あらすじ
T大学医学部外科医の早坂圭介は、謎を残したまま失踪した大親友・佐伯彰を想い、苦悩していた。そんなある日、圭介の前に彰そっくりの美貌を持つ「あきら」が現れて――?許されない愛に身を落とした男たちの切なくも美しい軌跡を描いた幻のデビュー作、完全復活。書き下ろしも収録!
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Posted by ブクログ
抱いたのは「恋」、恋がどんどん大きくなって「愛」になったのに、秘めなければならない辛さから「苦しみの愛」になる。さらなる思いが「執着愛」となり、全てを変えてでも叶えたい「狂喜の愛」に。
届いた愛は「純愛」そのもの。
命を産み出せない「性」だから、命を産み出すことに執着したのか。
絶対的な繋がり、永久的な間柄の存続を欲したための命だったのか。
誰もに受け入れられない関係ではなく、誰もが認める関係だったら良かったのか。
背徳のマリア下 へ続く
Posted by ブクログ
BL界にはままある「もしも自分が女性だったら、攻は自分を好きになってくれるだろうか」という、受のセンチメンタルな語りが……。
まさかのまさか、本当に女にしちゃうお話は、BL界広しといえどそうそうない。
この一種狂気じみた受の、ねっとりねっちりとした攻への執着には、思わずぞっとするものがある。
自分の社会的地位や立場、性別に戸籍等々全てを捨ててでも、攻に振り向いて貰いたいという、悲しいまでの受の覚悟に胸が痛みました。
じゃ、どうしてそこまで?
という疑問が湧くわけですけれども、この攻がもうBL攻様としてはあり得ないくらいの鈍感男なんですよ……しかも完全にヘテロ。
そして女の身体になって攻の前あらわれた受に、攻はすんなりとその身体を受け入れてしまったものだから、心はちゃんと男性である受にはなんと辛かったことだろう……と胃がきりきりしてきます。
性同一性障害というわけではないだけに、余計に受にとってつらい。
BLと思って読むとちょっときついと思うんですが、真っ向から性差に切り込んでく姿勢に感嘆します。これがデビュー作ってすごすぎ。