あらすじ
特許で守り、特許で攻める。キヤノンの卓抜した技術力の背景には絶妙な特許戦略があった。キヤノン入社以降、特許一筋の人生を歩んだ丸島氏が語る。
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丸島ドクトリンの教科書。どちらかというと知財マンとしての考え方を説いた本だ。技術から知財の道に移った時に購入し、何度か読み返している。先日、丸島ゼミ最終日に先生にサインをいただいた。
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私が知財部一年生の時に読んだもの。
巨匠丸島先生が、若手の時にどのように活動していたかを知ることができ、知財部員としての立ち回りを勉強させていただいた。
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キヤノンで特許一筋を歩んできた著者が、特許部隊がどんな仕事をしていて、それがどのようなスタンスによるものか、そして特許部門や特許法制に関する考え方、そして日本の産業界のあるべき姿を語っています。「私の履歴書」のような構成が気にかかりますが、あくまでも最近流行している『ソリューション・ビジネス』の考え方とは一線を画すというか、特許は自社の技術を強化するのに使うという考えに重きを置き、クロスライセンスを優先するスタンスには共感しました。メーカーであれば、知財部とか特許部とかいった特許部門があると思いますが、そこでの役割期待と事業戦略を知るのに打って付けの一冊です。
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知的財産に対する興味が出ました。
企業戦略だけにとどまらず、国家戦略にまで言及する切り口の良さに脱帽。
始終わくわくしながら読みました。
よく内容のまとまった良書だと思います。
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キャノンの特許部の偉い人が書いた本。研究部隊と特許部隊は協働して研究戦略を練るべき。企業研究はどのように武器となる特許を作るかを念頭に置くべき。相手にとって必須な特許がこちらにあると交渉の時に強い。クロスライセンス。勉強になった!
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昭和30年代に先を見越してはじめたキヤノンの特許戦略。その前線で試行錯誤を繰り返して成功に進む「丸島部隊」の活躍もワクワクする内容ですが、後半の国家戦略まで考えた丸島氏の特許戦略論が一番読み応えがありました。
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交渉術の教科書として使える。攻撃されたときは、相手の弱点(ルール破り:特許侵害)がないかどうかを徹底にさぐり、カードを持ってから交渉する、等。
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読んで何年も経ってからの記載だがキヤノンへゼロックスが訪れてきてIJの技術情報を技術者自らリークしてしまったストーリーは衝撃的で今でもよく覚えている。
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組織外に対して交渉をやるには、組織内を固めておかないと分かりやすいが不合理な成果を求められる… それはそうと、後半の諸提言は残念ながら、財界からの提言の悪しき典型例という感じでなんとも。
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『本当に知的財産が大事だというのなら、知的財産の立場から法律を見直して、障害になるようなものを取っ払ったらどうかなと思うのです。
……
アメリカの場合も始めはそうだったのですが、プロパテント政策を取ってからサッと法律を変えて、破産法の例外規定にしました。知的財産だけは破産法を適用しないというわけです。アメリカはそんなに簡単に法律を直せるのに、日本はなぜ直せないんですかと言っているのですが、なぜ特許だけ、の繰り返しです。』
チグハグな国家戦略、未成熟な裁判制度、日本企業の意識の希薄さ。打ち出す未来の構想と実際の施策が噛み合わないのは、戦前から連綿とあらゆる日本社会/組織を支配してきた層のお家芸だが、そのことが顕著に分かる事例なのかな。
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キャノンの知財部門を築き上げた丸島儀一に、キャノンの特許戦略を、その歴史的経緯と共に語ってもらい、まとめた本。
著者は丸島儀一となっているものの、予想に反してインタビュー形式となっており、強力なテーマ性に基づいて取材が行われているわけでもないため、内容は「私の履歴書」のそれに近くなっている。
丸島氏は2011年に名著「知的財産戦略」を執筆しているが、その9年前に執筆された本書は、前者の内容を薄めて読み易くしたものに等しく、氏の特許戦略への導入として最適である。逆に、本書の内容は、キャノンの歴史的経緯に纏わる詳細を除いて、全て「知的財産戦略」に(濃度100倍で)記載されているため、先にそちらを読んだ場合、本書を読んでも得るものほぼない。
著者本人が特許マン人生の集大成として、自身の哲学を体系的かつ詳解に記述した「知的財産戦略」には当然及ばないものの、技術部の源流に入り込むことを重視する点や、特許を「攻めの特許」と「守りの特許」に分類しそれぞれの戦略的運用方法が異なる点、交渉の際は相手に「欲しい」と言わせることが重要でありその方法として如何なるものがあるか、など、極めて重要な点がいくつか本書でも触れられている。
丸島流特許論が要領良くまとまっている好著。☆4つ。
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半分丸島さんのキャノン特許部時代の話で、半分丸島さんの日本の知的財産戦略に対する提言。なんというか、2002年の段階でここまで明確な特許戦略を立てていたのに驚いたし、丸島さんの考えが今でも基本的な特許戦略になってると思う。特許に関わる人も、そうでない人も読むべき良書。
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特許、リバースエンジニアリング、NDA、クロスライセンスを駆使して、一企業として事業を運営していく術を丸島儀一氏の経験に基づいて語られている。時には少々姑息とも言えそうな手段も必要となるのが現実というところか。
国家として反トラスト法(独占禁止法)によって、企業の利益保護よりも社会の発展を優先するアンチパテント政策から、バイ・ドール法による産学連携による研究開発と特許取得・活用の促進とともに、企業の利益を重視するプロパテント政策へ転換することで自国の利益を保護しようとしたアメリカの政策を参考に、日本へ向けた政策、司法制度の改革などへの提言も興味深い。さらに国際標準・コンソーシアム標準などへの取り組み方など幅広く語られている。
それぞれの要素の関連性をみながらより深く掘り下げた考察が聞きたいところだが、それは読者自身がそれぞれ掘り下げるべきなのだろうか。
エンジニア個人の、一企業の、社会の自由と平等はどこにあるのか。
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丸島氏が書いたのではなく、インタビュー形式で聞き取った体裁。
特許の使い方や、外国企業との交渉など特許実務を覗くことができる。
「司法とプロパテント」(176頁)以下は、特許法改正で手当された部分もあるので、少し古い内容になっている。
最後に、職務発明について、「裁判で相当額を決めるべきではない、市場原理に任せるべき」旨述べている。twitterでも,複数の特許実務家が職務発明規定は廃止すべきと主張していたなぁ。実務を知らない私には何ともいえないが、説得力はある。
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日本最強の特許マンと呼ばれた丸島儀一氏が、自身の仕事との出会いから、今後の日本の知的財産戦略についてまでを俯瞰する。
著者自身は、当初から特許の仕事に関わることを希望していなかった。その後、仕事を行う中で特許の仕事にやりがいを見出し、キヤノン(キャノンではない)がカメラ以外の複写機や計算機の事業拡に特許戦略の面から多大な貢献を果たす。開発の源流から入り込むことで、開発する商品自体が内包する本質を特許化することに成功、キヤノンの競合企業に先駆けた特許基盤の構築に成功している。
自身の仕事を通じて、特許そのものの攻撃と防御としての特質を見出しているが、著者は特許そのものを商品のように売り買いすることは否定的である。メーカーであれば、あくまで実体の商品を活かすことが第一であり、そのために特許戦略が存在しているとの姿勢と取る。
知的財産立国が叫ばれる日本において、その中身をどう構築するかにおいて非常に参考になる一冊。
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キヤノンが行ってきた特許を用いた企業戦略について、実際にキヤノンで特許部を率いていた方が書かれた本。
特許ってこんな熱い世界だったのかと思わされる。すごくおもしろかった。
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日本の企業、産業の発展のために特許をどう戦略に使うべきかを著者の体験談から述べている。
本書は著者の特許との出会いから始まる。
技術部門を希望していた著者は先輩の退職の埋め合わせで特許係に入る。
仕事の少なさと技術をやりたい思いから研究開発へと出入りを繰り返し、その中で特許を使っていく。
ゼロックスとの特許を巡るやりとりの中で、特許と開発が一緒にやることの重要性を実感していく。
そして特許課は部になり、そこの部長になる。
本書の出版当時の2002年では顧問のようだ。
製品を開発する際には、大量の特許がその中に含まれる。
しかし、他社が持っている特許を一件でも含めば他社からクレームが入り、製品の差し止めや最悪の場合は事業が止まってしまう。
そのような厳しい状況の中で、いかに特許を使って自社の製品、研究開発を守るかということについて経験から書かれている。
大きくまとめてしまうと事前の準備が必要不可欠、ということになる。
ごくごく一般論だが、それを特許の分野に関して具体化されているため、企業での特許の扱いに関して学ぶことは多い。
また、その中で書かれている日本とアメリカの特許の違い、アメリカ流のビジネス、交渉方法も非常に強い企業人としての姿が読み取れる。
特に気になったのは、冒頭から貫かれる企業の立場としての言説がある。
知財法の精神としては、社会に役立つ技術を公開することで産業の発展に寄与するというものだったと記憶している。
そのため、最初から一貫して特許は企業の技術を守り、利益を独占するためのもの、という姿勢に戸惑った。
しかし、それが企業の本音であり、現実だ。
自伝と言えるほどでは無いが、一人の企業人の生き方を学ぶという意味でも面白い一冊。
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キャノンの特許戦略の歴史がわかったが、2002年の本ということもあり、制度関係の記載は古い。
キャノンの特許戦略について詳細に書かれているわけではないので、少し期待外れかな
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特許はクロスライセンスして相手の特許を使い放題にしてビジネスの幅を広げるために使う、という目線に驚き。
一瞬、特許専門家になろうかと心揺らいだ。っが、あのお堅い文章を読むのは大嫌いなのを思い出して3秒で挫折。。。
しかし、ビジネス全般を考えるビジネスマンとして必須の視点。数年後に是非再読を! >俺
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キャノンの成長を特許から支えた丸島氏の体験談。
企業活動における特許は、自らの事業を守るために独占的に使うのが本道。
アメリカ企業とのクロスライセンス契約時の交渉術を惜しみなく公開している。
本書を通して、日本企業を影ながら応援しているよう感じる。
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特許はその成立性、侵害性においても政治的判断が常について回るため、一企業の特許戦略だけを議論する訳にはいかない。丸島氏の功績は誰もが認めるものではあろうが、当時の時代背景を反芻しながら読むと、面白さは倍増する。
1960年代から1970年代にかけては、高度経済成長時代ということもあり、日本企業が海外へ盛んに進出するとともに、日本の特許を含む様々な制度を改革する必要があったであろう。現在の韓国企業が世界で特許訴訟を起こしている状態というのは、韓国経済の成長度合いを物語っているとも言える。
この本が上梓されてから10年経つが、丸島氏の当時の思いは実現されているであろうか。プロパパテント戦略等の国家戦略と大学・企業の技術力強化は両輪で推し進めなければならないが、長引く不況の為に思う様に噛み合ってはいないと思う。
当時は想像できなかったICTへの主戦場の変化や、経済低迷と共に加速しつづける産業の空洞化があったことは事実である。しかし、日本における技術の一旦を担う身としては、先人が特許をモチーフとして語った技術への思いを受け継ぎたいと思う。
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Canonが特許戦略に強いことは知っていたが、それまでの経緯は知らなかった。知的財産というものをどのように考えるのか?ということは、我々のような研究者が日々実験を行っていく中で常に意識しなければならないと再認識させられた一冊。これから米国の特許制度が先発明主義から先願主義へ移行していく中で、参考になる事例も多々あった。
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特許戦略を重視したキヤノンの歴史とその戦略について詳しく書かれている.キヤノンがコピー機を開発し始めた時期やその後の特許絡みの攻防については非常に熱く面白い.
また,中で述べられているように,国としての日本の知財戦略の重要性を感じる.
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キャノンの特許部門の歴史から、特許交渉術、日本の特許戦略の問題点まで、盛りだくさん。中でも面白かったのは「第三章 交渉」。特許で儲けるというと、排他的なイメージだけど、欲しい特許を安価に得るための武器でもあるんだ。
あと「通訳との付き合い」も面白い。相手に怒らずに通訳に怒るというテクニックは、僕には使う機会ないけど面白い。
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ゼロックスとの戦いや
日本の国家戦略としての知財の扱い(特許の扱い)
企業戦略としての知財の扱いなど
興味深い内容であった。
特許とは、こうあるべきだという
著者(丸島儀一氏が書いたわけではないが・・・)の
思いが随所に散りばめられている。
今まで、ノルマとしての特許(絶対だめなのはわかっているのだけど・・・)
しか書いていない自分を反省。。。。
Posted by ブクログ
自社の成果を人に突破されたくないとなると、自社で使う技術だけでなく、その代替技術をも特許で押さえる必要がある。
企業活動における特許は、自分の事業を守るために独占的に使うのが本道である。
企業の特許戦略では、攻撃よりも防御が重要である。
今まで何となく仕事で特許を出していたが、企業活動における特許戦略とは何たるかという事を改めて教えてもらった1冊。
キャノンと他社との特許攻防の記録と、どう打ち破ったかというストーリーがもっと載っていたら楽しく読めたと思いますが、
後半は専門的過ぎて、知財部ではない私にとっては難し過ぎました。。