あらすじ
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今やイスラム教徒は世界に約15億人。だが、イスラム過激派による紛争やテロばかりが注目され、ごく普通のイスラム教徒の姿はなかなか見えてこない。宗教の力が弱まった現代、なぜイスラム教だけが世界的規模で信者数を増やし、影響力を強めているのか?今日、世界を支配する「勝ち組」である西欧近代文明とイスラムは、なぜことごとく対立するのか?本書はその答えを、イラストをふんだんに用いて解き明かす。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
イスラム教徒の6割はアジア人。
戒律の厳しい国とそうでない国がある。
六信五行(六信=イスラム教徒が信じなければならない6つのこと、五行=イスラム教徒がおこなわなければならない5つのこと)
ムハンマドが啓示を受け、初代のカリフが啓示内容を1冊の書物にまとめたもの⇒コーラン。
血統重視のシーア派と、共同体団結重視のスンナ派の対立。
イスラム世界と西欧とのつながり。
現在のパレスチナ問題やクルド人問題につながる。
図解でとても分かりやすい。
Posted by ブクログ
イスラムの歴史と現代の中東情勢を知るのにベスト。何冊か読んだうちでも一番包括的でわかりやすかった。
622年がヒジュラでイスラム歴元年。コーランとハディース(ムハンマド言行録)が重要。
オスマン帝国後、第一次世界大戦のイギリス3枚舌外交により、アラブ、ユダヤにそれぞれ独立国家を約束する一方でフランスと中東分割案を出した。
パレスチナ問題とクルド人問題の発端。
中東産油地帯はアメリカなどの石油メジャーが支配していた→その後OPECができ、産油国の権利を守るようになる。
4度の中東戦争によりイスラエルは独立国家を確立、パレスチナ難民が発生。アラブ諸国は軍備を近代化するため石油を武器に。オイルショック。
オイルマネーを使って世界にイスラム教を拡大。
イランはパーレビ王朝のときにはイギリスの傀儡。パーレビ2世のときの石油利権はアメリカ40%、イギリス40%。独裁体制のもとの近代化をすすめたが、民衆の不満により1979年イラン革命、イスラム法学者のホメイニ師が最高権力者に、シーア派。イスラム法による政治体制。隣のイラクとはペルシア人とアラブ人と人種も異なっていたので古くから対立してきた。
イラクはシーア派が多数だがスンニ派が権力を持ちサダム・フセインが独裁者。
港が欲しかったので、1980年にイラン・イラク戦争をおこすが泥沼のまま8年で終結。欧米はイラクを支援。
ソ連は1979年にアフガン侵攻。中央アジアのイスラム教徒らを抑えるため。アフガンゲリラにアメリカが支援。ソ連軍撤退後も内戦となりアルカイーダ、ビン・ラディンが。
イラクは1990年、石油価格の暴落を不服としてクェート侵攻。湾岸戦争。アメリカの軍需産業の戦争ショーに。
2001年9.11の同時多発テロにより反イスラム・反テロの戦いに。
軍産複合体の支援を受けブッシュはフセインの弾圧から民衆を救う、大量破壊兵器を持ってる、アルカイーダなどのテロ組織の支援をしてるとして2003年イラクと戦争。100万人死亡300万人難民に。
イラクのバース党はシーア派、スンニ派、クルド人の混合。2006年フセイン処刑で勢力均衡が破れISISが台頭してくる。
イスラム原理主義のルーツであるムスリム同胞団は1928年にエジプト北東部でアラビア語教師ハサン・バンナーによって創設。衰退するイスラム教の復興、祖国の独立と平等な社会の実現を目指す。エジプト政府から大弾圧を受け、非合法組織に。サイイド・クトゥブが急進的善悪2元論を展開、イスラム法によって統治される社会と敵対するものを悪としてジハードを行うのは義務。
ムスリム同胞団は穏健派、中道派、ジハード団、シリア同胞団、パレスチナ同胞団などに広がる。ジハード団のアイマン・ザワーヒリーはその後ビン・ラディンと出会いアル・カイーダを創設。中道路線の指導者ユースフ・カラダーウィー。
2010年チュニジアで青年の焼身自殺からアラブの春が始まる。民主化運動が激化し独裁体制を倒す。
チュニジアでは2011年ベン・アリー大統領が亡命し政権崩壊、イエメンでは2011年サーレハ退陣、シリアではアサド政権への反政府闘争による内戦、リビアはカダフィ殺害、エジプトはムバラク大統領退陣。
ジャスミン革命の後、エジプトは2012年に成立した同胞団政権が強引なイスラム化政策により失脚、2013年軍クーデターで旧政権関係者が復権、リビアでは反政府勢力の民兵の内戦が続く、シリアは親米(反政府)、反米(アサド政権、イラン、中国、ロシア)、ISが対立、チュニジアは2014年新憲法制定、選挙実施で民主化。
移民第三世代のイスラム原理主義者=ヨーロッパなどへ移民した3世はイスラム文化や祖国を知らない一方ムスリム移民の差別を受ける、ネット上のバーチャルなイスラム共同体に帰属。
IS=イスラム国は既存の政治秩序(西欧)を否定、カリフ制の復活(領域はインドからスペイン)、イスラム法=シャリーアを厳格に適用、奴隷制の復活、ムスリムの中の敵対者(シーア派など)にも激しく攻撃、世界的に聖戦士をリクルート。
Posted by ブクログ
イラスト図解をうたっているだけあって
図が多く、イスラム教がどのように分布しているのか
経典の内容、イスラム社会での生活への影響
などなど、とても分かりやすかった。
イスラム教と西欧の対立やそこから中東問題
に至るまでの記述も詳しくあるが、
何しろ世界史の知識が全くないので
理解が追い付かなかった。ただ、
中東問題がいかに複雑かはわかったので
もう少し掘り下げていろいろ読んでみたいと
思った。
意外だったのはコーランでは男尊女卑ではなく
性差を尊重していたこと、女性にも相続権を
与えるよう書かれていたこと。
女性蔑視の社会かと思っていたので
驚いた。
イスラム文学にも触れていて
ノーベル文学賞作家の話題もあった。
つぎはオルハン・バムクの「わたしの名は紅」
を読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
ドラッグストアの古書コーナーで見かけてなんとなく気になったので購入。
世界3大宗教の1つでありながら、わたしにとっては1番馴染みのないイスラム教というものの理解が深まればいいな、と思って読んでみたのだが、
実を言うと途中、監修者の方のコラムの内容になんだか納得がいかなくて、読むのを一端中断していた。
しばらくリビングに放置していたものの、圧の強い表紙がやはり気になって暫く後にもう一度読み出した。
問題のコラムまでは、その内容もさることながら、詳しい図解などのおかげで興味深く読んでいたので、読み直しから没頭するまでに時間はかからなかった。
本当にわりとお手軽に、この1冊でイスラム世界の歴史から、教義、特徴、現状までがよくわかる。
ちょっと視点がイスラムよりではあるが、学校の副教材にも使えそうなめちゃくちゃ充実した内容。
イスラム世界のあらゆる事象…、ムハンマドが啓示を授かるところから、コーランについて、スンニ派とシーア派について、さらに西欧との関わり、中東戦争、9.11のテロやISについてなども、図解を通して素晴らしくわかりやすく、詳しく書いてあるので、イスラム関連の情報量が半端なく、まさにかゆいところ以上に手が届いているような心持ちだった。
イスラム教についてわからなかったところがだいぶクリアになるにつれ、今までこれと言って特定の神を信仰してこなかった自分の価値観に照らし合わせても理解できるところと、そこはその場所や環境に生まれ育たないと絶対にわからないんだろうな、と感じる部分があり、個人にとっての信仰とは?集合体にとっての信仰とは?などと、わたしなりに考えるきっかけになりそう。
1番最後、何故かイスラムジョークで締めるあたりがカオスだったけど、
情報量だけでなく、今後の学びのためにもとにかくちゃんと通読できて良かった。
わたしの本に対する貧乏性が役立ったなーと心から思える、本当に良い読書になった。