【感想・ネタバレ】砂の炎のレビュー

ケイトリン・クルーズ / 山本礼緒

政略結婚から逃げだした花嫁には、熱く厳しい罰が待ち受けていた。

婚約式の翌日、アマヤは婚約者の前から黙って姿を消した。兄の決めた政略結婚に一旦は同意したが、やはり間違いだった。婚約者であるシーク、カヴィアンはハーレムを持ち、そこに大勢の女性を囲っているとの噂を耳にしてしまったのだ。そんな人と結婚したら、わたしも母のようになってしまうわ。父の愛を得られず、心を病んだ母のように。半年後、居場所を突きとめられたアマヤは強引に連れ戻され、待ち受けていたカヴィアンから耳を疑うような言葉を投げられる。「さて、まずは服を脱いでもらおうか」

■政略結婚から逃れられないと悟ったアマヤ。尊大で鼻持ちならないシーク、カヴィアンの本当の姿を知り、思わず心を動かされますが……。

[ブクログ · ★★★★★]

婚約式の直後、他人同然の初対面のシークに身体を奪われたヒロイン、アマヤは彼から逃れるために姿を消す。しかし、半年の逃亡生活の後、シークにあっさりと見つかり宮殿に連れ戻されてしまう。

ストーリーだけ見れば、かなり衝撃的・刺激的な内容のように思えるが、読んでみると、そういう面よりは二人の心の葛藤が丹念に描かれていることに気づく。
二人ともに自分たちが何故、激しく惹かれ合うのか理解できず、延々と葛藤が続いてゆく。自分たちを結びつけるのは欲望だけなのか？　悩むヒロインが最後に辿り着いた答えとは？
なかなか読み応えのある作品でした。