初めて読んだが、とても読み応えがあった。
敢えて取っ散らかる形で書かれていた時空が終盤に向けて収斂していく様は、美しくさえある。

作品全体に関しては、通底する大きなテーマ、のようなものが感じられなかったのが少し残念。
高い構成力を備え、リーダ...続きを読むビリティーにも長けたこれだけの物語が、「面白い」だけで終わってしまうのは非常にもったいない。
理屈を超越した衆生の救いの象徴であり、まるでオーパーツともいうべき金色様の出自や幽禅家のルーツ、そしてその系譜がおそらくは熊悟朗や遥香に連なっているという設定などの裏に、より具体的なSF的バックボーンでも立て付けられていたら、読後のカタルシスは深いものになっていただろう。
であるから、仕舞い方にもパンチ力不足は否めなかった。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月24日

おもしろかった。その一言に尽きる。

この方の作品は初めてだったので、先入観がなかったのもよかったのかも。とにかく、文体が読みやすい。人間の業に迫るような内容なので、決して軽くないはずなんだけど、なんだろ、かるい。いい意味で。軽やか。登場人物が多く、それぞれの物語が時系列もバラバラに切り替わって、混...続きを読む乱するかと思いきや全くそんなことなかった。とにかく先が読みたくてどんどんページをめくってしまった。この感覚久しぶり!純粋に楽しめた。

第67回日本推理作家協会賞受賞作だそうですが、推理小説とは思えなかった。時代小説とも違う。SFといえばそうだけどちょっと違う。すこしふしぎ小説とでもいえばいいのか?

金色様の存在が相当荒唐無稽で、下手したらギャグなんだけど、すれすれでギャグにならずに、ちゃんと物語に溶け込んでいるのがすごいと思った。たぶん、すごく文章がうまいんじゃないだろうか。
(まあ何回か心でツッコミも入れたけど)

昔話の語り口のような、多くを描写しない書き方がいいのかな?胸に迫るような切なさとか、人生のなんたるかとか、そういう重い読後感じゃない。えぐい描写はあるし、ラストもめちゃくちゃなんだけどなあ。押し付けがましさとかがない。登場人物の誰かに感情移入するというより、ずっと俯瞰して見守っているというかんじ。

あ!強いて言うなら金色様の目線なのかもしれない。
ピ、ピコッ。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月04日

江戸時代を舞台としたSFファンタジー。
バラバラの時間軸と登場人物がつながると
切ない物語に仕上がる。
読後はお祭りが終わってしまったような
寂しい気持ちに。
時代物は苦手ですが、問題なく読めます。
抜群に面白いエンターテインメントです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年09月15日

こちらもクリスマスに友達からプレゼントで頂いた本の1冊です。

私がSF好きなの知ってて送ってくれたのだけど、こちらはSFと言うよりなんか時代SFファンタジー活劇って感じのお話でした。

恒川光太郎さんの小説で時代物で、漢字の名前が多く最初はなかなか入り込みにくかったのですが、読んでいくうちに金色...続きを読む様って言う完全無垢の存在や、それを取り巻く一族の運命と定めの中で、沢山の登場人物の繋がりや生き様が、物語の時間を前後しながら解き明かされていく様に、ついつい引き込まれてしまいました。

よく読んでないと、登場人物の繋がりがわからなくなりそうなので、何度も頁を戻って確認する事が多かったですw

金色様って言うのはおそらく皆さんが思われてるとおりの存在だと思いますが、この中で出てくる触れるだけで人に死を与えられる女性がいて、その女性と金色様の最後のやりとりに哀愁が感じられて少しうるっと来ました。

ただ、その女性の正体が最後まで分からなかったのは少し心残りです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年11月18日

恒川さんの時代モノ。戦国時代から江戸時代初期の設定で人外が普通に馴染んでしまう背景で金色のロボットを出すところが意表を突いていて面白い。登場人物がみな苦しみを背負っていて、陰のある中で、金色様だけが微笑ましく、後半になるにつれコミカルでかわいい。ハッピーエンドではないですが、よい終わり方です。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年08月09日

一大遊郭「舞竜」の創業者である熊悟朗には、心眼と呼ばれる力があった。それは相手の嘘を見抜いたり、自分への殺意が黒い霧として可視できるというもの。
そんな熊悟朗の元へ、遥香と名乗る女が現れる。彼女にも特殊な力があり、その力とは触れた相手に安らかな死を与えるというものだった。

そこで物語は遥香の過去に...続きを読む遡る。遥香には実の両親がおらず、祖野新道という医師に娘として育てられた。新道は遥香の手の力を知り、やむをえない場合のみ患者を苦しみから救うために使うことを許可していたが、ある日遥香はカメと呼ばれる厄介者の浪人に襲われ、その力を使ってしまう。カメは絶命したが、遥香の実の両親を殺した者の存在について聞かされたため、そのことが心に残った。

正当防衛とはいえ、新道の教えを破って殺人を犯してしまった遥香は家を出た。そして、願い事を叶えてくれると噂の金色様に会うため滝の崖を登り、ついにその謎の機械生命体に出会った。

一方、熊悟朗の少年時代の出来事。彼は父の新らしい女に疎まれ、父によって殺されそうになるが、その心眼によって回避し、偶然出会った鬼御殿の夜隼らの仲間に加わる。鬼御殿は、若い女を攫って男たちに奉仕させる特殊な山賊たちの住処であった。そしてそこには、頭領の半藤剛毅に仕える金色様の姿があった。

さらに、熊悟朗より2歳年上の紅葉という童女と親しい関係にあったが、彼女は冬の日に鬼御殿から脱走する。そして、小豆村の善彦と出会い、紅葉は自分の名を美雪と名乗った。2人は夫婦になり、1人の娘を授かる。名は真子。後に両親を殺され、新道に拾われることになる遥香である。



熊悟朗、遥香、金色様の過去が微妙に絡み合って一本の線が繋がるような作品。
個人的にも好みの世界観で、登場人物の過去やその後についてももっと知りたいと思った。
ただ、エンディングが物足りない感じがしたことと、2人の異能の力についてもっと掘り下げて欲しかったことが、期待が大きかった分残念に感じた。
しかし、月?未来?から来たというスターウォーズのキャラクターみたいな金色様の存在やセリフのユニークさは、物語に幅を持たせていたと思うし、登場人物それぞれに訪れる少し悲しい結末には、何とも言えない独特な感情にさせられた。期待の分で個人的な評価が下がってしまったが、非常に斬新で読む価値は充分にある小説だと思う。

0

「SF・ファンタジー」ランキング