あらすじ
ホームズのもとに届いた暗号の手紙。時を同じくして起きた暗号どおりの殺人事件。サセックス州の小村にある古い館の主人が、散弾銃で顔を撃たれたというのだ。事件の背後には、宿敵モリアティ教授の影が垣間見える――捜査に当ったホームズが探り出したのは、20年前のアメリカに端を発する、恐怖の復讐劇だった。推理、冒険、恋、友情を描ききったホームズ・シリーズ最後の長編。
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Posted by ブクログ
順々に読んでいってようやく恐怖の谷まで到着!嬉しい。
前半でダグラスが殺されていないのは途中で何となく気付いた。前半も面白かったけど後半の方がさらに面白くてワクワクしたかも。
ダグラスさん、せっかく生き延びられたのに最後ね…
Posted by ブクログ
やっと来た、という感じの満足感が得られた。物語作家ドイルの面目躍如たる一作。
私は世評高い『バスカーヴィル家の犬』よりも本作を推す。今回はドイルがここまで書けるのかと感嘆させられた。
物語の構成はエピローグを加えると大きく分けて3部になる。
1部は通常のホームズ譚―依頼人が来て、事件の概要を話し、ホームズが現地に乗り出し、事件発生後、証拠を捜索して驚嘆の事実を暴露する―で読者に提示された真実も結局被害者とされていた人物が実は加害者で、被害者は当人とは別人だったという現在から見れば定型の1つである。
しかし、今回白眉なのは第2部、つまり事件の背景となる加害者側のストーリーなのだ。
これが実にいい!!
この構成は先に出てきた『バスカヴィル~』以外の長編、『緋色の研究』、『四つの署名』と同じなのだが、『緋色の研究』の時にも感嘆させられたが今回は更に作家としての円熟味が増したせいか、ものすごく芳醇な味わいがあるのだ。
なんとハード・ボイルドなのである!!!
ハメットすら唸らせるかのようなその臨場感はまるでスペクタクル映画を観ているよう!
しかもそのサイド・ストーリーにも驚きの仕掛―これは今考えるとほとんどサスペンスの常套手段なのだが私には全く予想つかなかった―が施されている辺りにも正にぬかりなしといった感じ。
ドイルはやはりドイルなのだと感じ入った次第。思うに本来ドイルはこのような小説を書きたかったのではないだろうか。
Posted by ブクログ
ホームズシリーズの最後の長編。
短編も含めて、個人的に一番好きな物語だった。今までで一番トリック部分に驚かされたから。
前半より後半が面白かった。ギャング物語として普通に楽しめて、勿論ミステリとしても楽しめるので一挙両得。やっぱりホームズの長編って二部構成の方が好きだなあ。
というかワトスンの健忘症……なんでここまで書いといてモリアティ忘れてんの? 笑ってしまった。いくら「最後の事件」執筆から二十年以上経っているから仕方ないと言えば仕方ないけど、なんで作者も出版社も誰一人矛盾に気づかないんだろう。この時代のイギリスって、編集者っていなかったんだろうか。
このあたりのことを書いたあとがきに「ワトソニアン」なる言葉がでてきてびっくりした。シャーロキアンは知っていたけど、ワトソニアンなる派もいたのか。気になって検索したが出てこなかった。日本のワトソニアンはネットからは距離をとっているのかもしれない。
Posted by ブクログ
モリアティ教授の仲間(手下?)の一人から得た情報である富豪が狙われていると知るホームズ。同じくして警視庁のマクドナルド警部からすでに該当の人物は殺害されているという情報を聞き富豪の館へ。
話の途中で事件自体は解決。
まだ半分残ってるんだけどどうなるんだと思ったら殺された富豪(ダグラスさん)の過去の話へ。
長編になるとこの手法になる気がする。
ダグラスさん悪い人じゃんとモヤモヤしながら読んでました。最後でなるほどとなりました。
最終的に夫婦そろって行方不明になってしまうのが残念でした。モリアティ教授怖い。
長編で一番好きかも。
Posted by ブクログ
シャーロック・ホームズシリーズ最後の長編。
ホームズが活躍する第一部もさることながら、ホームズの出ない事件の経緯編である第二部が特に面白かったです!
シャーロック・ホームズシリーズのこれまでの長編作品と比べてもかなり出来がよく最後まで楽しめました!
Posted by ブクログ
ホームズ長編。
冒頭部分は覚えているんだが、結局結末をいっつも忘れている。
殺されていた人は実は別人で・・・とゆーやつ。
なぜ狙われるようになったのか、という過去話付。
いや、付、というより、半々ってとこか。
以前過去話がでた時は冗長な感じがしたが、
これはこれでホームズなしでも楽しめた。
結構最後の最後まで、「探偵」というフレーズでてくるまで、この人、ただの魅力的悪人ってやつなんじゃ?
ただの内輪もめなんじゃ?とか思っていたが・・・・。
結局、最後までは逃げ切れず、モリアーティ教授の計画により、殺されてしまうとゆー・・・・。
しかもその結末をホームズは予想していたとゆー・・・。
うーん、予想しなたら、その上をいって、彼を守って欲しかった、泣 泣。
仕事を全うしただけなのに殺されるとは・・・・。
悪の世界オソルベシ。
Posted by ブクログ
The Valley of Fear(1914-1915年、英)。
ホームズ・シリーズ、長編。
ホームズの元に、事件を警告する暗号の手紙が届けられた。ほどなく警告どおりの殺人が起きるが、事件は、ある男のアメリカでの奇妙な冒険譚に関係していた…。
「緋色の研究」と同様の形式で、後半はほとんど別の小説になっている。ただし本作品では、後半の冒険譚そのものが、叙述トリックに近い「どんでん返し」を含んだ、独立した探偵小説になっている。進化するものなのだなぁ、と感心した。
Posted by ブクログ
前半のホームズが登場する事件発生〜解決までの部分は、いつも通りテンポ良く読めた。
今回は館ものの密室殺人事件という、当時はどうか知らないけど、今ではミステリ定番の状況で、ホームズが鮮やかに答えを導くのがワクワクした。
後半部分は「緋色の研究」みたいに事件の前日譚が語られるのかなと思いきや、最後に驚きがあって面白かった。まさか後半部分も「探偵小説」になっているとは!!
前半の最後の
「諸君が過去のそのミステリーを解決しえたら、私たちはふたたびベーカー街のこの部屋に落ちあって、これまでの多くの不思議な事件とおなじように、そこで話の結末をつけるとしよう」
という一文が、ここまでホームズの物語を読んできた読者としてはたまらない!