【感想・ネタバレ】僕たちの居場所論のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

この三人の鼎談とあらば読まずにいられないと手に取り。
最初にこの本を読むに当たって押さえておくべき場所についての解説がありますが、確かにそれを踏まえて読みだした方が入りはスムースかと。
とはいえ正直言うと私は、最初の方「おっさんの内輪話」にしか感じられず(失礼)中々お三人の語りのペースに馴染めませんでした。

しかし何気ない話をしているようであっても自ずと深い話になってゆくのはさすがです。三人とも全然違うようでどこか通じるものがあるというか似ているところがあるように見受けられました。

「政治やメディアの劣化を野放しにしておくことは危険である」とか、「生きる上で当たり前のこと(常識)だから法文化していないことを”法律で決まっていないから”とどんどん破っていく」など、今の日本の現状でシビアになってきている点についてがんがん話されています。漠然とは思っていてもそれこそ自分の中では明文化していなかったものがどんどんとこの場では語られており、深く考えさせられます。

家を出るという行動に攻撃性なんて考えたこともなかったですがこう言われると「なるほどなぁ」と大変腑に落ちます。向田邦子のエピソードも、向田邦子ってやっぱりすごいなと思わされました。

でも自分が一番グッと来たのは第4章ですね。
どの章がグッとくるかはおそらく人によって結構分かれると思いますが、自分は何度か涙ぐむほどに感動しました。これは自分が両親を亡くしたせいかなと思いました。身内を亡くした人には染みる一章ではないかと思います。
運命に導かれているべきところに帰着していく…と内田先生はおっしゃっておりますが私は運命というより宿命とそれは呼ぶのではないかな、と思いました。
平川さんの言う強い現実、がイコール宿命かな、と。

これは今だからこそ読まれるべき鼎談ですね。

0
2016年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3人の対談として読むので軽くていい。
会話の中で流れついていくいろいろな話題が面白い。
以下印象に残ったことなど。
・グローバルという視点の元に、均一の基準で比べられる大学。
個性や理念は問題にされず、
数値化できるもので誰にでもわかるようにならされる。
結果、ランクの低い大学を淘汰し、補助金を分配する対象を減らしていく。
教えることがこんなに見下されているってなんだろうか。
・先生と言うのは誰にでもできるもの、という内田さんの言葉が印象的。
能力のある人にしかできないものだったら、
該当者がいないときに、子供は生きていくすべを学ぶことができず
その集団は一代で滅んでしまう。
・自分の中の演算機能が低いと、複雑な状況を理解することが出来ず
単純な考え(陰謀史観とか)にすがってしまう。深く納得!
・言葉に新たな語義を付け加える権利があるのは母語話者のみ。
・守るものがある人の方が弱い。
どこにも帰属せず面倒を見なくていい立場の人間は
その場限りのネットワークの中で匿名の一刺しで強さを持つ時代。

0
2017年12月31日

「学術・語学」ランキング