【感想・ネタバレ】神去なあなあ夜話のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今回は林業の話はあまり出てこず、人と神様の話だった。
神去の由来分かって面白かった。
所々、古事記の引用みたいなのが出てきて、作者はこの村が神話の時代からあったことを強調したいのかな、と思った。
何気にパソコン(ワープロだったか?)を使いこなしてる繁ばあちゃんが可愛い。

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2022年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三浦しをん(2012年11月単行本、2016年6月文庫本)。
「神去なあなあ日常」の続編。主人公の平野勇気が前作で神去村に来てから1年半経った時からの物語。
前作は勇気が無理やり神去村の中村林業株式会社に就職させられて、何とか逃げ出そうとするが徐々に仕事にも人間関係にも溶け込んでいき、そして失恋にもめげない姿を描いた物語だったが、今作では山仕事のチームの一員として成長した勇気が見れると同時に、村の成り立ちとか、16人の村人の事故死の話とか、チームの仲間のプライベートの話とか、興味深い話がいっぱい出て来る。勿論勇気の直紀への恋の行く末も。
読み終えてほっこりと幸せな気分になる物語だ。
勇気の目線で書かれているが、自分の目線は、時にはヨキの目線で、清一の目線で、繁ばあちゃんの目線で、みきの目線で、直紀の目線で、三郎爺さんの目線で、巌さんの目線で読んでしまうくらいに皆んないい仲間で、こんな仲間と人生を共に出来る勇気は本当に幸せ者だ。

今作でも繁ばあちゃんが独特の存在感だ。勇気に神去村の成り立ちを話す内容は、皆んなが共有している神話だけに、つい本当のことと思ってしまうくらいに神去村には不思議なことが多いのも事実だ。その神話が事実だとすると親方の中村清一は蛇神ナガヒコと村の娘の子供の子孫ということになるのだが…。
びっくりしたのは、繁ばあちゃんがパソコンの操作が出来るということだ。パソコンなんて全く縁がないと思っていた勇気は自分が小まめに日常の出来事や思っていることを小説風にパソコンに書き込んでいたのを繁ばあちゃんにちらっと見せた。パスワードも設定しているので誰も見れないと思っていたその日記小説を繁ばあちゃんが頻繁に覗いているとしか思えなかった。
そして更にエスカレートしたことに勝手に書き込んでいた。勇気が直紀を納屋に誘ってことに及ぼうとする内容の創作だった。繁ばあちゃんはデイケアセンターのパソコン教室で操作を覚え、勇気のパスワードまで簡単に見つけてしまうほどのお茶目で進んだばあちゃんだった。

2年目の10月に入ると勇気は運転免許証を取りに教習所に通う。久居にある教習所まではヨキの奥さんのみきさんに車で買物のついでに送迎して貰う。車の中で勇気はみきからヨキとの馴れ初めを聞く。
幼い時からずっとヨキのことを好きだったみき、その事を告白してもはぐらかすヨキ、2歳年上のヨキとは小学校も中学校も一緒に通った仲、高校を卒業したヨキは中村林業で山仕事を始めた頃の花見の時、まだ高校生だったみきから強引に誘って結ばれたのにその後関係はそれっきりだったこと。
松坂市の高校から大学に進み、卒業後津で働いて3年位経った時に一人暮らしのアパートにヨキがいきなり押しかけて来てお互いの気持ちを再確認して結婚したという経緯らしい。

勇気は直紀から清一の両親、ヨキの両親が亡くなったことが気になるなら墓地へ行ってみろと言われる。行ってみて墓石の側面を見て大変な事実を知る。清一の両親もヨキの両親も同じ日、20年前の5月6日に亡くなっていた。しかも同じ日に16人も亡くなっていた。20年前と言えば清一はまだ高校生で、ヨキは小学5年生だった。何があったのか、ちゃんと知らなきゃいけないと思った。

11月半ば、今年の「オオヤマヅミさんの祭り」は去年の大祭と違って普通の祭りで、丸太に乗って麓まで滑降して運ぶという儀式はない。ヘリで運ぶらしい。勇気はその様子を見ながら、横にいた山根のおっちゃんに20年前の事件について聞いた。そして奈良の大峰山へお参りの旅行にマイクロバスで行った村の16人が帰りに崖から谷へ転落して全員死亡した事故の話を聞いた。働き盛りの村人は皆んな死んだ。同じような年で生き残ったのは店をやっていたみきの両親とちょうど腹痛を起こして旅行をキャンセルした巌夫婦と母親の介護に追われていた山根ぐらいだということだった。

祭りが終わって、2日後ヨキと勇気で高圧電線の鉄塔までの道を確認しに行くことになった。電線の保守点検に人が来るので事前に確認の必要があるということだった。南の山を越えてそのまた向こうの山の頂上まで片道2時間弱のコースだ。山頂に着いた時は夕方4時を回っていた。日のあるうちに林道まで下りなければと帰り道を急いで道のり半ばを過ぎた時、勇気は右足首を捻挫する。ヨキは担いで夜道になるのを避けて朝まで夜明かしすることを選択する。連絡を受けた清一が毛布とライターとビスケットと沢山の木の枝を持って来た。そして帰ってしまう。二人でなら勇気を担いで夜道と言えども山を下りれそうなものだと思うが…。

夜明かしをしながら、勇気はヨキに20年前のバス事故のことを山根から聞いたことを告げるとヨキはその時のことを話し出す。
ヨキは小学5年生で清一は高校生だった。ヨキと清一は単なる幼馴染みではなかった。両親を同時に亡くした悲しみを共有し、同じ一人息子という境遇で、互いに支え合ってこれからの人生を生きていかなけらばならない運命だった。
清一は即座に顧問弁護士に動いて貰い、山と資産を守った。清一は生まれた時から親方になるために教育されてきた。
中村家が所有する膨大な山や財産を相続して、みきの両親が後見人となって清一の親戚達からの防波堤になり、林業の仕事は清一が大学を卒業するまでは三郎さんが代理で山仕事を仕切った。
小学生のヨキには繁ばあちゃんがいるが清一がヨキの精神的支えになっていた。ヨキの将来は清一と一緒に林業に従事することは既に既成路線だった。そしてヨキにはみきが必要だったと思う。幼くして家族を失ったヨキの全てを身近で知っているみきにしかヨキを支えられなかったのだ。

三郎じいさんは75歳でも現役で山仕事をしているが、奥さんは亡くなり一人住まいだ。息子は名古屋で所帯を持って会社員をしており、娘は東京に嫁いでいる。時々名古屋に会いに行っているみたいだが、神去村を離れる気はないらしい。今も清一の相談相手だ。75歳でも100年後の林業を勇気に熱く語るのだった。

巌さんは51〜52歳で農協に勤める奥さんと二人で暮らしだ。息子はいるが山仕事はする気がなく大阪で働いている。巌さんは勇気のことをよく気にかけて、ヨキとは違う山仕事の真面目な先生役だ。幼い時に神隠しにあった経験があるようで、そのためか今も昔も不思議と神様に守られているようなラッキーなことが多い。

捻挫してから3日くらいでだいぶ良くなったので、勇気は直紀をドライブに誘おうと直紀の家に行くと直紀は元気なく、万年筆が見つからないと言う。就職祝いに清一から貰った万年筆だと聞いてかなりがっかりしたが、勇気は直紀を失せ物にご利益があると言われているお稲荷さんに連れていき、お願いするのだ。帰って来てからも直紀の無くした時の行動を親身に聞いた勇気は万年筆がある場所を推察して見事見つかる。万年筆の件で勇気が嫉妬して機嫌が悪かったのを知った直紀は、それでも親身になって万年筆を探してくれた勇気に心を許し、一瞬ではあったが軽いキスをする。付き合うという返事は貰えなかったが希望の火が灯った瞬間であった。

12月のクリスマス、山太のために清一班は家族も総出でクリスマスツリーを飾り、料理を準備して山太初めてのクリスマスパーティを準備していた。勇気は直紀と二人だけのクリスマスを夢見ていたが、成り行きで仕方なく山太のためのクリスマスに直紀を誘った。それでも直紀へのクリスマスプレゼントを渡すタイミングを図っていたが、直紀は学校の残業で遅くなり、ほぼ終わりかけた頃にようやく着いた。山根のおっちゃんの奥さんに車で送って貰ったのだが、勇気は勝手にライバルだと思っている小学校の同僚の先生と思い込みまたもや嫉妬する。直紀は少なからず勇気に好意を寄せ始めていたはずだ。このクリスマスイヴも二人で過ごすつもりで勇気の誘いを待っている向きがあった。その期待を裏切り、嫉妬で直紀を信じていない勇気に怒り、落胆する。その様子を聞き耳立てて皆んなが静まり返っている。
繁ばあちゃんが、みきさんが、勇気を責める。ヨキと巌夫婦は同情する。清一と祐子さんは沈黙を守り、三郎爺さんは愛を語る。
黙って聞いていたみきさんが、「明日直紀に謝れ」と助言する。ヨキが「朝直紀を家まで送れ」と言い、清一に勇気の明日の仕事の遅刻を了解させる。

そして翌朝、勇気はヨキの軽トラで昨夜のことを謝りながら、自分の気持ちを伝え、直紀を家まで送る。そして渡しそびれていたプレゼントの赤いマフラーをキスをしながら首に巻いてあげる。そして厚かましくもゴーインに『メドの権利』を使う許可まで取ろうとすると、直紀は時間を置いて「仕事が終わったら、電話して」と言ってバイクで走り去っていった。
もう皆んなが知っているようだ。繁ばあちゃんが、ヨキが、みきさんがあれこれ言ってくる。皆んなに応援されて勇気と直紀はきっと幸せになることだろう。ハッピーエンドでほっこり。

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

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おもしろかった!!!
主人公の勇気が話を綴る一人称形式で、勇気の文章がしをん先生のエッセイの文章と似てて思わず笑ってしまう。
初めは脱走まで試みた勇気が、森のうつくしさみたいなものに魅せられて、過去の事件や恋愛要素も混ぜながら、神去村の一員になっていく過程がとてもよかった。人間のあたたかさが全面に出され描かれてて、読んでいてすごく心が暖かくなる。また読み返したい。

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2022年02月04日

Posted by ブクログ

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・4月7日に読み始め、11日に読み終えました。


・面白かった。三浦しをんの安心感すごいな。 続編とだけあって、神去村になじんできた勇気くんの日常と神去村のふしぎについて、ほとんど一話完結って感じですごく軽く読めちゃった。

・神去村の起源についてや、20年前の事故のこと、「続編」に書いてるのすごいなと思う。もしかしたら元々続編が出る予定だったのかもしれないけど、前作の『神去なあなあ日常』が売れたので続編書きましょうとなったとしたら(こういうシステムかわかんないけど)、神去村の起源、事故については世に出てなかったんだろうか…… 

・そうすると、なんか、「語りすぎないこと」ってだいぶ大事なんだろうなと思った。あんまり本とは関係ない感想だけど…… 『まほろ駅前多田便利軒』シリーズもそんな感じだよなあ。三浦しをんって小説うま。と思った。


・勇気くんの「みんなたち」が好き。

・蛇神様のはなしといい、勇気くんは「なんなのこの性欲旺盛なひとたち」って言ってるけど、本当に性欲旺盛なのかもしれないとこもあるだろうけど、それ以上に性に対してオープンなんだろうなと思う。勇気くんと直紀さんの恋愛についてグイグイ首突っ込んでくるし(これはシンプルに興味か?)、「メド」なんてもんがある時点でだいぶだよな。

・私は見渡す限りの田んぼ~みたいな田舎に住んだことがないのでこれはなんともだけど、欲求含む性的なものを隠すことって都会的価値観なのかな? 都会のイケイケ人間グループがわからないから憶測にすぎないや。なんにもわかってない。現代はそうでもないけど、人と一緒に生きていく(家庭を築く)上で性欲って重要なポジションにあったから、隠す必要がない、みたいなことかな。でも「ほんまの官能」っていう「性行為に伴う快楽」の話になってた気がするから…… わかんね……


・自分はまだ一人前じゃないから気配を感じられないのかな、って言う勇気くんに、俺が死んだら感じるようになる、と答えてくれるヨキ、やさしい。山根のおっちゃんもヨキもだけど、はぐらかさないで勇気くんにちゃんと真実を教えてくれるのやさしいね。

・自分が村生まれじゃないからかなあって悩むこと、きっと今後もたくさんあるだろうけどたのしくやっていってほしいなと思う。ヨキやみきさん、繁ばあちゃんのことを心底大切に思っていて、家族として接しているのにほっこりだよ。勇気くんがうちを出ていくかと思って心配したヨキもかわいかった。


・直紀さんとのラブ話もよかったな~。勇気くんがかわいい。自分の感情に振り回されながらまっすぐに好意を伝えようと頑張る勇気くん、けなげでいとしい。三浦しをんの書く愛が大好きなんだよな~……

・勇気くんは神去村に来てまだまだ一年だし、今後もいろいろな経験をしていくんだろうな…… 彼の人生や神去村の未来が明るいものであってほしいな…… と思えるあたたかな小説でした。

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2023年04月13日

Posted by ブクログ

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前作よりも勇気や村の人々が身近に感じられた。もちろん前作を読んでいるからなのだけど、前作では語られなかったヨキや清一の子どもの頃の話や、後日談などの裏話が読めて良かった。
三太は本当にいい子だなあ。勇気も優しくて、良い男になりそう。直紀さんとの関係が少しずつ進展していくのが微笑ましい。

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2022年06月01日

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