あらすじ
19世紀半ばに至るまで、広大な教皇領の支配を通じて宗教的支配者としてのみならず、地上における君主としても絶大な権力を振るったヴァティカン。黎明期より多くの地域に特派員を派遣し、情報収集、編集して世界へ向けて再発信する国際的メディアという側面を持っていた。激動の転換期を幾度となく生き延びてきたヴァティカンの、メディア戦略を歴史軸で俯瞰し、宗教改革、対抗宗教改革における生き残り策に焦点を当て、いま日本が学ぶべきことを検証する。現世での支配権を失った後、文化的存在へと変容を遂げることで、普遍的地位を強固なものにした経緯について、多角的に考察を行う。
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Posted by ブクログ
ヴァチカンの解説書というより、その本質をグローバル・メディアと特定し、混沌とした日本が学ぶべきその歴史を掘り下げてゆく。歴史に学ぶという意味の奥深さを考えさせられる書である。
Posted by ブクログ
中東に生まれた一宗教であったキリスト教が、どのように世界を席捲していったか。そして、その中心的役割を果たし、また現在も存在するヴァティカンはどのような存在であるかなどについての考察。
タイトルの「ヴァティカンの正体」に迫るというよりも、キリスト教の世界戦略というほうがふさわしい内容かもしれない。
ヴァティカンで行われている秘密のヴェールの外側を垣間見ることはできるが、内側については...新書の域をでない。
キリスト教とアップルの類似性を指摘する観点など、筆者が気に入っているようだが、それにページを割くのであれば、よりヴァティカン正体に迫った内容であったほうが、面白かったかもしれない。