あらすじ
『なぜ人と組織は変われないのか ハーバード流自己変革の理論と実践』(英治出版)の著者ハーバード大学教育学大学院教授ロバート・キーガンと同大学院変革リーダーシップ研究責任者リサ・ラスコウ・レイヒーらによって、欧米はもとより、日本でも注目を集める「発達心理学」。
現在の自分が成人としての発達段階のどこにいるのかを確認し、今後どのようなプロセスでさらに成長・進化していくのかを把握するための理論です。
この理論を二人から直接学んだ著者が、ワインバーで偶然出会うことになった、部下のことで悩む課長と人財コンサルタントとの対話形式により、部下とのコミュニケーション法や育成法、さらには自己成長や組織マネジメントのあり方をわかりやすく説きます。
「自分に関係することにしか関心を寄せない部下」「上司には従順な一方で自分の意見を言わない部下」「自律性が強すぎて、メンバーの意見を無視する部下」こうした部下たちとのコミュニケーションのとり方を人財コンサルタントから学び、現場で実践することで組織がうまく回り出し、課長自身も成長していくというビジネスストーリーです。
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Posted by ブクログ
発達心理学の観点から大人の成長について、小説形式の対談で書かれていたのでとても読みやすかった。
個人的には、この考え方を聞いて今までの経験がこの5段階に分けられることがとてもしっくりきた。
過去に段階2にある人に対して、5段階目の視点でアドバイスをしてしまい、全く理解されていない経験をしたことがあったが、それもこういうことが理由なのだと理解できた。
それぞれの段階にあったアドバイスをしなければ、相手に伝わらないのはもっともなことで、これからの面談にとても役立ちそうな気がした。
<各段階の説明メモ>
① 具体的思考段階
② 利己的段階 道具主義的段階 人口の10%
白黒つけたがる二元論を好む
エンパシーの力が足りない
③他者依存段階、慣習段階 人口の70%
④自己主導段階 自己著述段階 20%未満
⑤自己変容段階 相互発達段階
Posted by ブクログ
■ひとことで言うと?
自己探求を続け、自己の「器」を成長させ続けよ
■キーポイント
- 発達段階
- 他者主導(利他→依存)→自己主導→自己超越(相互発達)
- 人としての「器」の容量が大きくなる
- さまざまな曖昧さを受容できるようになる
- 成長の2つの軸
- 水平的成長:スキル拡充
- 垂直的成長:自己深化
- 透明な自己認識
- 「自己の成長=他者の成長」と感じられる段階
- 自己成長のためには他者の成長が必要不可欠
- 「器」を大きくするために
- 異質なものに触れる→既存の価値観の破壊
- 内発的な問い(自己探求)の継続
Posted by ブクログ
発達心理学の本はちょっと読みにくい(学術的な感じ)本が多いが、本書は小説仕立てなので、とても読みやすい。
本書での発達段階は以下のような表記だった。
●段階1 子供
●段階2 利己的段階・道具主義的段階
●段階3 他者依存段階・習慣的段階・(権威主義的段階)(組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定をする)
●段階4 自己主導段階・自己著述段階(権威超越的段階)
●段階5 自己変容段階・相互発達段階
低段階の時より、段階3から4になることが自分、周囲共に難しそう。
Posted by ブクログ
部下育成本かと思いきや、どちらかというと「発達心理学」なるものをビジネスに応用、これを物語形式で説明した作品、という所でしょうか。
当理論に基づき、「人は死ぬまで成長する」「人の成長には段階がある」と主張し、その成長段階にあった手助けをしてあげることで、相手(部下)は成長する、という建付けのようです。
・・・
まあ、何つうか。総論は賛成なんです。
私だって窓際のくせにこうやってシコシコ本を読んでいるのは自分の成長を信じているからですよ。また、視野の広さや成長にも段階があるのは分かります。マズロー云々みたいのが本書でも言及されていますが、まあ理解できます。
ただね、実際・実務ではどうかと。
相手がどの段階にあるかの判断とかは、結構難しい気もします。そして適切にリードするというのもこれまた難しい技術なのではと思います。まあ理論家の仕事は理論の構築で、現実での適用は実務家ヨロ、みたいなのも分かります。
とはいえ、やはりある程度(というかもう少し突っ込んだ)適用へのガイダンスがあるといいなあ、と思います。
・・・
あと、人の成長レベルの話ではあるのですが、読んでいるうちに組織と人の関係も気になりました。
例えば、第二段階の部下は「自己中心的」。こういう部下には「問いかけをする」「他者の視点を与える」みたいな話がありました。これはこれで、まあ、確かに、という話なのです。
でもでも。上司、本部、あるいは経営者の皆さん、あなた達は現場の視点を持っていますか、と。「他者の視点」持っていますか?と問いたくなります。一例だと大企業、サラリーマン社長の年次の挨拶。
ものの本とかには、(経営者が抱く)Visonがあり、Mission Statementがあり、それに関連するKPIを策定し、KPIを達成することで最終的にVisionに近づこう、とまあ、カスケードされるんだと思います。
でもうちの会社とかの偉い人の話を聞いていても全く響かないんです。私が不感症かもしれませんが、社長、本当に会社をどうしたいんですか? と問いただしたくなります。
…話が逸れましたが、組織の建付けや不条理を意識してしまうと、私や部下の成長云々もそうだけど、会社の上層部も他者(現場)の視点も理解して欲しい、ついでに言うと自分がどうしたいかをより具体的に(相手が理解できる形で)喋ってくれよ、と思ってしまうのでした。
大分逸れてしまって済みません。
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ということで、発達心理学のビジネスへの応用の話でした。
理論の大枠をストーリー形式で理解するという事では良かったと思います。