あらすじ
勉強ができることをアイデンティティにしてきた優等生・紫堂泉。
東大受験を控えている彼女は、初めて心から愛した人に失恋し、勉強が手につかない。
そんな時、クラスメートが自殺して、平穏な教室に大きなざわめきが生まれる……。
逃れられない孤独を胸に、迷い、傷つき、傷つける。
切なくもいとおしい時間を瑞々しく描いたラブストーリー。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
この人の話は、基本的には愛に飢えた若者が。
「愛が欲しい」と願いながら、でも、うまく愛を手に入れられなくて、それでもジタバタと描く話……だと、思ってるんですが。
前に読んだ、何かの話の時にさぁ。
後ろに解説がついてて。
それをたまたま読んだら。
この人の小説の主人公のことを「境界性人格障害」と書いてあって。
一気に、テンションがだだ下がりしたのを覚えている。
あーあーあーあーあーあー!
そのラベルは、できれば僕が読む物には貼らないでほしかったなー……と、思うんですよ。
その言葉が付くと僕は全力で、そのものから逃げ出します(真顔)。
だってさー、家に一匹いるんだもん。
一匹いたら大変よ?
それがどれだけ迷惑だか、身につまされてるので、その一匹以上を抱え込む余裕なんて、まったくもってないから。
その言葉を見た瞬間に、反射の領域で僕は、全力で遠ざかります。
まぁ、うちにいるのは、自覚がない分、余計に性質が悪いんですけどね!
(おまけに、自分が正常だと思ってやがるし、その考えを改めるつもりもない)
そんな愚痴っぽいことはさておき、本の感想を……。
そのラベルが付いたからこそ、「あぁ、こういうところは人格ですね……」とか、特徴を分析しながら読んでしまったので、ちょっとだけ、引き気味に本を読んでしまったのが残念この上ないんですが。
でも、そういう面では、この主人公はまだましだよね。
相手にそんな自分を押し付けないようにあがいてる。
最初のリュウヘイとの関係がそうだった。
普通、このまま自分を押し付けて、相手を振り回して……っていうのが、人格障害のパターンなんですが。
ちゃんと、どうしてなのか? っていうのを考えて行動してたから、そういう意味では好感度は高かったかなー……。
にしても、彼女の勉強しか自分を誇示するものがなかった、とかすごく身に覚えがある感情すぎて、痛いなーって思います。
本当、その通りなんだよね。
まぁ、あんまりそこに、一点集中し過ぎると、今度は回りから浮くんだ。
で、最後に彼女は一つの選択をするんですが。
選択をしたところで、物語は終わります。
それが彼女にとってよかったのか、悪かったのか、はわからない。
でも、その後に解説がついててさ。
また、その解説が奮ってるんですよ。
「このままハッピーエンドになんてなるはずがない」って断言してくれちゃって、僕、(´○`; ポカーン(笑)
話の余韻も何もあったもんじゃないよ……。一気にぶち壊された気分がしました。
いや、まぁ、「そんな優しい世界に彼女は生きてる訳じゃない」って書いてあったんだから、そりゃそうですけどね、って同意はしますけど。
でも、物語の中くらい夢見ることを許してほしい……(切実)
これ、読んで読もうかな、って思う人は、いけすかない解説なんて、読まない……というか、随分経ってから読むことをオススメします。
もうちょっと物語の余韻って物を大事にしてほしかったなー……。