あらすじ
日本料理の基礎が出来上がった江戸時代。後期に入り経済事情が安定すると、ふだんの食事にも胃袋を満たす以上のものが求められるようになる。こうした中で生まれ、洗練されていったのがすし、天ぷら、蕎麦、うなぎだ。腕利きの料理人が現れると、食べ手にも粋人が現れる。この両者が出会い、食の世界に変革がもたらされていった。たとえば、日本橋南詰の天ぷら屋台の名店「吉兵衛」の客が、隣り合わせた屋台のかけ蕎麦に天ぷらを浮かべることを思いつく、といった具合に──。膨大な史料を読み解き、江戸四大名物食誕生の知られざる歴史に迫る、江戸食文化史の決定版!
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Posted by ブクログ
江戸時代は面白い。
十割手打ち蕎麦が二八の十六文、多分650円位か。
そんなに違和感ないけれど、蒲焼がその十倍だと庶民の手には届かなかったんだろうなと、ちょっと悲しくなる。
天麩羅そばの誕生が屋台同士のコラボレーションだとすると、庶民の知恵の勝利。
素晴らしいですね。
Posted by ブクログ
江戸で生まれ,日本食の代表となっている4つの食文化である「そば」「うなぎ」「天ぷら」「すし」の成り立ちと江戸時代での楽しまれ方についての書籍.資料をふんだんに使い,当時の店紹介チラシや店が出てくる絵図が掲載され,当時の雰囲気がよくわかる.
どこそこのそばが絶品とか,ランキングだとか今とやっていることは案外変わらないなと.
Posted by ブクログ
資料的は意味合いで良書。個人的には値段についての言及が面白くて、例えばそばとうなぎの価格差は10倍くらいなのは今も昔もなんとなく違和感がない感じがある(さすがに最近は言っても4〜5倍くらいだと思うが)。
すしについてはラジオただいま発酵中でも聞いていたので、なんとなく聞いたことがあるところも多かった。
Posted by ブクログ
現在の日本を代表する料理が江戸時代から始まった。屋台の食事が江戸っこの腹を支え、料理人の創意工夫を経て、やがて高級料理も生まれてきた。そういう食の歴史がわかる一冊
Posted by ブクログ
「おいしい浮世絵展」で本書を知り、古本屋でたまたま見つけ即購入。
資料が多めで裏付けも緻密。ただ、個人的に資料に迫るよりは江戸における食文化の概説本として期待していたので、そこは少し残念。
特に、鮨が奈良時代からあったという事実には驚いた。
長い歴史の上に今の豊かな食生活があることに感謝!
Posted by ブクログ
"蒲焼は、『遊歴雑記』五編(文政八年)に記されているように、「火勢弱く久しくあぶれば焦げて、あぶらを失ふ」ので、「強き火を以て一旦に(一気に)焼上る」必要がある。そのため、
「蒲焼はあをぐじやなくて引ッぱたき」(柳五二、文化八年)
といった感じで焼き、焦げないように団扇で絶えず勢いよく扇ぎ、炭火の炎のあたりをやわらげている。したがって、扇ぐ道具は扇子より団扇の方が適している。はじめは扇子で扇いでいたのが団扇に変化していて、その様子はこれまで掲げた図版を通して眺めることが出来る。江戸の蒲焼屋は蒲焼を焼く技術を進歩させ、蒲焼を一段と美味な食べ物にした。"[p.169]