あらすじ
旅本作家・和泉蝋庵の荷物持ちである耳彦は、ある日不思議な”青白いもの”を拾う。それは人間の胎児であるエムブリヲと呼ばれるもので…。迷い迷った道の先、辿りつくのは極楽の温泉かはたまたこの世の地獄か――
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Posted by ブクログ
連作短篇集。
旅本の作者である和泉蠟庵が、お供(荷物持ち)の耳彦を連れて実際に旅をするのだが、旅先で毎回不思議なことが起こる。
「エムブリヲ奇譚」が特に気に入った。いっこうに大きくならないが、女の腹の中にいなくても生きていられる胎児。この胎児は耳彦によって結構雑に扱われるのだが、最終的には女の腹へ入れられ、すくすく成長し、やがて産まれる。不気味だけど、心がスっとする気持ちの良い話だった。妊娠を経験して思ったのだけれど、腹の中に宿った時点で、赤子はもう可愛くてしようがないものなのだなぁ。たとえ人間らしい形になっていなくても、可愛いのだ。奇跡だ。
「地獄」は、本当に救いようがない話だ。こういうのも悪くない、いや、好きだな。助かったと思いきや、直ぐに地獄の苦しみがやってくる。特に妻を殺された余市にとっては、精神的にも地獄だったことだろう。
しかし、耳彦の生命力は凄い。結局、世の中ろくでもない奴の方が生き残るのではないだろうか。
Posted by ブクログ
迷い癖のある旅本作家・和泉蠟庵と、荷物持ちとして彼の迷子に付き合わされる耳彦の奇譚集。
面白かったです。好きな世界観でした。
蠟庵先生は迷った先で名所や温泉に出くわすので道がわからず旅本に書けないし、耳彦は博打好きで借金をこさえがち。懲りないな。。
だいたい耳彦が命の危機寸前までいくけど、間一髪で蠟庵先生がきたりする。最終話もそうだけれど、見える範囲にいるのに迷子になる先生がこういうときはちゃんと辿り着くのでなんかあるのかなぁ。
お話はとくに、表題作と「あるはずのない橋」「「さあ、行こう」と少年が言った」が好きでした。
エムブリヲの健気さがかわいい。
「〆」は凄かった……小豆との顛末も、村で出てくる食べものに全て人の顔みたいなのが付いてるというのも強烈でした。
山白朝子さんが一番好みだと再認識しました。単行本で読んだのですが、山本タカトさんの装画も素敵です。
温泉に行きたくなる。異界はそこかしこに口を開けてて、迷い込む人を待ってるんだろうな…とか、思ってしまいます。
Posted by ブクログ
『私のサイプロクス』よりおぞましい内容が多かった。
続編の輪は人生何度目だったんでしょう?
地獄には行かないで、何度でも蝋庵や耳彦と旅をする人生を選んで欲しいです。