【感想・ネタバレ】みんなが聞きたい 安倍総理への質問(集英社インターナショナル)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

少ない時間での質問のチャンス。山本太郎議員はこれに周到な準備で資料をあたり、裏取りをし、総理や閣僚から狙いの言質を得るべく、綿密にシナリオを練って臨む。しかも、たまたまTV中継を見た政治にあまり詳しくない人にも分かり易い様な表現を心がけている。

当時、審議の中継を見たり、国会に傍聴に行ってみたりもしたが、山本太郎議員が質問に立つと、議場の空気が明らかにピリリと変わる。本書に収録されている議事録を読むと、2015年夏の当時の空気を臨場感をもって思い出すことが出来た。

大人の理由か何か知らないが、多くの政治家があえて触れない米国や多国籍企業による隠然たる日本支配、米軍による戦争犯罪という部分に、直球で切り込む山本議員の質問に対し、総理も閣僚も官僚が用意した紋切り型の逃げ口上を壊れたレコードの様に棒読みを繰り返し、正面から答えずに逃げまくり、山本議員の持ち時間がなくなるのをひたすら待っているケースが多かった。

理論で勝てないから、与党側は最終的には人間カマクラで議長席を取り囲んで防御しながら、「指揮者」の合図で議長の声も聞えない状況のまま起立・着席を繰り返すという茶番で、議事録も「議場騒然につき聴取不能」のまま無理やり可決させた安保法制。
これをめぐる2015年の夏の記録と舞台裏に迫った本書。

様々な資料・公文書を使いこなしながら、見事に切り込んで見せた山本議員の質問で、総理や閣僚のこね上げたマヤカシがガラガラと崩れ落ちていく様子がはっきりと本書収録の議事録には捉えられています。

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2016年02月25日

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